ビザンチン皇帝の部屋 本文へジャンプ
アクセスカウンター
 SINCE 2011年9月25日
       

タヒチ旅行記(7)


2002年8月29日(木)

テティアロア島へ

 この日も朝から晴天であった.今日はテティアロア島のツアーに参加する日である.テティアロア島とは,タヒチ本島の北,小型機で約20分のところにある,故マーロン・ブランドのプライベート・アイランドである.(現在は彼の3番目の息子が住んでいるらしい)ここは海鳥の保護地区に指定されており,別名「バード・アイランド」とも呼ばれているところである.(なお,我々は2年後の2004年,こことは別の「バード・アイランド」に出かけた.詳しくはセイシェル旅行記のページを参照)滑走路と宿泊施設以外には,他に人工の建造物は何にもない島である.宿泊施設が1件だけあるが,日帰りも可能で,我々が参加したツアーも日帰りコースであった.
 このテティアロア島へは,パペーテから小型のセスナ機に乗って行く.(船で行く方法もあるらしい)20分ほど飛んだ後,テティアロア島に着陸である.ちなみに滑走路は舗装などされておらず,ただの砂地である.もしオーバーランでもしたら,そのまま海に落ちてしまいそうである.滑走路の脇にはホテルのレセプションがあり,看板には各国語で歓迎の挨拶の言葉が書かれている.しかし残念ながら日本語はなかった.
 我々はまずこのレセプションで説明を受けた.しかしなぜか,参加者のうちの数名が,説明が終わらないうちに歩き出してしまい,説明係の女性が,「まだ説明は終わってませんよー」と慌てて皆を引き戻す場面もあった.説明が終わると,我々はホテルの裏側にあるビーチに出てみることにした.このとき,同じツアーに参加していた女性2人組と話をする機会があった.この2人は名古屋在住ということで,同じ会社の先輩と後輩という関係らしい.女子だけでの海外旅行も,また楽しそうである.ちなみに先輩の方の女性は,うちの合唱団にいる地元TV局勤務の女性に何となく雰囲気が似ていたが,親類関係にあるかどうかはわからない.一方,後輩の方の女性は,今回が初めての海外旅行だと語っていたが,人生最初の海外旅行でこんな天国のようなところに来てしまったら,これから行くところがなくなってしまうのではないかと,いらぬ心配をしてしまった(笑).

飛行機から見えるテティアロア島の様子.リーフの内と外の違いがくっきりとわかります

簡素な飛行場に到着です.本当にオーバーランしたら海に落ちそう

歓迎と各国語で書いてあります

中に入り,まずはレセプションに立ち寄ります
 
 さて,このテティアロア島は,まるまる1つの島というわけではなく,環礁に沿って形成された複数のモツ(小島)から成り立っている.したがって,全ての場所を歩いて移動するというわけにはいかない.特に小島と小島の間は,ボートがどうしても必要になる.そこで我々もボートに乗って移動である.ボートに乗っての移動中,同伴のガイドの一人が大きな魚を釣り上げていた.船内でバタバタと暴れまわって活きがよく,刺身にしたら旨そうである.ボートで暫く行くと,鳥が沢山いる島に着いた.ここに主に生息しているのは,体色が黒いアジサシの仲間や,体の大きいカツオドリの仲間である.特にアジサシの仲間は,2年後のセイシェルでも似たような体つきの鳥を見かけたが,同じ種類なのだろうか.子育てをしている個体も沢山おり,近くまで来て幼鳥の撮影をすることもできた.また,このあたりは周りを環礁で囲まれているために,波はとても穏やかで,遠浅の海が広がっている.水着姿のグラビアを撮影するのには丁度よい場所であるといえよう.  
 ところで,残念ながら写真に収めることはできなかったが,この遠浅の海で我々は,ある興味深い生物に出会うことができた.ナマコである.波打ち際よりやや海側に向かったところをよく見ると,何やら太い芋虫か何かのような,グレーがかった体色の生物(かなり接近してみないと生物かどうかすら判別できない)が何体も転がっているのである.しかも自ら積極的に動くわけでもなく,ただ転がっているだけなので,よっぽど興味深く観察しないと「なんか細長い石みたいなのが転がってる」で片付けられてしまいかねない.しかし彼らは砂や泥の中の有機物を漉しとって食べ,海の掃除屋としての役割を果たしているのである.このテティアロア島の美しい海も,彼らによって保たれているといえよう.
 我々は島内を海岸線に沿ってしばらく歩き,少し泳いでみることにした.ところが,泳いでみると,このあたりは異様に海水の塩分がきついのである.おそらく周辺の海が珊瑚礁で閉じられているために,海水が外海に比べて濃縮されているのだろう.そうすると,他の海よりは浮力が増すために,ちっとは泳ぎやすいのではないか(笑).ともあれ,我々はこのあたりの海でしばらく泳ぎ,そばにあった藁葺きの「お休み処」で休んだ後,「椰子の実」を歌いながらまた最初の集合地点へと戻ったのである.
 この日の昼食会場は,ホテルの中の食堂(ほとんど浜茶屋風であったが)であった.野菜をかまぼこ状に固めた謎の前菜と魚のフライである.謎の前菜はともかく,フライはなかなか旨かった.しかし,この周辺で困ったことがあった.である.しかも日本国内でその辺にいる蚊と違い,奴らはヒトスジシマカ,(もしかしたらネッタイシマカかも)デング熱を媒介する厄介な種類の蚊なのである.彼らの襲撃に備え,もちろん強力な虫除けスプレー(医薬品扱いの「ムヒの虫よけ」,製造元は(株)池田模範堂)を用意し,こまめに使用していたが,Kはそれでも刺されてしまっていたようだ.幸いデング熱にはかからなかったようであるが,(私は刺されなかった)デング熱はたまに日本人旅行者が発症する例もあり,さる個人ホームページでも,タヒチに行って発症してしまった例が紹介されていたので,十分な注意が必要である.
 島の自然と海に親しんだあとは,例のセスナで帰るのみ,搭乗前にホテルの売店でランニングを購入した. 

