ビザンチン皇帝の部屋 本文へジャンプ
アクセスカウンター
 SINCE 2011年9月25日
       

ナミビア旅行記(8)


2008年9月21日(日)


ソッサスフレイへ

 我々のナミビア旅行もいよいよ終盤戦である.そのクライマックスを飾るのにふさわしい場所,それはズバリ世界最古の砂漠ともいわれているナミブ砂漠である.前にも記したようにナミビアは南米のチリ北部とともに典型的な海岸砂漠の地として知られている.ナミブ砂漠は総面積5万平方キロに達する広大な砂漠で,そのアプリコット色の砂はこの砂漠の代名詞ともいえる.
 さて,ここは特に日の出頃が美しいといわれているが,そのためには朝まだ暗いうちにホテルを発たなければならない.この日は3時起きであった(き,きつい).こんな暗いうちからはさすがに食堂はやっていないので,今日の朝食はボック

まだ夜明け前のソッサスフレイ・ロッジ
 
スである(ボックス式の朝食は今までに2005年ドイツ演奏旅行の帰国日,2007年のマダガスカル旅行帰路でのバンコク,同年の台湾演奏旅行の帰りで経験している).お弁当と共に我々も車に乗り込んで出発,約60kmの行程なので到着まで車内で寝ることにした.  

 星空の中,車は荒野を走っていたはずだが,目が覚めると目の前にはナミブ砂漠観光の拠点となる「ソッサスフレイ・ロッジ」の建物が見えた.まだ周囲は暗く,夜明けには早い.ここのレストランで先ほどのボックスの朝食を取ることとなった(コーヒーや紅茶はここで注文できる).中身はパンとゆで卵,果物,ヨーグルトといったシンプルなものである.腹ごしらえのあと,いよいよ砂漠に向けて出発となった.
 我々の乗った車は4WDのサファリカーである.ナミブ砂漠の最深部に入っていくのには四駆でないと心もとないのだ.この時点でだいぶ空が明るくなってきていたが,それでも結構寒かった.車はサバンナの一本道をひたすら走っていく.回りは見渡す限りの荒野である.最初は草原の中に潅木もまばらに生えていたが,だんだんそれも少なくなってくる.そのうちに赤茶けた岩肌を見せる丘が見え始め,そのうちにそれらは砂丘であることがはっきりわかるようになってきた.おお,だんだんそれらしい風景が目に入るようになってきた.砂丘の斜面には枯れたような草が生えているのだが,よく見ると所々に,ちょうど10円ハゲのように草が生えていない部分があった.不思議な光景であるが,一説によるとこれはある種の植物から出る毒素のために,その部分だけ草が生えないようになっているとのことらしい(他にも諸説あるようだが).道路の途中には,ちょうど鳥が羽を広げているかのような姿(以前トチロー扮装をした際に製作した「トリさん」を彷彿とさせる形であった)で立ち枯れている木があったので,この木の前で記念撮影である.
 赤茶けた大地に伸びる一本道をひたすら走り,いよいよナミブ砂漠の最深部・ソッサスフレイに入っていった.

荒野の一本道をひた走る

我々の乗った四駆車

所々に10円ハゲのような

トリさんのような木
 


Dune45を登る

 ナミブ砂漠はひと口に砂漠といっても一面の砂というわけではなく,荒野の中にいくつもの砂丘が点在する形になっている.これら砂丘にはそれぞれに番号がつけられているのだが,その中でも特に名高いのが,Dune45と呼ばれる砂丘である(Duneは英語で砂丘の意).グラビアや映像でナミブ砂漠が紹介される時には,必ずこの砂丘が登場する.そう,あの「アプリコット色」とよく表現される,砂漠の中の砂漠,King of 砂漠ともいえるナミブ砂漠の顔である.我々もついに,この砂漠をじかに肌で感じる時を迎えたのであった.
 ナミブ砂漠の砂丘は日の出直後の日向と影のコントラストが美しい.みな盛んにその光景を納めようとカメラのシャッターを切っていた.

