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ナミビア旅行記(4)


2008年9月17日(水)


セスナに搭乗

 一夜明けて今日は旅行3日目である.ほとんど何もしていないのにもう3日目というところに,いかにここが日本から遠いかが伺える.まずは朝食だが,会場は昨晩と同じレストランだった.ここの朝食はパンやハム,チーズなどのほかに卵料理も用意されていたのだが,Kがスクランブルエッグをとろうとしたらなんと在庫切れであった.そこでスタッフに頼んで調理してもらうことにしたのだが,彼は鉄板の上に卵を割り落とし単にそれをへらで崩して「いり卵」を作っていた.なんとも安易である(笑).
 朝食の後は荷物の搬出,チェックアウトである.今日はこれからまず国内線用の空港へ行き,そこからセスナ機に乗って北西部のカオコランド地方へ飛び,この地域で独自の生活文化を守るヒンバ族の村を訪問することになっている.ちなみにセスナ機にはスーツケースは載せられないので,これらは別途レイノ君が車で今日の宿泊先(ダマラランド地方)まで搬送してくれることになっていた.
 チェックアウトを終えた我々はセスナが待機している国内線用の空港(ホテルのすぐそばであった)へと向かったのだが,この空港,名前をエロス空港という(笑).なかなか味わいのある名前の空港だが,内部は実にこじんまりとした様相であった.
 ここで我々は2つのグループに分かれて,2機のセスナで飛ぶことになった.内訳は1機は私とKと添乗員さん,もう1機には男性2人組と1人参加の女性2名である.続いてパイロット2名との顔合わせになるのだが,我々のチームは若い男性パイロット,もう一つのチームにはリサさんという名のベテラン女性パイロットと決まった.そしてそれぞれがそれぞれのセスナに分乗し,いよいよ出発である.
 今日も雲ひとつない快晴である.Kは「こんな小さい機体で大丈夫かな…」とやや不安がっていたが,彼女の心配をよそにセスナは滑走路から飛び立っていった.天気が良いだけに,眼下の風景がよく見える.ナミビアは今乾季,こうして見ると実に「乾いた大地」であることがよくわかる.川筋のようなものが見えるが,水が流れている気配がない.そう,川も干上がっているのだ.そして山々も,まるでアメリカのグランドキャニオンのようである.まさに荒涼という言葉がぴったりである.途中,機体がちょっと揺れるたびにKがビビッていたが,約2時間のフライトを経て,我々はヒンバ族の土地・カオコランド地方へと無事降り立った.

楽しい名前の空港です

パイロットの説明を受けます

セスナに乗り込みます

私は助手席でした

干上がって川底が見えます

テーブルマウンテン?
 


ヒンバ族の集落を訪ねる

 我々が乗ったセスナ機は,ほとんど空き地のような状態の滑走路に降り立った(施設は他には給油所ぐらいしかない).ここでもう一機の到着を待つのだが,その間少し滑走路周辺を散策してみることにした.周囲は一面の荒地である.とても農業などできそうにない.せいぜい遊牧が精一杯であろう.とはいえよく見ると足元には,可愛らしい紫色の花が咲いている.一見枯れ草ばかりのように見えるこの一帯だが,そのような中でも健気に生きている植物もあるのだ.
 まだ午前中の早い時間帯なはずだが気温の上昇と空気の乾燥でのどが渇く.持参したミネラルウォーターを口に含んだ(極度に乾燥しているので汗がどんどん蒸発してしまうため,油断するとあっという間に脱水になってしまう).
 そのうちに他のメンバーも到着し,ここからまた車に乗ってヒンバ族のいる集落へと向かうのだが,集落を訪問するにあたり,彼らの長老との折衝を担当する現地人のガイドが我々一行に同行することとなった.

Kの心配をよそに無事に着陸しました(笑)

荒地にひっそりと咲く花です
 
 集落の訪問に当たっては彼らに心づけとして穀物や日用品などを贈呈するのだが,この謝礼が各集落平等にいきわたるように現地ガイドが訪問先を調整させているのである.ヒンバ族といえども文明社会と無縁ではいられない時代になっているのである.
 集落に向かう途中この地方最大の町であるオプヴォを通ることになったのだが,この町が近づいてくると,すでにあのパンフレットの写真そのままのいでたちの人々が道路を歩いているではないか!普通の洋服を着ている人たちに混じって,あのヒンバ族として写真で紹介されている,あのままのスタイルの人が,まさに我々の目の前を歩いていたのである.「本当に普段からああいう格好してるんだ…」と感動を覚えたのはいうまでもない.
 
