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 ペルー旅行記(5)


2012年9月24日(月)


高地への旅立ち

 一夜明けて9月24日月曜日となった.この日はいよいよペルーのアンデス高地帯(シエラ)に入っていくことになる.2日前と同じビュッフェスタイルの朝食を食べてホテルをチェックアウト,バスで空港に向かった.
 月曜の朝ということで市内は渋滞,リマは都市圏の人口が800万人を数える南米有数の大都市だが,地下鉄などの公共交通機関が貧弱なため,市民の足はバスまたは自家用車に限定されている.道路は片側2車線以上あるところも多くてそれなりに整備されているのだが(少なくともマダガスカルの様な悪路ではない),キャパシティを上回る車の多さと運転マナーの悪さから効率的に交通をさばくことができず,いつも慢性的に渋滞しているのだった.ガイドさんも「みんながもう少しずつ譲り合いの気持ちを持てば,少しは流れが良くなるはずなんですがね〜」とあきれ顔だった.とはいえ,旅行会社側はそんなリマの交通事情を加味してスケジュールを立てているので,空港にはそれなりに余裕をもって到着した(まあ,その分早く出発させられているわけだが).

3日前にも来た空港



空港の内部
 
 リマのホルヘ・チャベス国際空港は3日前に到着した空港である.日本のように国際線は成田,国内線は羽田みたいに分かれている国もあるが,ここは国内線国際線共用の空港となっている.まずはカウンターでチェックイン,身軽になってからエスカレーターで2階に上がった.セキュリティチェックを抜けて搭乗ゲートを確認,出発時間まで間があったため,周辺のお店を冷やかしたりして時間をつぶした.  

クスコに到着

 そうこうしているうちに搭乗時刻となり機内に乗り込んでいく.機体は国内短距離路線らしくボーイング737だった(座席は3-3).飛行機はほぼ定刻に離陸,一路クスコを目指す.窓からはアンデスの山々が見え,さっそく気分が盛り上がる.安定飛行になると,飲み物と軽食のサービスが始まるのだが,国内線しかも朝早いということで,さすがの我々もアルコールは無し(笑),代わっていただいたのがペルーでは最もメジャーな清涼飲料

アンデスの山々
 

水,インカコーラだった(ペルーではコカ・コーラよりもインカコーラの方がシェアが大きい).見た感じはオロナミンCなどのビタミン飲料を彷彿させるが,結構甘みの強い飲み物である(炭酸はそれほどでもない).
 その後約1時間ほどのフライトで無事にクスコの空港に到着した.

インカコーラ

ビタミンドリンク風
 

 クスコはインカ帝国の都だった古い街である.街並み全体が世界遺産に指定されており,今でも50万の人々が暮らしている.地理的にはアンデスの高地帯に位置 し,その標高は3500メートルに達する.日本にはもちろんこんな標高の高い街はない(なんたって,富士山の9合目くらいだ.日本では標高の高い街といわれる松本市でも大体600メートルくらいである).
 これだけ標高が高くなると空気そのものが薄くなってくる.気圧は海抜0メートルで1気圧であるが,1000メートル上がるとだいたい10%下がっていく.標高3500メートルのクスコの気圧は地上の6割程度しかなく,酸素もその分薄くなっている.こういう場所で心配になるのが高山病というわけで,こういう高地帯に入った場合最初は無理をしないのが原則だ(人間には外環境に順応する能力があるので,高地に行ったら行ったでそれなりに順応するのだが,何らかの理由でそれが上手くいかないと高山病になる).
 飛行機を降りて大きく息を吸い込んでみた.実際はどうなのかわからないが,空気は乾燥していて確かに薄いような気がする.そのまま歩いてさほど大きくないターミナルに入ると,すでに大勢の乗客であふれかえっていた.見ると地元の旅行会社のデスクに交じって,酸素缶を売っているお店があるではないか(ビデオを流しながら販売してい た).さすが高地だと感動したのは言うまでもない.
 ここで現地ガイドのおじさん(アレックスさんという)と合流し,一同迎えのバスに乗り込む.バスはリマで乗っていたのと比べると前後が極端に短く,日本人の感覚だとなんだか違和感があった(これはクスコ市内の道路が狭いうえに曲がりくねっているため,こういうバスでないと身動きが取れなくなるかららしい).

