シェーンブルン宮殿・動物園の見学を終えた我々は地下鉄でウィーン市内に戻り,まだちょっと時間があったため,ウィーン国立歌劇場に併設されている売店で買い物をすることにした.ここでは主にCDや音楽をモチーフとした各種グッズが売られているのだが,とりわけ我々の目を引いたのは,ショーウィンドーに飾られたある1枚のTシャツ.なんと日本語で「モーツァルト」とプリントされているではないか!(笑).「日本人以外に買う奴がいるのか〜?」と言いながらも,我々もつい購入してしまった(苦笑).ちなみにこのTシャツを実際に着用している人はさすがに見かけなかった.
買い物が終わった後ホテルに戻り,シャワーを浴びて着替えをする(さすがに今夜はコンサートではないため,気合が入った服にはしない).本日の集合場所は国立歌劇場の裏手である.予定時刻の5分前に待ち合わせ場所に着いたところ,そこには川平慈英似のお兄さんがひとり立っていた.我々がキョロキョロしていると,件のお兄さんが寄って来た.「○×サンですね.お待ちしていました.あちらのバスにどうぞ」と,向こうに停車中のバスを指差した.「なんだ,みんな早いじゃないか」と我々もバスに乗り込んだ.バスにはすでに15, 6人位の先客が乗っていた.
まもなくバスは走り出し,それに伴って件のお兄さんの説明が始まった.「これからまずプラーター遊園地へと向かい,「第三の男」で有名な大観覧車に乗って頂きます.その後ウィーン郊外のホイリゲへと向かい,ワインとオーストリア料理を味わいながら,シュランメル(ホイリゲで奏でられる昔ながらの音楽)の生演奏を楽しんでいただきます」なお,このお兄さんは,その洋風の顔立ちから絶対ハーフだろうと思っていたが,実は純粋な日本人らしい.ともかく我々は,このお兄さんの説明に耳を傾けながら,バスに揺られていたのである(後でわかったのだが,このツアー参加者は我々以外みな同じ旅行会社のツアー客らしい.そのイベントに我々が加わったという話であった.どうりでみんな早いはずだ)
ほどなくして我々は,このツアーの最初の目的地・プラーター遊園地に到着した.ここは元々は貴族の狩猟場であったが,1766年にヨーゼフ2世によって一般市民に開放され,以降市民の憩いの場として親しまれている.モーツァルトもよくここでの散策を楽しんだらしく,新婚時代には妻コンスタンツェに「もしここでぼくたちが喧嘩を始めたら,(そのとき一緒に連れていた)この犬がどんな反応をするだろうね」と言って「実験開始」(殴りかかる真似)をしようとしたところ,お忍びで散歩していたヨーゼフ2世に「おやおや,もう夫婦喧嘩かね?」とつっこまれたというエピソードもあるらしい.なお,彼は「プラーターに行こう」(K.558)というタイトルのカノンも作曲しているが,その歌詞は「プラーターで会えるのは 蚊とう○この山さ」といったしょーもないものである(今から40年以上前にこの歌を含むカノン集のレコードが出た際に,日本語の解説を担当した人が,お下品な歌詞をそのまま書こうとしたところ,会社側の人から大クレームがきて,いくら「これはモーツァルト本人が書いたことだから,単なる事実を書いたまでです」と言っても取り合ってもらえずに,下品な歌詞は全部伏字にされてしまったというエピソードが,「モーツァルト大全集」の解説書に紹介されていた.「アマデウス」が上演されるずっと前,モーツァルトの“お下品”な一面など世間にほとんど認知されていなかった時代の話である).1873年(明治6年)には万国博覧会がここで開催され,日本も参加したということである.
しかしなんと言っても,ここを有名にしたのは,あの「第三の男」であろう.よって当然我々も,この映画で最も重要なスポットになったともいえる大観覧車に乗ることとなった.この観覧車は1897年設計という,世界最古の観覧車である.皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の即位50年を記念して建造され,第2次世界大戦で爆撃されるまでは30基のゴンドラで(現在は15基)稼動していたということである.ゴンドラ1基は25人乗りということで,傍から見るとマイクロバスぐらいのサイズはありそうである.我々はチケットを受け取って,順番を待つことにした.ところでこの観覧車は,ゴンドラ1基を借り切って結婚式やパーティーをすることもできるらしく,我々が来たときも,あるグループがパーティーをやっていた.楽しそうである.ほどなくして我々がゴンドラに乗る番となった.ゴンドラの中は結構広く,ゆったりと腰掛けることができる.壁には世界各国からやってきた人の落書きが多数残されていた.やはりこういう場所では,落書きがしたくなるのが人間の性というものか. |
国立歌劇場前にはモーツァルトとワールドカップが一体化したようなものがあります(笑) |
どう見ても日本人観光客向けのお土産です(笑) |
オーストリアにはカンガルーはいません(笑) |
結局,我々も購入してしまいました(笑) |
これが有名な大観覧車です |
これは1991年の写真です |
同左(なんて若いんだ!!) |
観覧車とジョゼフ・コットン(映画「第三の男」より |
マイクロバス位の大きさがあるゴンドラです |
第三の男ではここで有名なシーンが行われました |
ゴンドラからはウィーン市街がよく見えます |
隣のゴンドラは結婚式かなにかのイベントのようです |
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