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南部アフリカ旅行記(5)


2018年1月22日(月)


朝のウォーターフロント
 昨夜も比較的早めに就寝したが,いまだ体内から日本時間が抜けていないのか夜中に一度目が覚めた.ただその後二度寝に成功し,再び目が覚めたのはモーニングコールの直前だった(この日のモーニングコールは6時半).身支度をして朝食会場へ,この日もオムレツを作ってもらい,その他はハムやポークソーセージをチョイスする.テーブルに戻って食事開始,が… 自分のオムレツとKのそれとが入れ替わっていた(具材の違いでわかる).どうやら焼いた人が間違った模様(笑).ソーセージは昨日食べたビーフの方が美味しかった気がする.
 朝食後はいったん部屋に戻って身支度をして8時半にロビーに集合である(昨日同様遅刻者無し).この日の午前中はロベン島観光なので,まずはバスで桟橋方面に向かう.

卵料理のカウンター

オムレツに挑戦
 
 天気は昨日の朝と同様一面どんよりとした曇り空だった.日曜の昨日はガラガラだった道路も,平日の今日は混雑していた.ただそれでも10分もしないで桟橋の駐車場に到着,ここから徒歩で船のターミナルに向かう.この周辺が通称ウォーターフロント地区と呼ばれるケープタウン観光ではよく知られた界隈である.石畳の通りには様々なモニュメントやカラフルな建物が立ち並んでおり,港にはたくさんの船が停泊していた(日本の漁船もいた).  

朝のウォーターフロント

赤い時計塔

フェリーターミナル
 


監獄島へ向かう
 ターミナルに入った後受付をすませてセキュリティへ進む.空港のそれと同じような機械が設置されていたが,形式的なものなのか検査は緩かった.ゲートを抜けてそのまま乗船となる.船のサイズは昨日ハウトベイで乗った遊覧船よりは大きく客席は2層になっていた.基本的に自由席なので,展望がよさそうな2階のオープンデッキに行こうとしたが,我々が行くちょっと前に定員に達したらしく,2階に上がる階段が閉鎖されてしまいやむなく1階の船室になった.船は9時に出航という触れ込みだったが,なるべく多くの客を載せたいという会社の思惑なのか,定時になっても動き出さず,ようやく出航した時は9時10分過ぎになっていた.
 ロベン島はケープタウンの市街地から沖合12キロにある.天気が良ければテーブルマウンテンの山頂からも良く見えるほど大陸からほど近い島であるが,周囲の海流が激しいことからここを抜け出して町に泳ぎ着くのは困難で,その特性から監獄島として利用されてきた.特に南アフリカのアパルトヘイト時代には多くの政治犯を収容していたことで知られ,後に黒人初の南アフリカ共和国大統領となったネルソン・マンデラ氏も1964年から1982年まで18年間ここに収容されている(ゴルゴ13の第50巻と第81巻にこの島が舞台となった作品がある).アパルトヘイトが撤廃された後1996年に監獄は閉鎖され,翌1997年に政府によって博物館化されて現在に至っている(1999年には世界遺産に指定された).
 事前に調べたところによるとロベン島行きの船は結構揺れるので注意ということだったので,沖縄の波照間島に向かう高速船を想像していたのだが,この日は拍子抜けするほど穏やかな航行だった.
   

このフェリーに乗ります

非常時の案内

いよいよロベン島へ!
   


ロベン島到着
 出航して10分ほどしたころから前方に島影が見えてくる.あれが目指すロベン島らしい.ゴルゴ13だと,島の陸地はすべて監獄で,四方を城壁で囲まれた小さな島のように描かれていたが,実際のロベン島は想像していたよりもずっと大きい島である(面積5.47平方キロ).そのまま島の桟橋に近づいたのだが,先客の船がいて,これが動くまで接岸できないらしくしばらく待機する羽目になった.その後先客が出港してようやく我々の船が着岸,ついにロベン島に上陸となる.

ロベン島が見えてきました
 
 上陸はしたものの,この島の観光客は勝手に動き回ることはできない.まずは用意されたバスでの島内ツアーだ.降りた順にバスに案内され,満員になり次第出発となる(バスの定員は20〜30人くらいの).車内では英語ガイドによる解説が行われるが,我々に関しては自分たちのガイドさんがイヤホンガイドを使って逐次日本語でも解説してくれるので助かった.   

