我々はベレンティ保護区を後にして,国道13号線へと入っていった.保護区からサイザル畑の赤土の道路を抜け,やがて穴だらけの道路(なにせ50年前に造られてからほとんど整備されていないらしい)へと入っていく.例の狭い橋を通り(人もいっぱい歩いている),集落を通り過ぎていく.車窓から眺める集落は,よくTVのドキュメンタリー番組で見かけるアフリカの集落そのものである.私はふいに,この集落を見てみたくなり,その旨をガイドに告げると,OKということで急遽寄ってみることになった(こういう点で貸切ツアーは融通が効く).
降りて市場を覘いてみると,そこにはまさに,「アフリカの市場」そのものの光景が広がっていたのであった.芋やバナナ,果物,野菜や米などの農産物や,コーヒー豆,サトウキビなどが売られている.肉屋もあったが,肉や牛の頭蓋骨,内臓などが陳列されていて(冷蔵施設なんてものは存在しない.台の上に直に載っていて,メタリックカラーの蝿がブンブン飛び回っているのである)凄い迫力である.まさに国連関係の仕事で現地を視察するアグネス・チャンか黒柳徹子の気分であった.
子供たちもたくさんいたが,元気に店番(?)をしていたり,弟妹らしき幼児を抱いていたりして,逞しく生きているようであった.このような光景を目にして,いかに今まで我々がいわゆる「綺麗どころ」ばかりを見てきていたかということを思い知ったのもまた事実であった.確かに今,我々がここで売られている食品を直に食べたりすれば,おそらく食中毒どころでは済まず,あるいは赤痢かコレラかチフスにでもなってしまうかもしれない.公衆衛生のレベルでいえばそれほどの所なのであるが,しかし世界全体を見渡せば,地球上ではこのような環境で暮らしている人のほうが多いのである.そして我々の生活も,つい30年ほど前までは,入浴が毎日だったというわけでもなく,トイレは汲み取り式が普通,家には蝿がブンブン飛び回っていたのである.普段の生活ではつい忘れがちであるが,今回の体験は,我々の生活環境を考え直す上でも大きな刺激となったことは間違いない.
市場の迫力に圧倒されて,我々は再び車へと戻り,一路フォール・ドーファンへと向かっていった.今夜の宿泊先は「ル・ドーファン」(どうやらベレンティ保護区と同経営らしい)である.ホテル前に着き,ここで赤ジャンのガイド氏とはお別れである.
ル・ドーファンはさすがにベレンティロッジほどではないが,それでもシンプルなホテルである.Kは部屋に着いてから,早速蚊取り線香を焚き始めた.シャワーを浴びることにしたが,さすがに水シャワーということはなかったが,やはり水圧はそれなりであった.そしてレストランで夕食をとり,部屋に戻ってそのまま眠りについたのであった. |
フォール・ドーファンに戻る途中,小さな市場に立ち寄ります |
現地の人々が利用する市場です |
肉を売っています(よく見ると無数のハエがたかってます) |
現地の子供たちです |
市場での記念撮影 |
国道13号で見かけたお墓 |
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