さて,イスタンブール滞在最終日の朝がやってきた.泣いても笑っても最終日,この日の夕方には帰国の飛行機に搭乗しなくてはならない.残された時間は少ないということでさっそく行動を開始した.
この日は徒歩圏内を中心に観光することにしていたが,まず目指したのは旧市街先端部のトプカプ宮殿に隣接したギュルハネ公園である.世界中の観光客が押し寄せるイスタンブール屈指の観光地であるトプカプ宮殿と違って,こちらのギュルハネ公園は主に地元民が散歩したりして過ごす憩いの場である.この日もベンチで寛ぐ老人や犬の散歩をしている人など隣のトプカプ宮殿の喧騒がウソのような静けさであった.
とはいえ,我々がここにやってきたのは何も地元民の日常を眺めるためではない.実はこの公園に重要な史跡があるからなのだ.それはこの公園の突端,マルマラ海と金角湾,そしてボスポラス海峡が一望できる岬にある一本の柱である.この街にやってくる観光客の99%はその存在すら知らないであろうこの柱,なんとこの街がコンスタンティノープルにすらなっていなかった時代のものである.3世紀,ローマ帝国が弱体化し始めた頃,しばしば帝国内に侵入してきたゴート人を打ち破った皇帝クラウディウス2世の功績をたたえて建てられた柱である.今はゴート人の柱と呼ばれるこの柱,当時はそのてっぺんにクラウディウス2世の像が載っていたと言われているが今は何もないただの柱である.しかし,2000年近くにわたってこの街を見下ろしてきた史跡なのである. |
隣のトプカプ宮殿の喧騒がウソのようなギュルハネ公園 |
これが3世紀に建てられたゴート人の柱です |
かつては皇帝の像が立っていたそうです |
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