これが有名なDune45 です

光と影が素晴らしいです
 

よく見ると意外に植物が存在することがわかります

強風で砂煙が舞ってます
 

 ちなみにナミブ砂漠と言うとガイドブックなどでのイメージから,一面にアプリコット色の砂漠が広がっているものと思われている向きもあるが,実際には荒野の中にアプリコット色の砂丘が点在しているといった方が実勢に近い.
 なので知らないで行った人はちょっと拍子抜けするかもしれないが,目の前にそびえる巨大な砂丘はとても壮観である.ただ,その砂丘も永遠不変のものではなく,強風
 
によって常にその姿を変え,年月とともにその位置さえ刻一刻と変化するのだという.
 さて,一通り撮影すると次は登ってみたくなるのが人情,砂丘には既に多くの観光客が登っていた.我々も砂丘の麓に車を停め,早速登っていくことにしたのだが,せっかくなので新選組装束で登ることにした(笑).この砂丘を背景に写真を撮ればまさに「火星の土方歳三」である(笑).
 しかし麓から見てもよくわからないのだが,実は砂丘の稜線の上は結構風が強い.この強風のゆえに,砂丘は刻々とその姿を変えてゆくのである(観光客が踏み荒らした足跡もこの強風であっという間に旧に復している).
 立って登っているうちはよいのだが,バランスを崩して砂の上にへたり込んだりすると,風と共に舞い上げられた砂ぼこりが顔を直撃するのである(たちまち口の中がじゃりじゃりになり,呼吸もままならない).
 地面が砂なので歩きにくいのだが,一度転んでしまうと呼吸どころでなくなるので,すぐに立ち上がらなければならない.それでもさすがに頂上まではいけなかったが,砂漠で気勢を挙げる新選組隊士の姿を何枚か撮影することには成功した.

ナミブ砂漠の実相は荒野に点在する砂丘です

砂丘前で記念撮影

砂漠とはいえ所々に樹木も
 

Dune45に登る人々


Dune45で強風と戦う新選組隊士(笑)

稜線から風下にずれるとだいぶ風が弱い
 
 Dune45の観光を終え,次に我々が向かうのは,干上がった湖と枯れ木が独特の光景を作っているデッドフレイである.ここはナミブ砂漠の最深部にあたり,ナミビアを扱った観光パンフレットにもよく登場する場所である.その枯れ具合が「ハルマゲドン後の地球」を彷彿とさせる光景が広がっていた(雨季の後には水が溜まっていることもあるらしい).
 しかし一見「死の世界」のように見えるこの地域にも,動植物はきちんと生息しており,葉の部分に多く水分を貯蔵できるようにして蒸散を極力抑えたつくりになっている潅木や,一見枯れ草のように見えるが,水をかけるとたちまち花を開かせる植物が生えている.
 動物の世界では,TVでナミブ砂漠が紹介される時によく登場する,逆立ちして霧の中の水分を背中の突起に集め,水分補給を行うことで有名なキリアツメゴミムシダマシを見ることができた.ちなみにここでも私は新選組装束である(しかしここも多数の観光客が歩いており,特に別のツアーの日本人観光客に見つかった時はちょっと恥ずかしかった 笑).ここでは飢えと乾きに悩まされてへたり込む隊士の動画も撮影してみた(他の観光客に,いったい何事かと思われてしまった 汗).
 こうして神秘のナミブ砂漠の景色を堪能した後再び4WD車に乗り込み来た道を引き返したのだった.