ロベン島は意外に広い

漫画だとこんな感じ

ついに上陸
 


島内バスツアー
 まずはROBBEN ISLANDと書かれたゲートをくぐって内部へ.監獄というイメージからコンクリートの灰色の建物が整然と並んでいるのかと思ってたが,実際は広い敷地内に刑務所棟がポツン,ポツンと立っている感じ.メインは石造りでパッと見はむしろ学校である.ただ塀の上に張り巡らされた有刺鉄線が,ここが監獄であることを示している.敷地内の建物は基本的に刑務所と職員用の施設ばかりだが,そのほかに教会もあるのがキリスト教世界らしい.実はこの教会は今でも現役で,国の博物館となっているこの島で唯一民間の管轄になっているとのこと.近年ではこの教会で結婚式を挙げるというイベントが行われていて一部で人気らしい.
 建物の外観を見学しながらバスは島内を巡っていく.建物以外では囚人が使役された採石場が印象的だった(この刑務所では基本的に何の役にも立たないような使役をさせていたらしい.これはあえて生産的でない作業を強いることで囚人に絶望感を植え付ける意味合いがあると思われる).そのほかには第二次大戦時に設置された砲台やトーチカなどもあった.一方でこの島は自然も豊かであり,ペンギンなどの鳥や鹿,カメなどの野生動物の姿も見かけた.特にカメは我々の観光中もしょっちゅう道路を横断して,その都度バスは一時停止していた(この島の道路はカメ優先らしい 笑).また周辺の海ではアワビも取れるほか,ちょうどクジラの姿も目撃した(一瞬だったので残念ながら写真はなし).

ゲートの前で

石造りの建物

有刺鉄線が
 

ロベン島の教会

島の灯台

巨大な砲台
 

採石場

周辺には海藻が

バスを降りて観光
 


監獄の雑居房
 約1時間ほどでバスツアーは終了,トイレ休憩に続いては刑務所内部の見学である.今度も20〜30人のグループごとに行動する.まずは雑居房の見学,学校の教室を少し小さくした程度のスペースに60人くらい収容されていたらしい.窓はあるがガラスなどはなく夏はともかく,冬はケープタウン特有の風が吹き込んで非常に寒かったそうだ.
 そんな環境の中囚人たちに支給された寝具は2枚の筵だけだったとのこと.房にはトイレやシャワーもあるが60人収容でシャワーは2つだけだった.その辺の話をしてくれるガイドは,かつてこの監獄に収容されていた(強盗や殺人といった一般犯罪ではない)元政治犯の方々である.リアルにここで生活していた人たちであるからその証言は生々しく,また思いも深いため熱く語っていたのが印象的である(彼らがが熱く語るため,この刑務所内ツアーはどうしても時間が押すらしい).

監獄という感じがします

雑居房棟に入ります
 

雑居房跡にて

囚人に支給された筵

トイレスペース
 


D-section(独房棟)
 雑居房の見学に続いて今度は独房(D-sectionと呼ばれていたらしい)になるのだが,その前に間にある運動場を見学する.ここは囚人たちが自由時間にサッカーに興じた空間だったそうだ(ゴルゴ13にもそんなシーンがあったような気がする).
 運動場から独房のあるD-sectionに入る.こちらは3畳程度のスペースの独房が並んだ構造になっている.房には一般の房と,何らかの処罰を与えるための房があり,後者の房には窓がなく金網が張り巡らされていた.房の内部に備え付けられているのは椅子を兼用してるらしい台1つと筵とブリキ缶だけ,房には鉄格子に加えて木の扉も据え付けられている.かつては鉄格子だけだったらしいが,長い歴史の中で合鍵を作って抜け出した囚人がいたために,2重の扉になったらしい.この中の一つがかつてネルソン・マンデラが収容されていた房である.こんな中で生活した18年とはいったいどんなものだったのか… と考えさせられた.

中庭の運動場

独房棟に入ります
 

廊下の両側に独房が並ぶ

ネルソン・マンデラが収容されていた房

内部はシンプルです

 


ロベン島を後にする
 こうして監獄内の見学は終了,そのまま外に出て徒歩で桟橋に向かう.時刻は11時40分ごろほぼ予定通りである.すでに船は着岸しておりそのまま乗り込むのかと思いきや,その前にお土産物屋に寄れということでそちらへ.ロベン島関連のグッズが並んでいた中からTシャツを購入した.そのあとは本当に船に乗り込む.ただ満席に近くならないと出ないらしく,20分くらい足止めされ,出航したのは12時20分ごろだった.
 帰りの船は来た時とは異なるタイプでやや小型の高速船とのこと.かなり揺れるのかと覚悟していたが,往路同様揺れは少なくて拍子抜けする.結局30分かからずにケープタウンの港に到着した.

ゴルゴ13第50巻とともに
 

巨大な大砲

トーチカのようです

帰りの高速船
 


ステレンボッシュへ
 ウォーターフロントの港に着いた時分は朝とは違って晴れ間が見え始めていた.周辺も明るくてなんだか朝とは違う場所みたいだ.我々はそのまま歩いて駐車場に向かい待っていたバスに乗り込んだ.この後の予定はケープタウン郊外にあるステレンボッシュにて昼食&ワインのテイスティングである.
 南アフリカ,とりわけケープタウンのあるケープ州は比較的冷涼で,夏の日照時間が多いワインブドウの栽培に適した地である.このため町の郊外には良質のワインを生み出すワイナリーがたくさんあることで知られている.今回訪問するステレンボッシュはケープタウンから車で40分と近場にあるワインの里である.普段から酒好きワイン好きの我々であるから,この南アフリカのワインを堪能する機会は非常に楽しみにしていたもののひとつだった.
 町を離れて郊外に出てくると徐々に牧歌的な風景が広がってくる.見たら何頭もの牛が歩道を歩いている光景に出くわした(みんなで家出でもしたのか?).一般にアフリカというと砂漠やジャングル,サバンナのイメージがあるが南アフリカ大西洋岸はそうしたステレオタイプでないアフリカが見られる地域である(ヨーロッパ的なアフリカというべきか).この日我々が訪れたワイナリー,ゼーヴェンバッハは小さな湖のほとりにたたずむアフリカっぽくない(笑)ところだった.