 さて今回独自の生活習慣を守るヒンバ族の集落を訪問するにあたって,観光客が注意しなければならないことがいくつかあるが,その中に「勝手に写真を撮らない」というものがあった.彼らとの折衝にあたる現地人ガイドが,事前に彼らの長と交渉し許可を得て初めて我々は彼らとの接触が許されるのである.これは観光客としては絶対に守らなければならないことであった.
 オプヴォの街に向かう反対側の道路を走っていき,我々は現地ガイドが指定したヒンバ族の集落にたどり着いた.集落にはいかにもといった感じのアフリカ先住民の住居にありがちな小屋が点在し,たれ耳のヤギの群れも見られた.
 先ほど書いたように,部族の長の許可が出るまで撮影は禁止である.現地ガイドが長と交渉し,やっと撮影OKとなった.まずは集落の住民の紹介である.午前中の訪問だったため,男性はみな集落の外に狩などの作業に出ているということで,村にいるのは女性と高齢者,子供がほとんどであった.みんなあのパンフレットの写真にあるようなチョコレート色の肌をしている.現地ガイドの解説によると,この色はこの地で採れる赤茶色の岩石の粉にバターを混ぜたものを塗ることによって出るもので,これが強い日差しから肌を守るのだそうである.また,この「ファンデーション」を塗るのは,彼らにとってはいわば入浴と同じような行為なのだそうだ.またこの行為と共に,香木のようなものを火で焚いて,その煙で全身に香りをつけることも行うらしく,「そういえば平安貴族にも,似たような習慣があったなあ」と興味深く思ったのであった.

ヒンバ族の住居です

ここは倉庫のようです

綺麗にまとめています

家の内部です
 
 集落を見学したら,いよいよヒンバ族との「ふれあいタイム」(?)である.まず我々が添乗員さんの提案によりみんなで日本の歌(今回は「汽車」)を振りつきで歌うことにした.これが結構ヒンバ族の皆さんにウケたようで,次には彼らが部族に伝わる歌と踊りを披露してくれることとなった.彼らの踊りは両腕を大きく振る動作があったことから,最初は鳥の動きを模したものかと思ったが,実は牛の動きだったらしい.彼らは狩猟のほかに牧畜も主な生業としているため,このような踊りが行われてきたのであろう.我々も彼らの踊りの輪の中に入り,楽しませてもらった.そして締めには彼らの手工芸品(アクセサリーなど)の販売も行われ,我々は楽しい思い出を胸に集落を後にしたのであった.  

子供は塗っていません

記念撮影(1)

記念撮影(2)
 

彼らへの日常雑貨品

寛いでいる様子

ヒンバ族の踊り
 

ヒンバ族の歌と踊りです
 


こちらは褐色のクリームを肌につけるところです
 


野生のメロンとヘレロ族

 ヒンバ族とのふれあいを終えた我々は再びもとの道を引き返して昼食用のホテルに行くこととなった.車は荒涼とした土地を土煙を上げながら走っていたが,ふと外を見ると道路の両脇になにやらスイカかメロンのような大きな実がいくつも転がっているのが見えた.ドライバーに訊くとなにやら野生のメロンだという.すると例の2人組の男性が「あのメロンを食べてみたい」と言い出したのである.
 確かにぱっと見はスイカに似ている.野生なのであまり美味しくなさそうな気はするのだが,ぜひ挑戦してみたいという2人の要望により,途中で車を停めてそのメロンを採集してくることになった.
 まもなく2人がメロンを採ってきたのであるが,誰もナイフなど持っていなかったために,地面に打ち付けて実を割るしかなかったのだが,このメロン,皮がものすご〜く硬いらしくてなかなか割ることができない.男性2人組も苦戦していたが何とか叩き割ることに成功したようだ.中身はというと,ちょうど「メロンの果肉にスイカの種」といった感じの色合いである(クリームスイカというウワサもあった 笑).彼らは早速食べてみたのだが,恐ろしく苦かったらしい(彼らは「まるでセンブリや〜」と言っていた.センブリというのは胃腸薬として用いられる苦〜い薬草である).
 その様子を見て,我々はさすがに食べる気にはならなかったが,せめて匂いだけでもと嗅がせてもらった.確かに青臭くて,お世辞にも美味しそうな雰囲気ではなかった(苦).
 こうして野生メロン試食会(?)は終了し,再び車をオプヴォ方面へ走らせることとなった.ところでこの街にはヒンバ族のほかに,ヘレロ族と呼ばれている人たちも暮らしている.外見は全く異なるのだが,基本的にこの2つの部族は同じ民族らしい.どうも植民地時代に宣教師によってキリスト教化されたのがヘレロ族,されずに元の生活スタイルを守っているのがヒンバ族なのだそうだ.
 ヘレロ族の人たちはビクトリア風のロングドレスと独特の角のような帽子を着用しているのが特徴である.ぜひ彼らとの写真を撮りたいということになり,モデル探しとなったのであるが…こういうときに限ってヘレロ族が誰も歩いていない(海外旅行のマナーであるが,勝手に現地の人たちの写真を撮るのはご法度であり,あくまでも同意をもらってから撮影する.まあ国内でももちろんそうなのだが).
 何とか車を走らせ,モデルはいないかと躍起になる我々であった.先ほどの2人組男性の一人が「よし,念力や」と言って念力でモデルを呼び寄せるべく気合を入れ始めた.

