私が小学校高学年の頃に夢中になった本の一つに,シャーロック・ホームズの生みの親として知られるA・C・ドイルの冒険小説「失われた世界」がある.南米大陸の未知の地域に,1億年前の恐竜の生き残りが生息しているという,古生物学者・チャレンジャー教授(すごい名前だ)の発表を検証するために探検隊が組まれ,アマゾンの鬱蒼たるジャングルの奥地へと分け入っていく…という胸躍るようなストーリーである.当時夜が更けるのを忘れて読みふけった作品だった.この「失われた世界」の舞台になったのが,南米ベネズエラのギアナ高地である. |
当時読んだ鶴書房版「失われた世界」 |
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ギアナ高地は2000m級のテーブルマウンテン(テプイ)が多く聳え立ち,年間を通して雲や雨が多いため,最近まで航空写真すらまともに撮れず,その地勢がはっきりわかっていなかった,まさに「地球最後の秘境」ともいうべき地域である.しかし近年は落差世界一の滝として有名なエンジェルフォールの遊覧飛行をはじめ,この地域を訪問するツアーが日本での旅行会社でも多く扱われるようになり,私もいつか訪問してみたいと憧れていたのだった.しかし場所は南米,日本からはどうしても乗り継ぎが必要な場所ということで,長めの休暇がないと行くのが困難であるのがどうしてもネックになっていた.
2008年に現在の勤務地に来てから,比較的長めの休暇を取るのが可能になってきたために,同年のナミビア旅行を皮切りに,アフリカや南米方面の旅行を考えることができるようになった.そこで2009年の旅行の候補地の一つとして,当初からこのギアナ高地を挙げていたのであった.しかしこの年はメキシコから始まった新型インフルエンザの流行で,私の職場にも「不要不急のアメリカ渡航は控えるように」とのお触れが出てしまい,結局断念せざるを得なくなってしまったのであった.
明けて2010年となり,ようやくインフルエンザ騒ぎも収まってきたということで,本格的にギアナ高地渡航を考えることができるようになった.行くからにはやはりエンジェルフォールも見たいし,ギアナ高地最高峰であるロライマ山(雨季だとヘリコプターで山頂部にアクセスするツアーがある)もぜひ行きたい.そのような観点や休暇の都合その他もろもろを考え,各種のツアーを検討し,最初に申し込んだのがクラブツーリズムから出ているツアーだった.しかししばらくたってから会社側から電話連絡があり,そのツアーは人数が集まらなかったため催行中止となった旨を告げられてしまった.ガーン!ショックであったが,人数が集まらなかったのでは仕方がない.それでは別の会社を当たろうと再度検討した結果,グローバルユースビューローから出ていた11日間のツアーを見つけ,これに懸けることにしたのであった.そして電話で問い合わせをしたところ,「あと2人集まれば催行決定となりますので,ぜひお申込み下さい」という返答が得られ,「やった!これはチャンスだ!」と早速申し込みを決めたのであった(その後すぐにこのツアーの催行が決まった). |
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さて,ベネズエラは黄熱病汚染地域になっている.この病気はその名の通り黄疸を主症状とするウイルス性疾患であり死亡率も高い.歴史的には野口英世博士の研究が有名であるが,現在ではワクチンの接種によって感染を防ぐことができる.ベネズエラ入国にあたっては一部のアフリカ諸国のように接種証明書(イエローカード)が義務付けられているわけではなかったが,接種が望ましいとされていることと,イエローカードは10年間有効なので,今後接種義務国への渡航の可能性もあることから,我々も横浜の検疫所に受けに行ったのだった(事前予約制なのと効果発現が接種10日目からということで早めの準備が望ましい). |
これがイエローカード |
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