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スバールバル基本知識


・スバールバル諸島の地理

 スバールバル諸島は北ヨーロッパのスカンジナビア半島(ノルウェー,スウェーデン,フィンランドのある半島)のほぼ真北,北緯74度から81度,東経10度から35度に位置する,大小9つの島からなる群島であり,ヨーロッパ最北端のノールカップと北極点のほぼ中間にある.気候区分はすべて寒帯に属し,地表の60%は氷河に覆われている.しかし,他のヨーロッパ諸国と同様北大西洋海流の影響で緯度の割には気候は温暖で,夏は10℃位まであがり,冬も−20℃を下回ることは少ない.北極圏(北緯66.7度以北)の中でも緯度の高いところであり,4月下旬から8月下旬までは一日中太陽の沈まないミッドナイト・サン(白夜),10月下旬から2月中旬は太陽が昇らないポーラー・ナイト(極夜)の日々が続く.
 スバールバル諸島
 
諸島の総面積は62,000km2(九州と四国を合わせた程度),人口は群島全体で約3,000人で,そのほとんどが最大の島であるスピッツベルゲン島に住んでいる.スバールバル諸島は一応ノルウェー領であるがスバールバル条約に加盟するすべての国に鉱石資源の開拓が認められており,ノルウェー人のほかロシア人も多数住んでいる.主要な都市(集落?)はすべてスピッツベルゲン島にあり,ジェット機が発着できる空港を持つロングイヤービーエン(人口約1,400人)が最大の集落である.その他の主要なものとしてはロシア人集落であるバレンツブルグ(人口約1,000人)や観測基地のあるニーオールセン(人口50〜100人)がある.
 スバールバル諸島の主要産業は従来は石炭業であり,ロングイヤービーエンやバレンツブルグなどの集落を中心に多数の炭鉱があった.しかし石炭資源の払底やエネルギー構造の変化から近年は閉山が相次ぎ,これら石炭業に従事する人は減少している(このため以前は1000人規模の人口を抱えていたピラミッデンというロシア人集落がゴーストタウンと化してしまった).かわって近年は観光や研究活動が盛んになりつつあるようである.
 

@ ニーオールセン
 主として研究者が住む.
人口50〜100人

A バレンツブルグ
 ロシア人の集落.
人口1000人.

B ロングイヤービーエン
 スバールバルの中心都市.
人口1400人
 


・スバールバル諸島の歴史

 スバールバル諸島の地理上の発見について,古くは1194年のアイスランドの記録にこの諸島についての記載がある(Svalbardi fundinnと記されている)が,公式には1596年のオランダ人Willem Barentszによるとされている.彼はここを「尖った山」という意味でスピッツベルゲン諸島と名づけた.その後17世紀から19世紀にかけてはヨーロッパ人による狩猟や沿岸での捕鯨が行われる程度であった.18〜19世紀に始まった産業革命によって石炭の需要が急増すると,石炭を埋蔵したこの島は俄然注目を集めるようになる.1906年に最初の炭鉱が開かれ,以後鉱業の島としての発展が始まるのである.1920年にスバールバル条約が締結され,1925年政治的にはノルウェーの管轄下に入った.この時から諸島の正式名称はスバールバル諸島(ノルウェーの古語で冷たい海岸という意味)となり,従来のスピッツベルゲンは諸島中最大の島の名前となった.1926年に人類初の北極海横断飛行を成功させたノルウェー人アムンゼンも,ここスバールバルから飛び立っている.1939年に始まった第2次世界大戦の戦火はこの極北の島にも及び,1943年にはドイツ軍の大規模な空爆や艦砲射撃を受け諸島の施設は大きな被害を受けた.
 戦後は再び炭鉱の島として発展していたが,石炭資源の払底等により各地の炭鉱が採掘終了となり,石炭業は衰退の一途をたどっている.長らく炭鉱関係者以外が訪れることもないところであったが,1975年にスバールバル空港が開設され定期便が運行されるようになり,近年は観光客が増加している.また1993年に The University Courses on Svalbard (UNIS)が設立され極地研究の拠点としても重要な場所となってきている.
 


スバールバルの豆知識

 @ 土足禁止
 ロングイヤービーエンの建物(ホテルや博物館などの公共施設を含む)に入る際には,入口で上履きに履き替えなくてはならない.以前は日本でも学校や病院などで見られた風習である.

 A タクシー
 ロングイヤービーエンのタクシーはメーター制で初乗り50クローネ(約800円),以後は1クローネ刻みとなっている.流しのタクシーはないのでホテルのフロントなどで呼んでもらう.空港には飛行機の到着時刻に合わせてタクシーが集まってくる.車種は日本のようなセダンは少なく,RV車のような大型車が多い(主として観光客相手が多く,荷物の運搬に便利だから?).ちなみに空港からスピッツベルゲンホテルまで約140クローネであった.

 B 北極熊(白熊)
 北極の主とでも言うべき大型(体長3メートル)の熊.当然スバールバルにも住んでおり,冬季などにはロングイヤービーエンの街にも出没するという.


スピッツベルゲンホテルの下足所の様子です

街を囲む山の斜面にある炭鉱の入口が見えます
 

人間が襲われたらひとたまりもないので(日本の本州以南に住んでいる小さいツキノワグマなら巴投げをかけて難を逃れたひともいるが,白熊相手では無理),街から外に出る際は銃を持参するか,銃を持ったガイドが同行することが義務付けられている.
 C スバールバルの物価

 野菜や果物などの生鮮食料品は全て輸入になるため高価であるが,付加価値税がないためノルウェー本土に比べると一般に物価は安い.しかし北欧自体の物価が元々高いためとても安いという印象はない.

 D 炭鉱
 元々ロングイヤービーエンは炭鉱によって発達した歴史があるため,今でも街のあちこちに炭鉱の入口のような施設が見られる.町全体の雰囲気はロールプレイングゲーム,FFYにでてきた炭鉱都市ナルシェを思わせる.

 



 

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