全景を見たらさっそく中に入ることにする.入り口は向かって左側にあり,ここから入っていくのだが,ふと見ると十字架の刻まれた柱のようなものや祭壇の残骸らしきものが無造作に置かれていた.なんだこれは!と思い,そばにあった案内板を読む.それによると,これは5世紀にテオドシウス2世によって造られ,6世紀のニカの乱(ユスチニアヌスの時代に発生し首都が灰燼に帰した民衆反乱)によって破壊された先代の聖ソフィア寺院の遺構なのだそうだ.そんな重要なものをこんなところに転がしておいていいのだろうかと思いながら聖堂の中に入った.入り口から入り拝廊と呼ばれる廊下のような部分を横切ってドームの中へ.実はこの拝廊とドームの境目に有名なモザイク画があるハズなのだが… なんと!工事の足場がモザイクを隠す状態になっているではないか(泣).なんか幸先の悪いアヤソフィアであった.
気を取り直してドームの中へ進む.す,凄い!! 高さ50メートルを優に超えるドームはすごい迫力である.ドームの天井には有名な聖母子のモザイクが見られる.壁の金色と上方の小窓から差し込む光でドーム内は厳粛な雰囲気に包まれていた.巨大な建造物を見慣れた現代人でもそう感じるのだから,こういうものに免疫がなかった中世の人間がこのドームを目の当りにしたら,おそらくはここが神の世界に最も近い場所だと信じたであろうことは間違いあるまい(実際,10世紀にキエフ大公国ウラジーミルからここに派遣された使者はこの聖堂で行われる典礼に立ち会い,「まるで天上にいるようだった」との報告をしている).もっとも,ここでも修復の工事が行われていて,地上からドームの4分の1位部分が無粋な骨組みに覆われていたが….一方で,ここがイスラム教のモスクに改装された痕跡とわかるものとしては,メッカの方向を示すミフラーブの存在やムハンマドや正統カリフの名が刻まれた円盤の設置がある.
しばらくドームの1階を見学したのち,上のギャラリーに登ってみることにした.ギャラリーへの階段は薄暗くて無骨な石造り,特に近代的な改装も加えられておらず,中世の雰囲気を色濃く残している.ギャラリーは当時典礼の際皇族たちが参集した場所とされているが,今ではここは当時の美しいモザイク画がみられる場所として知られている.15世紀のメフメト2世による征服後,ここはモスクに改装されたわけであるが,彼らイスラム教徒はこれらのモザイクを(破壊ではなく)漆喰で塗り固める処置を行った.これが結果としてこれら貴重なモザイク画を現在に遺すことに役立ったわけである.我々もしばしこれらの素晴らしいモザイク画を鑑賞して過ごした. |
聖堂の入り口面
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楽しみにしていたモザイクが隠されていました
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本来はこのモザイクが見られるはずでした
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拝廊の様子
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ドームの中も改修の足場が組まれていました |
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想像以上のスケールです |
ベルガマの壺 |
ギャラリーから@ |
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ギャラリーからA |
ミンバル(イスラムの説教壇) |
ギャラリーへの通路 |
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天国の門と地獄の門 |
有名なデイシス |
ドームに描かれた聖母子 |
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聖母子と皇帝ヨハネス2世,皇妃イレーネ |
キリストと女帝ゾエ(右),左はコンスタンティヌス9世 |
聖母子とユスティニアヌス(左),コンスタンティヌス(右) |
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