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マダガスカル旅行記(7)

2007年6月13日(水)


ペリネの森

 今までの場所ではほぼ晴天続きだったが,この日目が覚めてみると,外は何となく曇り勝ちであった.マダガスカルと言うと熱帯地方というイメージだが,今は南半球の冬に当たる6月であり,しかもこの辺は内陸部であると同時に,標高も高めの比較的雨の多いとされている区域である.外に出てみると結構寒く,半袖シャツでは厳しい感じだ.今日は朝食後に,森へ行って現存する最大の原猿類・インドリの観察を行う予定である.「天気がイマイチだけど,インドリが見られればいいなあ…」と思いながら身支度を整えていた.
 まずはレストランに行って朝食である.昨夜は夕食が部屋食だったので,レストランに入ることはなく,今回は朝食で初めて入場ということになるが,ここは小奇麗なスタイルの食堂であった.例によって朝食はパンと卵料理,果物に紅茶かコーヒーであった.朝食をとっていると,隣のテーブルに女の子を連れた女性二人が座っているのを発見,なんと日本人であった.初日にイヴァトゥ国際空港で浅川氏に会って以来,久しぶりに会った日本人である.結構久しぶりだったので感動してしまった.
 朝食後,ホテルの前から車に乗り,インドリが生息するペリネ自然保護区へと向かった.昨夜は真っ暗な中を走っていたので,どんな道路だったかよくわからなかったのであるが,この日改めて車窓から見てみると,やはりすごい山道であった(まさにキック道だ).しばらく走っていくと民家や商店が見えたが,なんとなく懐かしい造りである.途中には線路や駅の姿も見られた.

今回我々が宿泊したバコナロッジの様子です

ホテルの朝食です

ホテル内のあちこちに,木
の彫り物が飾ってあります
 
 公共交通機関の整備が遅れているマダガスカルではあるが,首都を中心に若干の鉄道路線は存在する.この周辺にも鉄道が敷設されており,一時は運行を停止していたものの,近いうちに再開される予定ということであった.
 それらの施設を観察しながら車は進み,やがて保護区の入り口に着いた.ここにはビジターセンターやトイレ,食堂や売店といった施設が用意されていた.
 

ホテルのレストランの前で

地元の教会のようです

あまり現役とは思えない線路
 


インドリを探して

 ペリネ保護区は面積は約800haと決して広くはないものの,地球上で最大の原猿であるインドリや,日本では童謡でよく知られているアイアイが生息していることで有名なエリアだ.ただし保護区であるため,個人で勝手に歩き回ることはできず,ガイドに案内されての観察となる.今回は私とKのために専属のガイドが付いてきた(皇帝の旅行だ 笑).
 ガイドは女性で,現地語と英語を話し,それをラペさんが日本語に訳してくれた.ペリネ保護区のツアーは2時間コースから1日コースまで何種類かのバリエーションがあるらしいが,今回の我々は2時間のコースだった(これは観察目的の原猿の種類によるらしい.インドリのみの観察の場合は2時間で十分ということのようだ).
 まずは入り口にあるトイレで用を足したのだが,なんとここに日本語のプレートが,どうやら日本の野生生物研究団体の援助で作られたトイレらしい.日本とマダガスカルの意外なつながりにちょっと感動した(TOTO製の綺麗なトイレだった).
 さあ,インドリ探しの始まりである.インドリはその大きさとともに,大きな声で鳴く原猿として知られている.その鳴き声は時に「歌を歌うよう」と表現されることある美しいものらしい.我々は期待に胸を膨らませて森に入った.
 ガイドとともに歩いていくと,まず目に付いたのはブラウンキツネザルだった.これはベレンティー保護区でも見た,もっともノーマルなタイプのキツネザルで,マダガスカル全域で見ることができるものだ.早朝の寒い時間でも

ペリネ保護区のビジターセンターです

今回我々の案内をしてくれた女性ガイドです

これが日本の団体の援助で作られたトイレです
 
あり,彼らは主に木の上にいた.
 さらに歩いていくと,なにやら遠くのほうから甲高い鳴き声が,「これ,インドリ」とラペさん,耳を澄ますと,高く澄んだ長い鳴き声が交互に聞こえてくる.どうやら仲間と交信しているらしい.歌を歌うようという表現が的確かどうかは不明だが,独特の鳴き声であることは間違いないと思われた.
 声が聞こえたのでその方向に歩いていけばインドリに会えるのかと思っていたが,どうやらそんなに単純じゃないらしい.今の声では相当遠くにいるため,行って見つけるのは難しいというガイドの話だった.
 