酸素販売所

缶入りです

クスコの空港

なんとなく酸素が薄い?
 

世界遺産クスコの街

アルマス広場付近

有料モデルさんと(笑)
 

クスコのパノラマ写真
 


ケンコー遺跡

 出発すると,まずは街の郊外の高台にある遺跡の見学に向かった.高山病の症状は高地に着いてすぐではなく,数時間経ってから出てくるため,標高の高い観光をさっさと済ませてしまおうという趣旨らしかった.まずはクスコの町が一望できる展望台へ.見渡すとクスコが山に囲まれた盆地状の地形になっていることが分かる.そして屋根など街全体の色彩がこの辺の土地の色と同じ茶系に統 一されているのに感心した.この展望台にはリャマを連れた地元の人がいるのだが,実は彼らは写真撮影用のモデル(?)で,チップを払って観光客と一緒に写真を撮ったりするのである(勝手に撮ってはいけない).
 展望台の次に行ったのはケンコー遺跡, その名前から長寿と関係する遺跡のように思えるが(笑),ケンコーとはケチュア語で「ジグザグ」という意味で,実はインカ時代の祭礼場である.

ケンコー遺跡(正面)

こちらは背面
 

巨大な岩をくり抜いて内部を半洞窟とし,そこに祭壇が設置された構造である.この遺跡の上部にジグザグの溝が彫られていることからその名が付いているらしい.表側から見るとただの岩にしか見えないが,裏側に回ってみると,壁状に切断され,さらには通路状にくり抜かれた内部に,これまた一枚岩を加工したテーブルや棚が設置されている(このテーブルはミイラを作る台だったともいわれている).インカの遺跡というと,その見事な石組みが知られているが,このような石の加工技術の素晴らしさを実感できる遺跡だった.

ジグザグ模様
 

周囲には精巧な石垣も

遺跡の内部

一枚岩を磨いた台
 


サクサイワマン遺跡

 ケンコー遺跡から再びバスに乗って数分で今度はインカ時代の要塞跡といわれるサクサイワマン遺跡に向かう.ここは巨大な岩を精巧に積み上げた石垣が素晴らしい遺跡だ.石垣は主に三段になっていて,全長300メートル以上にわたってジグザグ状に配列されている.インカ文明は車輪を持っていなかったことで知られているが,にもかかわらずこれだけの巨岩をどうやって運び込み加工したのか,今もって謎であり様々な議論がなされている.
 遺跡中央には大きな広場があって,毎年冬至の時期(クスコは南半球なので冬至といえば6月)にはインティライミと呼ばれる太陽への感謝をささげるお祭りがここで開催される.ガイドのアレックスの話では,当日は地元の人たちのみならず大勢の観光客で大賑わいになるらしい.機会があればいつか来てみたいなと思ったのだった.

遺跡全体がジグザグになっているのがわかります

巨石を積み上げた石垣
 

この遺跡一番の巨石

真ん中はガイドのアレックス

遺跡中央の広場
 


ペルー風チキンカレー

 サクサイワマン遺跡を後にして再びバスに乗りクスコの市街地に戻る.時計を見ると午後1時半,昼食の時間である.この日はクスコの中心,アルマス広場に面したレストランだった.席に着くと,サービスなのか各種フルーツを揚げたスナックが出てきた.食事はチョイスメニューだったのだが,私は前菜がスープ,メインはペルー風チキンカレー(アヒ・デ・ガジーナ)を選択した.いつもならお昼でもビールなどアルコールも頼むのだが,この日は高

野菜チップス?
 
