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 ギアナ高地旅行記(3)


2010年8月7日(土)


プエルトオルダスへ

 異様に長かった8月6日からまだ一夜明けない7日の4時にモーニングコールで起こされた.この日は朝の定期便でギアナ高地の玄関口にあたるプエルトオルダスの町に行くことになっている.周囲がまだ暗い5時から朝食を摂るためにレストランに向かう.こういうリゾートホテルでよくあるタイプのビュッフェスタイルの朝食だった.長旅の疲労と時差ぼけ,さらには寝不足で辛いはずなのだが,意外に頭はしっかりしている.朝食を摂っているうちに周囲は徐々に明るくなってきた.レストランの外にはリゾーホテルトらしく気持ちよさそうなプールもあったのだが,今回の旅行ではまったく無縁の存在だった(泣).
 その後5時半に迎えの車が来て出発である.昨夜10時半からわずか7時間のリゾートホテル滞在だった(笑).昨夜来た道を戻って空港へ,チェックインは添乗員と現地係員が代行 してくれるため,私たちは空港の一角で待機となる.とはいえ,立派なラウンジや待合室があるわけじゃないので,本当に空港の隅にしゃがんで待っていた(笑).しばらくしてチェックインが完了したとのことで,そのまま搭乗口に向かう一同であった.
 ほぼ予定通りに飛行機は離陸,約1時間ほどのフライトとなる.途中には広大なジャングルのほかに大きなダムと思しき水域や湿地帯が見渡せた.日本のダムとは比較にならない大きさに感動した(ベネズエラは川が多く,水力発電が国の重要な柱となっている).そうこうしているうちに,飛行機は無事にプエルトオルダスに到着した.
 

ホテルのプール(夜明け)

混雑する空港

これからの予習です
 
   
   


ラ・ヨビスナ公園

 空港のビルから外に出ると,現地ガイドが迎えに来ていた(マッシモという名前だった).彼の案内でバスに乗り込み街に向かう.プエルトオルダスは1960年代にアメリカの鉄鋼会社によって作られた比較的新しい街である.現在ではカロニ川の対岸に広がるサン・フェリクス(こちらは400年の歴史を持つ古い街)と合わせてシウダーグアヤナという人口100万の都市圏を形成している.バスの中から街並みを眺めると,一般にスペイン&ポルトガル風の街並みが多い南米の中では珍しいアメリカ風の街並みに感じられた.道路もよく整備され,車がビュンビュン走っている.公共交通機関が未発達のベネズエラでは自動車が人々の足となっていた.
 今の季節ベネズエラは雨季であるが,日本の梅雨とは違って一日中雨がしとしと降るわけではなく,他の熱帯地域一般と同様にザザッと降ってはパッと晴れるを繰り返す感じである.この日は朝から太陽も顔を出す良いお天気だった.そんな中我々はまず市内にあるラ・ヨビスナ公園に向かった.
 町の公園と聴くとこじんまりとした広場をイメージするが,ここはかなりの規模を誇る公園だった.ベネズエラは大きな川と滝が多い地形のため水力発電が盛んなのだが,ここもそんなダム湖に面した公園だった.発電に利用されると思しき滝もあるのだが,とても人工物とは思えないほど本格的なものだった.
 しばらく公園内を散策していたら,道路の上をモサモサと葉っぱが動いている.なんだなんだとみてみたら,なんとハキリアリの集団であった.ハキリアリは中南米に生息するアリの一種で,強靭なあごで葉っぱを齧りとって巣に運び,それを原料にしてキノコを栽培する,いわゆる農業を営むアリとして知られている(その他アブラムシを飼育することもあるらしい).そんなハキリアリの集団が我々のすぐそばを秩序よく行進していたのだった.