ここにも旅人の木が生
えていました

これは,椿の仲間の花なのだそうです

こうしたペリネの森の中に入っていきます
 


インドリを発見!

 そのまましばらく歩いていったがなかなかインドリにはお目にかかれない.ガイドブックや旅行案内にも,「運がよければインドリに会える」と書いてあったため,もしかして運が悪かったのかと一瞬悲観的な気分になりかかったが,日頃の行いはいいはずだと自分にい聞かせて歩いた.
 と,思っていたらガイドがなにやら電話で話している.どうやら公園内のガイドがお互いに電話でインドリ情報を交換し合っているらしく,ガイドの1人がインドリを見

ガイドの方が通信機でインドリ情報を収集します
 
つけたらしい.すわ急げとばかりに目撃現場に直行した我々だった.
 現場に近づくと,先ほどは遠くで聞こえていたあのインドリの声が間近で聞こえてくる.予想以上に大きな声で,歌というよりはサイレンに近い感じだ.ガイドが「ほら,あそこ」と指差す方向を見ると,
いましたインドリが,白黒模様の原猿が木につかまってこっちを見ていた.その姿はいかにも堂々としていて原猿の王者の貫禄たっぷりだった.さらに見渡すとここにも1頭,向こうにも1頭と数頭のインドリが木につかまりながらけたたましい声を出していた(どうやらこれで1家族らしい).周囲には話を聞きつけた観光客が大勢集まっていたが,皆インドリたちの醸し出す世界に浸っていた.
 

こうして見ると,インドリは大きくて貫禄があります






 

これが最大の原猿インドリの動画です
 
   

インドリの鳴き声(遠く編)    インドリの鳴き声(近く編)  
遠くから聞こえるインドリの声.なかなか
風情があります
  至近距離でのインドリの声.ボリュームを
絞ることをお薦めします
 


原猿の住む小島

 目指すインドリを堪能し,再び園内を歩いて植物や動物を見物した後,我々は最初の入り口に帰ってきた.ここで公園のガイドとはお別れである.再び車に乗った我々が目指すのはレムール島であった.ここは昨夜泊まったホテル(バコナ・ロッジ)の敷地内を流れる川の中央に浮かぶ中の島のことであり,そこに原猿達が放し飼いになっているのであった.ペリネ保護区を訪れた観光客の多くも立ち寄る場所らしく,ここの原猿はかなり人馴れしているらしい.川岸の船着場から係員が漕ぐ小さなカヌーに乗って島に渡った.
 島に上陸してみると,早速ブラウンキツネザルの群れが出迎えてくれた.皆何かをせがむような仕草をしている.そこでラペさんとカヌーを漕いできた人が,用意していたバナナの細切れを差し出すと,サルたちは待ってましたとばかりにバナナを貪り取り,彼らの肩や頭に乗ったりしていた.どうやら完全に餌付けされた原猿らしい.ラペさんに勧められるまま私もバナナを使って原猿とネタ写真を撮ったりして遊んだが,バナナの匂いだけでわかるらしく,サルたちが次々と纏わりついてバナナを持っていかれた.
 この島では4頭のブラウンキツネザルの他に1頭のシロクロエリマキキツネザル,1頭のベローシファカを目撃した(皆完全に人馴れしていた).
 ブラウンは人懐っこく,シロクロエリマキは長老然とした雰囲気が良く,シファカは得意の横っ跳びを存分に披露してくれた.

これから小舟で島に渡ります

このように島は目と鼻の先ですが,猿には越えられない壁になっているようです

シロクロエリマキキツネザル.なんだか長老風情があります
 
ここにはその他にワオキツネザルもいるらしかったが,残念ながら見ることはできなかった.
 どうして小島にサルを放し飼いにしているのだろうと不思議に思ったが,原猿は泳ぐことができないため,彼らが逃げ出さないようになっているのとともに,他の原猿の侵入を防ぐ役割を果たしているらしかった.この島は日本の動物園などにもよくある,”触れ合いコーナー”的な場所のようであった.
 こうして原猿達と遊んだ後再びカヌーで島を後にした.
 