ホテルから少し歩くともう海岸に着きました.少し休んで鳥の島に行きます

小船に乗って鳥が沢山いるというモツ(小島)を訪ねます

港はないため,小船からジャブジャブと海を渡って上陸します

今まさに上陸しようとしている私.油断するとシャツも濡れる

めまいがしそうなくらい美しいグリーンの海です
 
今回は日帰りツアーだったが,今度は是非ここのホテルに宿泊で参加してみたいと思ったものである.ちなみにここのホテルは自家発電,21時30分には完全消灯となり,あとはランプの明かりのみという,「ランプの宿」(青森県・青荷温泉)のような体験ができる場所なのである.文明と隔絶された自然のままの生活,心惹かれるではないか.天国に来たかのような心地よさを味わいながら,我々はテティアロア島を後にしたのであった.  

このようにたくさんの鳥がいます(人間を恐れません)

カツオドリの仲間の鳥です.すましたようにとまってます

アジサシの仲間の幼鳥です.木陰にひっそりといました
 


タヒチ最後の夜

 長いようで短かったタヒチの休日も,これが最後である.しかし私はともかく,どうもKの臓器が,連日のボリュームたっぷりの食事に根を上げてしまっていたようだ.実はこの日の昼食の辺りから雲行きが怪しくなっていたようなのだが,さすがに夕食となるとかなり厳しくなってきていたようである.そこで,この日の夕食はスープとパスタにし,ワインもグラスで注文することとした.しかしそれでもKにはかなり厳しかったようである.パペーテに来てから,夕食は全てホテルのレストランでとったわけだが,外に食べに出なかったのには理由がある.実はこのホテルはパペーテの中心部からかなり離れており,夜に外へ出ると,帰りの足を確保するのがままならないのである.ル・トラックは夜は走っていない(仮に走っていたとしても,怖くてちょっと乗る気がしない)し,そうなると帰りはタクシーしかない.しかもこのような街では,夜はやはり危険であるといってよい.そのため我々も,夜は出歩かずにホテル内で過ごしたのである.(ガイドブックや口コミなどでは,ナイトスポットもいくつか紹介されていたりするが,私は海外では,よほど治安の良いところでもない限り,夜はあまり出歩くべきではないと考えている.やはりどうしても犯罪に巻き込まれる危険性が高くなるからだ)ともあれ,夕食が全てあの水上レストランであったわけであるから,Kの臓器にはやや厳しかったようである.結局半分ほどしか食べられずに力尽きてしまったようだ.しかし食後のアイスクリームはどうやら食べることができたようである.
 部屋に戻ると,Kは早速ベッドに転がっていた.お腹が苦しいので横になるしかないようである.しかし明日の出発は早朝である.早いうちに荷物をまとめなければならない.何とか荷物をまとめ,いよいよ明日帰国である.
 



 

タヒチトップに戻る   旅行記(6)へ   旅行記(8)へ