ラ・ヨビスナ公園

解説をする現地ガイド

緑が眩しいです

整備された公園です
 

アドベンチャー的なところも

豪快な滝

これでも公園の中です
 

ハキリアリの行進
 


キロ・グルメ

 公園を一通り散策した後,今夜宿泊するホテルに向かう.地方とはいえ100万都市のホテルはなかなか立派だった(空調もキンキンに効いていた).ただ,ホテルのエレベーターに乗るのにカードキーが必要であるなど,この国の治安の悪さを示唆するポイントもあった.
 ホテルにチェックインして部屋に入った後,明日別送する大きな荷物の整理を行う.これは明日プエルトオルダスからグランサバナの途中までセスナで移動するためスーツケースなどの大型の荷物は持っていけないからである.とりあえずは今夜から明日の夕方までに必要な物品を取り分けて作業は完了した.
 その後13時ちょい前に昼食に出かけることとなった.この日はなんと地元のショッピングセンターのフードコートである.土曜日ということもあるのかショッピングセンターは大勢の人で賑わっていた.食事はキログルメという名の1kgまで好きなだけ取ってよいというビュッフェ・システム,好きなだけとってもいいよといわれても,1キロは食べられないなぁと苦笑したのだった.

ショッピングセンターのフードコート


私の昼食です
 


カロニ川のボートクルーズ

 昼食後,今度はボートクルーズに繰り出す.プエルトオルダスは南米第3の大河オリノコ川とギアナ高地にその源流を持つカロニ川の合流地点に位置する.この合流地点を観察しようという企画であった.カロニ川はギアナ高地を源流としており,そこのテーブルマウンテン上に積もった腐葉土から出たタンニンを含んだ水は冷たく澄んでいる.一方オリノコ川はベネズエラ南部,ブラジル国境に近い熱帯雨林地帯を源流とし,コロンビアとの国境付近をを流れてやってくる.その水は上流から大量の泥を運んでくるために白く濁っており水温は温かい.この二つの川の水はその性質が全く異なるために,合流しても交わらず二つの水流が並走する光景が見られるのである.ボートに乗って合流地点に行って,実際にその不思議な光景を目にして一同から感嘆の声が上がったのだった.

このボートで出発です

カロ仁川です
 
 合流地点の見学の後,今度は午前中に公園から眺めた滝を見に行く.ボートは全速で,そのまま突っ込むんじゃないかという勢いで滝に向かっていき,ギリギリのところで停船した.おかげで滝の水しぶきが降り注いで一同びしょ濡れだったのだが,この日は天気も良く,かなり気温も上がっていた時間帯だったので,とても気持ちが良かった.
 

写真上部がカロニ川の水,下がオリノコ川の水

豪快な人口の滝


近くまで行きましたが凄い水しぶきでした
 


驚くべきガソリン価格

 クルーズが終了した段階でまだ午後4時だったが,日本からの長旅に加えて朝も早かったということで,この日は早めにホテルに戻って休むことになった.バスは途中で給油のためにガソリンスタンドに入ったのだが,表示されていたガソリン価格が 1リットル0.07ボリバル! 日本円にすると 1リットル1円!!!(日本の100分の1以下).もちろん市場原理にすればこんな価格になるはずはなく,これは政府が補助金を出して国策として低価格にしているのである.ベネズエラでガソリンを買って,日本に密輸したら大儲けできるんだろうなと思った.

下段が給油量(単位リットル),上段が価格(単位ボリバル)
 
 ホテルに戻って休憩後,この日の夕食はホテル内のレストランだった.ここで初めて今回の参加者が一同に会したということで自己紹介となる.さすがこういう場所にやってくるだけあって旅慣れた人ばかりだった(世界70カ国以上訪問しているという方もいた).仕事をリタイアした方が多かったが,そうでなくても平均年齢は高めで,自分なんか圧倒的に若い部類だったた(おそらくウチのKが最年少では).この時間帯から外は雨模様に,やっぱり熱帯スコールといった感じに降っていた.で,そんな夕食中に日本ではめっきり少なくなった停電が発生,我々は驚いたのだがこちらの人は慣れっこなのか,まったく動じる気配はなく,ろうそくに灯りをつけていたのが印象的だった.
 さあ,いよいよ明日からギアナ高地の懐深くに入っていくのである.
 



 

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