ブラウンキツネザルのワンパク4人衆(戦隊シリーズ).

餌をちらつかせると,このように肩や頭に載ってくれます

でたぁ,シファカの横っ跳び.この島にも一頭います
 

ガイドのラベさんの手からバナナを貪り取って食べるシファカの様子です
 


エキゾチックファーム

 原猿の小島を後にして一度ホテルに戻って昼食を撮り,午後はアンタナナリボに戻ることになる.ホテルから未舗装の山道を走り,アンダシベの町で国道に出る.ここの国道はフォール・ドーファンの国道13号線とは違って舗装もしっかりしており,時速40〜50km位で走れるのだった.順調に走行していったが,途中でマンドラカにあるエキゾチックファーム(マダガスカル エキゾチック)に立ち寄った.ここは民間経営の小さな動物園で,カメレオンやカエルといった小さな動物から,キツネザルまで多くの種類の動物がいるようであった.

エキゾチックファーム.バラックが並んだように見えますが,中身は結構充実しています
 
とはいっても我々は既に各地でキツネザルにはお目にかかっていたため,ここではカメレオンを初めとした小動物を中心に見学することにした.
 係員とラペさんの後から付いていって,種々の小動物の檻(?)に入って見学する.カメレオンの檻にはいろんな色のカラフルなカメレオンが沢山生息していた.係員が串の先に虫を付けてゆっくりと差し出すと,カメレオンはその長〜い舌を伸ばして瞬間的に捕捉して食べていた.ふと木の上を見上げると,これまたカラフルな色彩の蛇の姿が見られた.その他にも様々な種類のカメレオンやヤモリなどの爬虫類やカエル,木の葉に擬態している昆虫,昔の宮崎駿氏のアニメ映画「風の谷のナウシカ」に登場する“オーム”を髣髴とさせる巨大なタマヤスデの一種(一見ダンゴムシのようだが,違う生き物らしい)などが展示されていて,どれも私達を魅了するものばかりであった.
 しばらくの見学の後,再び車で今度はアンタナナリボに向かった.
 

エキゾチックファームのレセプションです.各種解説も展示してありました

このようにカラフルなカメレオンが多数展示してあります(詳細は概要のページ参照)

手乗りカメレオン
 

カメレオンが長〜い舌を伸ばして虫を食べます
 

こちらも素早く虫を食べています
 


ヒルトン・マダガスカル

 さすがに首都近郊の道路は舗装も行き届いており,車は順調に走行していった.周囲に人家が増えてきたことから,どうやら市内に入ったらしいことがわかる.徐々に交通量も増え,脇を歩いている歩行者も多くなった.周辺を見渡すと人が鈴なりになったワンボックスカーが走っている.これが”タクシーブルース”と呼ばれる,マダガスカルの路線バスである.
 公共交通機関が未発達なマダガスカル(アメリカのロサンゼルスよりは発達しているかもしれないが 笑)では貴重な庶民の足である.自動車には定員があるはずだが,そんなことはお構いなしに大勢の人や荷物を乗せて走っている.中には走り始めた車両に飛び乗った人もいた(完全にヤッターマン状態で乗っていた).
 そんな周囲を見渡しているうちに,前方に巨大な建物が.これが今日から我々の宿泊先となる,ヒルトン・マダガスカルである.マダガスカル初のアメリカ資本のホテルであり,2007年6月現在アンタナナリボで一番高い建物もこのヒルトンなのであった.
 案内されてホテルのロビーに入った我々は,「ああ,凄く懐かしい感じがする」と感動に包まれた.なんだか久しぶりに見た懐かしいホテルのフロントだった(日本では見慣れたホテルのフロントも,マダガスカルでは珍しい存在である).その後客室に案内されたが,設備もヒルトンで浴室には鏡の他,バスタブもあった(歯磨き用のミネラルウォーターも完備していた).
 この日の夕食はホテルのレストランだった.ガイドのラベさんは,久しぶりに家族に会うといって,自宅へ帰っていった(考えてみれば,先週の土曜の朝から我々に付き合ってくれているんだよなあ).今夜はゆっくりと休んでほしいなと思ったのだった.

マダガスカルの主要な公共交通機関,”タクシーブルース”

アンタナナリボのランド
マークタワーです

ヒルトンのフロントに来るとなぜかほっとします

ホテルはアヌシ湖畔に建っています
 



 

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