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 ボリビア旅行記(8)


2015年2月12日(木)


ウユニを去る朝

 さて,2月12日はとうとうウユニを離れる日である.朝の飛行機で移動ということで,この日の起床は3時50分だった(結局ウユニ滞在3日間とも起床時間はほぼ一緒).身支度と荷物出しをしてロビーへ,さすがにこの時間にレストランは開いていないので,ロビーにお茶とクッキーが用意されていた(早朝のロビーは寒いので温かいお茶はホッとする).しばし寛いだ後,3日間お世話になった高坂先生とお別れして,これまた3日間お世話になった専用車に乗り込んだ.

コルチャニ村で列車に遭遇!
   
 5時にホテルを出発,一路空港に向かう.かつてウユニには空港はなく,ラパスからバスで10時間かけてようやくたどり着くという真の秘境であった.空路が設定されたのはわずか数年前のことであり(2011年),以来訪問が容易になったことで,日本の大手旅行会社の取り扱いも増え今に至っている.
 車は順調に走っていたが,忘れ物をした参加者がいたらしく,その往復のためしばし停車,その後無事に取ってきたたとのことで再び発車した.コルチャニ村に入ると,なんと目の前の線路を貨物列車が走っているではないか! たしかこの路線週に2便とかいってたような… なんにせよすごく貴重な光景だと喜んだのだった(これも日頃の行いか?). 
   


ブロッケン現象

 6時15分ごろに空港に到着,ここも国内線なので添乗員さんとガイドのみずえさんがチェックインの手続きをしてくれる.早朝の空港は寒く,暖が欲しいなと思ってふと見たら,上の方で火が燃えているストーブを発見,なんて効率が悪いんだろうと思った(暖かい空気は上に上るので,暖房はなるべく低いところで燃やすのが一般的.逆に冷気は下に向かうので冷房は天井に付ける).それでも我々は群がるようにそんなストーブに手をかざしていた.

効率の悪そうなストーブ
   
 手続きも終わったのでそのままセキュリティへ.ゲートをくぐると,「ブ〜」となってしった.すぐに女性の係員がやってきて,「オハヨウゴザイマ〜ス」と言って棒のような機械で胸やお腹をチェック,そして「ウシロムイテクダサ〜イ」と促して今度は背中をチェックして,無事終了&通過と相成った(この係員,東洋系の乗客には判で押したように同じセリフをしゃべっていたのが笑えた).

ウユニ空港のロビー
   
 その後7時過ぎから搭乗開始となり,もう全員乗り込んだのか,定刻よりも早く出発した.離陸して窓から外を見るとウユニ塩湖が見える.「ああ〜,この光景も見納めか」と感慨にふける私,旅行の時はいつもこの瞬間が切ないのだった.飛行機は雲の上を順調に飛行していたが,途中で虹のリングの中に機影が映る,ブロッケン現象が見えて感動した.     

搭乗するアマゾナス航空

上空から見たウユニ塩湖

ブロッケン現象が!?
   

ラパスに到着

 1時間もかからないフライトでラパスの空港に着陸,一同飛行機を降りる.ラパスはボリビアの事実上の首都だ(憲法上の首都はスクレ).ウユニのような高地の秘境から首都に戻ると,「ああ,平地に降りてきたのか」と錯覚するが,実はラパスとウユニは標高差がほとんどない(というか,ラパスの空港は標高4000メートルでウユニよりも高地).なので首都についたからといって,安心できないのがボリビアという国,深呼吸をしながらゆっくりとターミナルに向かうことにする.ターンテーブルから荷物を受け取りターミナルの外へ,待っていたマイクロバスに乗り込んだ.
 バスは空港の駐車場から市内へと向かう.南米は今でも昔ながらの風習が残る地域が多いのだが,特にこのボリビアはそうで,いまだムラ社会の掟のようなものが生きているらしい.通りの角には吊るされた人形が見られたのだが,これは「ムラの掟に背いたものはこうなるぞ!」という戒めの意味があるそうだ.バスは途中ガソリンスタンドに寄ったのだが,その際に添乗員さんが朝からクッキーくらいしか食べていない一同に配慮して地元のお菓子を差し入れてくれた(感謝).
   

標高4000mのラパス空港

街角には人形が!