ケープタウンに戻ってきました

大勢の観光客で賑わっています

ブドウ畑が!
 
 まずはレストランで昼食,この日のメニューはサラダとマレー風ラザニア,今旅行の食事(機内食と朝食除く)では初めての肉料理である.飲み物に関してはこの後テイスティングが控えていることもありソフトドリンクにしていた人たちもいたのだが,誘惑には勝てず赤ワインを注文した(料理にはやっぱりワインが合うので後悔なし 笑).  

ゼーヴェンバッハのレストラン

レストランの入り口

屋内はこんな感じ
 

前菜のサラダ

マレー風ラザニア

デザート
 


ワインのテイスティングに挑戦
 その後はワインのテイスティングへ.案内されてテーブルに着くと,ワインリストとグラスが置かれている.この日はこの中から5種類のワインをテイスティングである(白2,赤2,ロゼ1).ガイドさんが当地のワインについていろいろ解説してくれたのだが,本当に詳しい!この人実はワインが専門なんじゃないかと思ったのだった.中でも面白かったのが赤ワイン,南アフリカにはフランスのピノ・ノワールとサンソー(エルミタージュ)を掛け合わせたピノタージュという独特のブドウがあり,濃くてスモークが利いた風味のワインとなる.「南アでワインに迷ったらピノタージュ」というガイドさんの言葉が印象的だった.テイスティング後はここで醸造されているワイン樽の見学,ずらっと並んだ樽を見て,これらひとつひとつ全部個性が違うんだなぁと考えると非常に感慨深いものがあった.
 その後は周囲の湖畔を散策,緑の芝生がまぶしく,本当に爽やかなヨーロッパ的な気候で気持ちが良かった(付近にはあじさいも咲いていた).

ワインのテイスティングに挑戦

味わい深いです
 

ワインの樽

芝生の緑が美しい

湖畔でゆったり
 


再びウォーターフロントにて
 なんやかんやで16時過ぎまでここに滞在,その後バスに乗って町に戻る.約40分でウォーターフロント地区のショッピングモールに到着した.この後は1時間ほどここで自由時間,その後夕食という流れだ.一般に治安に不安がある南アフリカだが,こうしたショッピングモールは例外でたくさんの警備員や防犯カメラが設置されていて,スリや置き引き以外の犯罪は稀で安心して買い物ができる場所だ.ほかの参加者はさっそくショッピングに向かっていたが,基本的に買い物に関心が薄い我々はスーパーをちょっと散策した程度でそのまま外に出た.
 朝の曇り空とは打って変わりこの時間帯は晴れ渡っている(昨日と一緒だ).外では観光客が歩いていてまさに繁華街である.街角には大道芸人みたいな人もいた.ふと見ると目の前に観覧車がある.朝ロベン島行きの桟橋からも見えていて気になっていたところだ.集合までまだまだ時間があるのでせっかくだから乗ってみることにする.受付で料金を払って乗り込んだ.
 で,動き出したのだが,なんか速い! 日本だと観覧車はゆっくりと回って町の景色を堪能となるのだが,こちらはちょっと趣が違うらしい.あれよあれよという間に1回転してしまった.こ,これで終わりなのか!と思ってたら,降ろされる気配はなくさらに2回転,3回転目に突入,どうやら何回転もするのがこちら流らしかった(結局4回転で降ろされた).まさにところ変わればである.そうこうしているうちに集合時間になった.

ウォーターフロントのショッピングモール

牡蠣を売っています

サイのモニュメント
 

気になる観覧車

乗ってみました

高速回転します!
 


ケープタウン最後のディナー
 この日の夕食はウォーターフロントのレストラン,ショッピングモールから徒歩圏内.メニューはお昼に続いて肉,しかもステーキである(前菜はイカ焼き).飲み物は日中さんざんワインを飲んだとこともあってビールを選択,結局ぺろりと平らげたのだった.
 夕食の後は昨夜断念したケープタウンの夜景スポットへ,たどり着いたのはいいけれど昨夕同様雲がどんどん広がってくる.結局10分程度の写真タイムをへてそのままホテルに戻ることになった.明日はヨハネスブルグへの移動である.
   

前菜はイカ焼き

メインのステーキ

ケープタウンの夜景
   



 

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