ナミブ砂漠最深部デッドフレイ

まさにハルマゲドン後の世界という感じです

キリアツメゴミムシダマシです.彼自身には騙そうという気持ちはないと思います(笑)
 

蕾に水を浸けると,写真のように急に花開きます

この〜木何の木,気になる気になる〜

木陰で休んで水を飲んでいる新選組隊士でした(笑)
 

オマケ動画です(笑)
 


セスリエム,そしてまたウィントフックへ

 一旦砂漠観光の拠点,ソッサスフレイ・ロッジに戻り,ここで昼食である.ここの昼食はビュッフェスタイルであった.海外の食事ではあまり出会うことの少ない,透明タイプのイタリアンドレッシングがあったのがうれしかった.昼食会場から外を見ると,なんとすぐそばにダチョウやスプリングボックが数頭いるではないか.まさに絵に描いたようなアフリカの光景である.もしかするとここのロッジで餌付けされている個体なのかもしれないが,それでも新鮮であった.
 昼食の後はまた四輪駆動車に乗って移動である.今度の訪問先はセスリエム・キャニオン,ここは1500万年の長い年月をかけて形成された渓谷で,ほぼ垂直に切り立った崖が特徴である.崖から下に降りて,ちょうど「川底」にあたる部分を歩いていくが,崖の部分をよく見ると,丸みを帯びた石と砂が,ちょうど「おこし」のように固められているのがわかる.そして周りの風景は,アメリカのグランドキャニオンを髣髴とさせる.この荒涼とした風景が,地球の歴史を感じさせ,実に面白いのだが,それにしても照り返しの日光が眩しい.私もKもサングラスを着用することにしたのだが,怪しさ満点である(笑).
 セスリエム観光を終えた後は,ひたすらウィントフックへ向けて走るばかりである.周りに広がるのは一面の荒野であるが,こんな乾ききった大地でも植物は生きており,特に道路わきに生えているアカシアの木は,黄色い花を咲かせていた.とにかく「干からびた大地」という言葉がふさわしいところばかりだったが,しばらく走っていると,思いがけず水が流れている川があるのに出くわした.水といってもそんなに大量ではなく,ごく浅い川の流れであったが,ものすごく久しぶりに水の流れた川を見ることができ,思わず感激してしまった(日本で「水の流れる川が久しぶり」なんてまずないからなあ).

 ウィントフックまであと90kmあまりというところで,我々は給油を兼ねた休憩をとることになった.立ち寄った場所はちょうどガソリンスタンドとコンビニがセットになったような休憩所である(アメリカの街道筋なんかではよくあるタイプ).
 ちょうど我々も喉が渇き,炭酸飲料が飲みたくなってきた頃であった.私はコーラを購入,一方のKはなにやら変わった飲み物を買ったようである.それはソフトドリンクの一種で「STONEY」という商品名の「ジンジャービア」(ジンジャーエールとどう違うのか不明)であった.最初Kは「多分ジンジャーエールの親戚みたいなものだろう」と思って購入したらしいが,飲んでみると強烈な生姜の辛さが襲ってきたらしい.「辛〜い」といいつつも,結局ホテ

スプリングボック

こちらはダチョウ

セスリエム・キャニオン入り口

ごつごつした岩が広がります

切り立った崖が特徴的です

亜熱帯の強烈な直射日光が
 
ルにたどり着くまでに飲み干していた.ちなみに私がコーラを飲み終えた後,空いたペットボトルを店の脇のゴミ箱に入れたところ,まもなく地元民らしきおっさんがボトルをゴミ箱から拾い上げ,わずかに残った中身を飲んでいたのは衝撃的であった.
 給油と休憩を終え,後はホテルに向かうばかりである.最期の宿泊先は初日と同じサファリ・コートホテルである.ここで夕食をとって部屋に戻り,明日はいよいよ帰国である.
 

乾季のナミビアでは珍しい水のある河

これがウワサのSTONEYです


ナミビアの幹線道路の多くは未舗装です
 

ウィントフックに向かう国道


一般道ですが最高速度は120キロです

一週間ぶりのホテル

 



 

ナミビアトップへ   旅行記(7)へ   旅行記(9)へ