道端に野生のメロンが

一見クリームスイカ様ですが…

ヘレロ族はカラフルな衣
装が特徴的です

昼食で利用したホテル

リゾートの趣です

ナミビアのステーキ
 
そうするうちに一人で歩いているヘレロ族の女性を発見!近づいてみたが…結構年配の方だったようで,今回は「ごめんなさい」であった.やっぱり若い女の子の方がいいということになり(汗),次の標的探しとなったが,これがなかなか見つからない.しばらく探し回って,ようやく独特のドレスをまとった若い女の子を見つけたのであった.
 交渉の末にモデル料を支払い記念撮影である.ブルー系のドレスを着た,なかなかお洒落な女の子であった.よく見ると首から携帯電話をぶら下げている.こんなところでも携帯電話は普及しているのだ.
 ヘレロ族との写真撮影会も無事終わり,我々はあるリゾートホテルのレストランで昼食と相成った.私は魚のフライ,Kはステーキを注文したが,味も良い上にボリューム満点である.隣のテーブルにいた客の一人が,なにやらアイスティーのような色合いの飲み物を飲んでおり,Kが「美味しそうだね」と言っていたが,どうやらこれは「シャンディ・ガフ」という,ビールをレモネードで割ったカクテルだったらしい.
 


ドロナワーズ・ロッジ

 昼食を終えた後我々は例の滑走路に戻って再びセスナに分乗である.今度の目的地は朝のエロス空港ではなく,今晩の宿泊先である「ドロナワーズ・ロッジ」そばの滑走路,往路よりも短いフライト時間とはいえやはりKはビビッていた(笑).眼下に広がる乾いた大地,それでもほとんど涸れかかった川のほとりにはところどころに緑も見ることができた.そしてグランドキャニオンそっくりの山々,実にワイルドな光景である.そのうちにロッジらしき建物が見えてきた.まるで砦のようなメイン棟を取り囲むようにロッジが点在しているのが見える.ここが本日の宿泊所となるドロナワーズ・ロッジであった(日本語のイメージではまるで泥縄式に建てられたホテルのようだがもちろんそんなことはない 笑).まさに何もない原野にぽつんと小さな集落のようにある人工建造物である.しかし茶と黒を基調としたその外観は周辺の景色にマッチしていた.
 セスナ機はロッジそばの滑走路に無事に着陸,ここから送迎の車でロッジに向かう.ロッジのメイン棟はまるで要塞のようなワイルドな造りで,宿泊用ロッジと共に実に周りの景観に溶け込んでいる.ここは4年前に完成したばかりのまだ新しいロッジらしく,中も小奇麗で快適であった.電気は自家発電で,水は地下水をくみ上げて使用(当然飲用には不適),食料品など必要物資は週に1度ウィントフックからトラックで輸送してくるそうである.ロッジには既にレイノ君も到着していたらしかった(彼は今朝ウィントフックを出発して陸路ここまで我々のスーツケースを運んできたわけである).
 フロントで施設の説明を受け荷物を部屋に搬送した後,我々はこのホテルで主催しているオプショナルツアーのサファリツアーに参加することにした.他のメンバーも全員参加である.この地域には象を初めとする野生動物が各種生息しているそうで(ちなみにロッジ周辺にも出没するらしく,夜中に外に出ると象に踏み潰される恐れがあるので注意するようにと言われた),ぜひ生で見てみたいと思ったのであった.早速サファリカーに乗り出発である.
 途中ドライバー氏が車を停め,その辺に生えている植物の茎を採取して,我々に見せながら説明を始めた.藪のように群生しているこの緑の茎を持つ植物は,象は普通に食べるらしいのだが,実は猛毒を含んでいるとのことだった.