地入りしたばかりということでソフトドリンクで我慢した.ところで,クスコの様な高地では気圧が低いために,コーラやサイダーなど炭酸飲料の炭酸が抜けるのが異様に早い.実際にこの日はコーラを頼んだのだが,グラスに注ぐや否や炭酸がシュワシュワ抜け始め,数分後には気の抜けた状態になってしまった.  

かぼちゃのスープ

チキンカレー

リアルコカ茶
 
 


クスコ市内の観光

 昼食後はアルマス広場からクスコ市内を歩いて散策する.アルマス広場にはカテドラル(大聖堂)のほか,ラ・コンバニーア・デ・ヘスス教会が面している.カテドラルはインカ帝国時代はビラコチャ神殿だったところだが,この地を征服したスペイン人によってその建物部分は破壊され,残った石組みの上に大聖堂が建てられたものである(ここのようにインカ時代の石組みにスペイン風の建物築かれたところは多い).
 アルマス広場から今度は北東に狭い道を進んでいく.ここがハトゥン・ルミヨック通りで,ここに有名な12角の石がある.インカの石組みは糊剤などを使わずにいろんな形の石を精密に組み合わせていることで知られているが,この12角の石はまさに12角形の石が周辺の石にピタリ填められていて,剃刀の刃も入らないまさにインカの技術を象徴するような石組みである.有名スポットなので多くの観光客で賑わっていたが,ここにはインカの皇帝の格好をした現地人がいて,有料で観光客の記念写真に納まっていた.ちなみにその近くには,小ぶりながらもより角の数が多い14角の石もある.
 その後は歩いてサント・ドミンゴ教会へ.ここはインカ時代コリカンチャと呼ばれる黄金の神殿だったところだが,スペイン人によってほとんどの黄金が持ち去られてしまったらしい.ここもカテドラル同様インカ時代の石組みの上に建てられた教会だが,16世紀末の大地震で教会の建物は崩壊したにもかかわらず,インカの石組はびくともしなかったそうだ.教会は中庭を持つスペイン風の構造であるが,内部にはインカの世界観が表現された金板や,二重の扉などの史跡が展示されているコーナーもあった.

ラ・コンパニーア・デ・ヘスス教会

インカ皇帝の像にて

カテドラル

コロニアル調の建物
 

ハトゥンルミヨク通り

有名な12角の石

インカ皇帝とビザンチン皇帝
 

宗教美術博物館入口

同入口には14角の石が

インカ時代の小道
 

サント・ドミンゴ教会

中庭です

教会の回廊
 

二重扉

金の板

インカ皇帝の椅子?
 

インカ時代の石組みが良く残っています

湾曲した石組み


教会裏手の庭

 


ウルバンバへ

 ここまで観光して夕方近くとなり,迎えに来ていたバスに乗り込んだ.この日の宿泊先はクスコ市内ではなく,少し高度を下げた聖なる谷と呼ばれる場所になって いる.もちろんこれは標高3500メートルのクスコから下がることによって,体に与える負担を軽減するためであることはいうまでもない(聖なる谷の標高は2800メートル).バスで揺られること2時間弱で聖なる谷の中にあるウルバンバのホテルに到着した.ここに来てみると,たしかにクスコよりは呼吸が楽な気がする.ただ,このホテルはロッジタイプで,レストランなどがあるメイン棟と各部屋が離れていて,食事などの際に結構歩かされるのは辛かった(まあ,歩いても大丈夫な高度というわけだが).
 到着後部屋に荷物を置いてすぐに夕食となる.ここもチョイスメニューだったが,前菜はワンタンスープ,メインは羊肉のグリルを選択した.標高が下がったので一杯くらいいいだろうとグラスワインを飲んだのだが,回りが早くこの日はあっという間に眠りに落ちてしまった.さあ,明日はマチュピチュである.
 

ウルバンバのホテル

ワンタンスープ

メインの羊肉
 



 

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