差し入れのお菓子
     


ティワナク遺跡

 ここからはまず,ラパス郊外にあるティワナク遺跡に向かう.南米というとインカ帝国のイメージが強烈で,このためなんとなくインカ時代が長く続いていたように錯覚するが,実はインカ帝国時代は15〜16世紀の100年程度に過ぎず,それ以前には南米各地にさまざまな文明が栄えていた.ここティワナク文化は,それらプレインカ文明の中でもとりわけ古いもので,その始まりは紀元前にさかのぼるといわれている.
 駐車場でバスを降りると目の前には駅が広がっていた(現在は線路も朽ち果ててとても列車が走っているようには見えない).そのそばに博物館が建っていてまずはそこで歴史や構造を学習(博物館内は写真撮影禁止 ((+_+))),その後遺跡に入る.内部に入ると,まずは穴の開いた石が目に入る.この穴に耳を近づけると遠くの声が聞こえる一方,この穴を通して声を出すと遠くまで響く構造になっていて,古代のスピーカーなどと言われているそうだ.
 ティワナク遺跡は天上の世界,地上の世界,地下の世界からなるとのことで,天上部分にはかつて巨大なピラミッドがあったらしい.ただ現在は廃墟と化しており,足場等も悪いため登ることはかなわず,下から眺めるだけであった.そのまま続いて地上の世界を構成するカラササヤと呼ばれるところへ向かう.ここは台状に石組みがされた空間で,かつてはさまざまな建築物があったとされているが,今残っているのは太陽の門やモノリートと呼ばれる人物像などごく一部である.このうち太陽の門はこの遺跡でもっとも有名な建造物で,一枚岩で造られたこの時代のものとしてはかなり精巧なものである.ただ保存状態が悪く,割れてしまっているうえに今立っているのは本来あった場所ではないとされている(本来あった場所がどこなのかわかっていないらしい).一方のモノリートは,ポンセおよびフライレと呼ばれる2体の像で,どちらも両手に何かを持った構図をしている.このうちフライレの像にはカニの姿が描かれている.この地は海から隔絶した内陸地,このカニはサワガニなんだろうかと不思議に思った.
 その後は地下神殿へ.ここはたくさんの人の顔が彫られている壁が有名とのこと.いろんな顔があって,中にはソクラテスのような風貌の顔もあった.また月の門と呼ばれる門もこの一角にあった.この地下空間は現在立ち入り禁止となっているらしい.ただ特にロープが張ってあるわけでもなかったので,知らずに入った欧米系の観光客が怒られていた.

ティワナク遺跡

駅でもあります

リャマのお出迎え(ただし不用意に近づくと唾を飛ばしてきます 笑)

古代のスピーカー

天上の世界アカパナ
   

地上の世界カラササヤ

太陽の門

鎹を打ち込んだような構造の岩
   

フライレと呼ばれる像

カニの像が…

こちらはポンセの像
   

地下神殿です


いろんな種類の人物の首が彫られています

こちらは月の門

   


ラパス市内の展望

 遺跡の観光を終えたあとはラパス市内へ.途中市内を一望できる展望台へ立ち寄る.ラパスは盆地状の空間に200万人が暮らしている大きな街である.空気が薄くてこの地形であるから,エンジンも不完全燃焼が多く,外科医に比べて有毒ガスの発生量も多くお世辞にも空気が良いとは言えない環境だ.一方で日本だと山の手・下町なんていうように偉い人&お金持ちは高いところに,庶民は低いところに暮らすの が定番だが,

標高の高いラパスは車の排ガスも多く空気は悪い
   
ラパスのような高地では逆に,お金持ちほど低いところに住み,貧しい人たちは高いところや斜面に暮らしている.これは,高いところは空気が薄くて水源もなく,雷が落ちるリスクも高いことから嫌われるからである(この辺はマチュピチュと一緒).     

ラパス市内の展望
   


サガルナガ通り

 展望台を後にして市内の低いところへ入る.この日の昼食は久しぶりの日本食,しかもカレーだった(市内のヨシコというお店).ほっとする味でうれしかったが,盛りが多いように感じた.ただお店の人によるとこれでも少な目にしているとのことなので,現地の人はどれだけ食うんだと驚きである.
 ランチ後はホテルへ向かう.バスは昼下がりのラパス中心部を進んでいくが,たくさんの人々が歩いているのが見えた.大都市の熱気を感じるが,この町はまた強盗などの犯罪も多いところであり,一介の観光客がふらふらと歩くわけにもいかない(そんなことを考えているうちにもパトカーが通り過ぎて行った).

ラパス市内からアンデス東山脈最高峰のイリマニ山(標高6439m)が見えます
   
 しばらくしてホテルに到着,この日のホテルはリッツという名だが,あのリッツ・カールトンとは別経営らしい(笑).しゃれた感じのよいホテルであった(キッチンもあって自炊できる).
 少し休んだあと市内観光(というか買い物タイム)へ.ラパスはすり鉢の中にあるだけに坂の多い街だ.特に繁華街として知られるサガルナガ通りは函館の大三坂通りをにぎやかにした感じだった.前述のようにラパス市内は治安が悪いのだが,このサガルナガ通り界隈は観光客も多く,スリなど最低限の注意を払っていれば大丈夫らしい.ここでいったん解散となりみんな思い思いの店へ.他の人たちはみな熱心に買い物をしていたが,私とKはというと,相変わらずネタモノを見つけては喜んでいた(笑).

昼食のレストラン
”YOSHIKO”

サガルナガ通り

たくさんの露店が並びます

楽器屋さんも
   

リャマの胎児のミイラ

リャマハ?

こ、これは…

愛の妙薬(笑)
   


ラパスの夜景

 買い物からホテルに戻り再び休んだ後夕食に向かう.この日は夕食も和食,今度は市内の高級住宅地っぽいところにある「ふるさと」というお店である.ここでは一人予算80ボリのフリーオーダー制ということで,お昼のカレーの影響が残っていた我々は日本酒とおつまみにしたのだった.
 夕食後は市内の夜景がきれいな公園へ行ってのミニ撮影会.さすが写真ツアーなのでみんな三脚持参でバシャバシャ撮っていた.ちなみに日本だとこの手の公園はカップルがたくさんいるのが一般的だがが,ここはそうではなくこれもお国柄の違いなのかと思った(去年の同じ時期に行ったミャンマーでは公園というと,昼間から大勢のカップルがイチャついていたのを思い出す 笑).
 しばしの写真撮影後はホテルに帰還,我々は飲み足りないのか(笑),ミニバーのビールを開けて飲んでいたのだった.さあ,明日はとうとう帰国の日である.

夕食のレストラン”ふるさと”

記念撮影
   

見事なラパスの夜景
   



 

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