サバンナの中に建つドロナワーズ・ロッジです

まるで砦のようなロッジのメイン棟です

メイン棟の周辺にコテージが並びます

一見何の変哲もない植物に見えますが…

実は猛毒を持った危険な植物なんです
 
茎を切ると切り口から乳液が出るのだが,実はこれが猛毒で万が一手に付いた場合はしっかり手を洗わないと大変危険ということである(汁のついた手でうっかり目をこすったり,飲食をしたりすると大変である). 
 解説の後は,再び車での移動であるが,今は乾季ということもあり,なかなか動物の姿は見られない(たまに鳥なら飛んでいるのだが).
 そのうちにドライバー氏(と添乗員さん)から「ダチョウがいますよ」との声が.示された方向を見ると,確かにダチョウが歩いているのが見えた.しかし目立った動物が見えたのはそれきりで,しばらくは何も見ることができなかった.所々に象の糞が見られるなど,この辺に動物がいるらしい痕跡はあるのだが,なかなか主の姿は見つからない.それでも車は生き物の姿を求め,サバンナを駆け抜けていく.途中には雨季ならば水が流れているであろう川底もあった.
 それにしてもオープンスタイルのサファリカー,しかも夕方ということもあるんだろうが寒い!車内には毛布も備え付けてあったので,とりあえずこれを纏って寒さをしのぐことになった.途中,昼間に念力でヘレロ族の女性を呼び寄せた実績を持つ(?)男性が,また念力で動物たちを呼び寄せるべく頑張ったのだが,なかなか生き物は現れない.しかしそれでも途中でバブーン(ヒヒ)数頭とクドゥ1頭を見ることができた.
 
 こうして「本当にゾウが見られるのか」という不安と寒さに震えること十数分,ようやく我々は数頭の象にめぐり合うことができた.ここの象は「砂漠象」と呼ばれ,少ない水分量でも生きていけるように進化した種類なのだそうである.飼育された個体ではない,正に野生の象.こうしてみるとすごい迫力である.数頭の象が茂みの中で草や木の葉を食べている.我々は夢中でシャッターを押したことはいうまでもない(ゾウがズシズシとこちらに迫ってきて踏み潰されるんじゃないかとも思ったが).
  ゾウの見学が終わると,帰りには地平線のかなたに沈むアフリカの太陽を眺めるのだが,それにしても寒い.内陸部のしかもサバンナだけあって,日が沈むと冷え込みが強烈なのである.実はこのツアーは1ドリンク付き(ビールかソフトドリンク)だったのだが,あまりの寒さゆえ,とてもじゃないが飲もうというメンタリティにならなかった(むしろ熱燗が欲しいくらい).よってビールは部屋にお持ち帰りとなったのである.
 ホテルに到着すると体を温めるシェリー酒が振舞われた.これからレストランで夕食である.我々は南アフリカ産のワイン(ナミビアにもワインはあるらしいのだが,あまり美味しくないらしい)を楽しみながら夕食を楽しんだ.しかしそれにしても,他のメンバーと比べても我々は実に酒飲みである(笑).夕食後は部屋に戻ってシャワーを浴びるのであるが,これが実に寒い(泣).まさに震えながらのシャワーであった.私は部屋の外に出て,南半球の星空の撮影にいそしんでいた.
 夜は冷えるだけあって,ベッドの中には湯たんぽが用意されていた.おかげで我々は凍え死ぬこともなく(大げさ),眠りに付くことができたのであった.明日はトゥウェイフルフォンテーンである.

この馬は野生ではありません

ようやく見つけた砂漠ゾウ

ダマラランドの夕陽です

ロッジの内部
 

砂漠ゾウが闊歩する様子
 



 

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