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 ギアナ高地旅行記(6)


2010年8月10日(火)


カナイマの朝

 明けて8月10日,カナイマで最初の朝を迎えた.今朝の天気は曇り空である.この日の予定は午前中がメインイベントのセスナによるエンジェルフォール遊覧飛行,午後が郊外のユリの滝観光である.ただ,午前中の遊覧飛行に関しては,現地の気象条件とのにらめっこのため,行けるかどうかは直前までわからない.ということで,まずは朝食のためにレストランに向かった.こういう土地の朝食はシンプルなものが多いのだが,ここではハム・チーズに加えてハムエッグなどの卵料理もあるのがリゾートっぽかった.主食はアレパと呼ばれるトウモロコシで作ったパンなのが面白い.
 食事後はガイドのアントニオの案内でホテル周辺の散策である.敷地内にはたくさんの花が植えられていて,さながら植物園の趣であった(ガイドのアントニオは敷地内の花の写真を撮って植物図鑑を作っているらしい).特にレグムというマメ科の植物の花はなんとなく合歓の木の雰囲気を醸し出している.一方動物系ではゾウガメやラッパチョウなどが住み着いているようだった.また敷地内には初代オーナー及び現オーナーの長男氏のお墓(この長男氏は,先日来お世話になっているパイロット兄弟のお兄さんで,昨年セスナで貨物を輸送している時に事故で亡くなったとのこと)もあった.

カナイマ湖の朝

左下がアレパ

立派な鳥がいます
 

大きな亀が歩いています



試験管ブラシのような花が特徴的です


椿のような食虫植物(中央の粘液のついた部分で虫をとらえるそうです)
 

カナイマ湖周辺の航空地図

広範囲の写真(ユリの滝を含む)
 


カナイマ村を訪ねる

 さて,ホテル敷地内の散策を終えた段階で朝9時,空は徐々に晴れ間が広がっているのだが未だ遊覧飛行に出発という連絡が入ってこない.というわけで,いつ呼ばれてもいいようにこの後は村の中を見学しながら待つことになった.
 ボートとトラックバスを乗り変えて村に入っていく.以前のべたようにカナイマはギアナ高地観光の拠点ではあるが,人口2000人強の小さな村である.住民の大部分はペモン族と呼ばれる先住民の人たちで,それに外国人向けのホテル業に従事しているヨーロッパ系の人が混ざっている感じである(我々が宿泊しているウカイマ・ロッジのオーナーはオランダ人とのこと).まずは地元の小学校を訪問した.今は夏休み時期ということで子供たちの姿はなかったが,現在ここには300人程度の子供が通っているとのことだった(この小学校で教えている言葉はペモン語とスペイン語とのこと).校舎の壁には絵が描かれているなど,小学校っぽい雰囲気を醸し出していた.
 小学校の次は診療所を訪問,ここは村で唯一の医療機関のようで,一般の内科のほかに産婦人科や歯科も扱っているようだった.病床も4床あるようだったがこの時に入院している人はいない模様,我々の訪問時ドクターが1名いたのだが,一応同業者ということで挨拶させていただいた.地元カナイマの人たちは日常のストレスが少ないらしく,健康で長寿な人が多いとのお話だった(まあ気候も温暖だし,暴飲暴食とも縁がなさそうだし).
 診療所に続いては中学校の訪問,敷地も広くゆったりした環境の中にあった.小学校と違ってこちらは部活動なのか,生徒の姿がちらほらと見られる.我々が行ったときはちょうど音楽部(?)の生徒が楽器の練習をしていた(コンクールに向けての練習だったらしい).何か演奏してくれない?とガイドがお願いしたら日ごろの練習の成果を披露してくれた.

カナイマの小学校

壁の絵がいいです

地元のドクターと

診察室
 

寄生虫についての説明

カナイマの中学校

部活の練習のようです
 


パラカウア・キャンプ

 中学校訪問を終えた段階で,どうやらこの日のエンジェルフォール遊覧飛行は難しいとの連絡が入った.カナイマの天気は悪くないのだが,テーブルマウンテン付近の上昇気流は強烈なので,きっとアウヤンテプイ周辺は雲がひどいことになっているのであろう.
 というわけで,この日の午前中は予定を変更して当初はカナイマ4日日に組まれていたカナイマラグーンのボートクルーズに行くことになった.ただその前に我々が滞在しているウカイマ・キャンプと同経営のパラカウア・キャンプに行ってトイレ休憩である.ここにはベネズエラ第2の国鳥といわれるガジェット・デラ・ロッカが飼育されていた.この鳥のオスは鮮やかなオレンジ色をしていることで知られる(メスは地味な茶色,一般に鳥はオスが派手で,メスが地味と人間とは逆のパターンが多い).休憩後は地元の大型スーパー(?)のようなところで買い物タイム,ここは食料品から家電まで,車や飛行機以外は何でも売ってるんじゃないかというほど豊富な品ぞろえを誇っていた.

パラカウア・キャンプのレセプション

今回の旅行で散々お世話になったソレラビール

陽が出て暑くなりました

ガジェット・デラ・ロッカの雄

地元のスーパーです


カナイマラグーンのボートクルーズ

 買い物タイムの後,例のトラックバスに乗ってカナイマ湖畔の船着き場に向かう.
 カナイマ湖はギアナ高地を源流とするカラオ川の段差によってダムのように膨らんだ地形にできた湖であり,湖岸には砂浜が広がっている.その光景からカナイマラグーンというビーチリゾートっぽい名前がついているのだが,カラオ川の長い段差に沿っていくつかの滝が形成されており,それを見学しようという趣向である.
 湖畔にあるワク・ロッジというホテルの船着き場からボートに乗って湖に繰り出す.ここに限らずギアナ高地の川や湖の水は茶褐色をしている.これはここの水の源がテーブルマウンテン上に降り注ぐ雨だからで,山上に積もっている腐葉土から染み出たタンニンが多量に含まれているからである.
 ボートに乗り込む段階からすでに前方に滝が見えている.実際には同じ川から流れおちる一連の横に長〜い滝なのだが,岩や木々によって一部が分断されているため,一応湖畔の手前から,ウカイマの滝,ゴロンドリーナの滝,ワダイマの滝,アチャの滝と命名されている(この4つの滝の水量は実はエンジェルフォールよりも多いのだそうな).一同ボートに乗り込んで出発となる.ふと振り向くと,湖岸のホテルの真向いの湖面から椰子の木が3本生えているのが見える.この構図はギアナ高地を扱ったパンフレットなどでしばしば目にする定番のショットだ.
 ボートは徐々に滝に迫っていく.雨季のカラオ川は水量も半端ないので近くで見る滝は迫力十分である.それほど近づかないうちから水しぶきが飛んできた(これが気持ちいいのだが).湖面を見ると泡のようなものがたくさん浮かんでいる.これはタンニンの成分が泡になったものらしい.
 しばらく迫力ある滝を堪能したのち湖岸に戻り,昼食のために一旦ホテルに帰ることになった.

この小型ボートに乗って見に行きます

水しぶきが凄い!

カナイマ湖の三本椰子

ウカイマの滝
 

ゴロンドリーナの滝

ワダイマの滝

アチャの滝
 

カナイマ湖と4つの滝の全景
 


昼食時の珍客

 トラックバスとボートを乗り継いでホテルに戻った.時刻は12時半ごろで昼食が用意されていた.この日のメニューはミートソースっぽいスパゲッティとサラダである.麺類が出てくるとほっとした気分になるのは日本人の特性なんだろうかと考えつつお代りまでしてしまった(笑).
 この昼食中にカラフルな色彩のオオハシが2羽やってきていた.この鳥は別にホテルで飼われているわけではなく,こうして人間のランチタイムを狙ってやってきては,

この日のランチはパスタ
 
おすそ分けをねだっているらしかった(ホテル公式ではないがホテル黙認マスコットキャラということだろう).食後湖畔を散策していたら大きなイグアナを見つけてちょっと感動した.  

餌をねだるオオハシ

完全に人馴れしています

イグアナを発見
 


ユリの滝

 昼食後はカナイマの郊外にあるユリの滝を見学に行くことになる.ここはカラオ川の下流にかかる滝でアプローチに少し時間を要するせいか,カナイマ2泊程度のツアーだと省略されることの多い場所である.
 朝と同様にボートからトラックバスに乗り換えてカナイマの村を抜ける.そのままサバンナの道路を30分ほど北上して道が行き止まりになったところで下車,そこから歩いてジャングルの中に入っていく.雨季で川が増水した影響なのか,ジャングル内はあちこち水たまりがあって歩くのが大変だった.周辺にはトゲがいっぱい付いた樹木やターザン映画に出てきそうなツタがぶら下がった木などが生えていたが,我々の注目をひいたのは鮮やかな赤い実を付けた木である.実はこれカシューナッツの実なんだそうで,ガイドのアントニオが身を割って説明してくれた(生の状態だと甘酸っぱいらしい).そんなジャングルを歩いているうちにカラオ川左岸の船着き場に到着した.ここからはボートに乗って行くことになる.

サバンナの中を進んでいく


これがカシューナッツの実です
 

 ボートに乗っていた時間はそれほどではなく,間もなく川の対岸の船着き場に上陸,ここから再びジャングル内を歩いていく.地面は相変わらず水浸しで歩くのに難渋するところが多かったのだが,それでも15分ほどで滝のある場所に到着した.ここがユリの滝かと思ったら,どうやらここはユリルの滝といって別物らしい.なぁーんだと思ったが,このユリルの滝は水が無色透明で,タンニン含みで茶褐色の水が多いギアナ高地では極めてレアな存在ということだった(つまりはテーブルマウンテン由来の水系ではないということなのだろう).
 そんなユリルの滝を後にして数分歩くと轟音とともにカラオ川に出た.見ると高さはたいしたことないものの,川幅いっぱいに滝が豪快に落ちている(ナイアガラみたいな感じか?).ここがユリの滝である.茶褐色の水が豪快に流れるさまは,現地の人がこの水を指して「コカコーラ」というのがよくわかる気がした(そういえば泡立ってるし).
 当初の話だと,このユリの滝で水浴ができるかもということで,希望者は水着着用で臨んでいたのだが,あまりに水量が多すぎ不可能ということで(笑),しばらく滝を鑑賞して戻ることになった.

トゲがいっぱい付いた木

ターザン映画に出てきそうな木
 

カラオ河畔の船着き場

増水しています

気分は川口浩探検隊
 

ユリルの滝

この水はタンニンを含まない
 

こちらがユリの滝

とても水浴できません(笑)

夕暮れのカナイマ湖畔
 

 帰り道から段々空には雲が広がってきた.もと来た道を引き返してトラックバスに乗るころには本格的に降ってきた感じである(さすがは雨季といったところか).幸い絶妙なタイミングで濡れずにはすんだのだが,明日のエンジェルフォール観光に向けて,ちょっと不安がよぎった瞬間である.ホテルに戻った後はシャワーを浴びて夕食へ.この日のメインはビーフステーキだった.
 さて明日はいよいよ陸路エンジェルフォールを目指す,今回の旅行最大のハイライトである.朝は4時半起きということで,早めに寝ることにしたのだった.

この日の夕食は牛肉でした
 



 

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