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セイシェル旅行記(7)


2004年7月 5日(月)


ヴァレ・ド・メ国立公園

この日は前日と異なり,かなり青空の部分が多い.この日の予定は,午前中は双子椰子で有名なヴァレ・ド・メ国立公園へ行き,その後世界で最も美しいビーチのひとつとされるアンスラジオで海水浴というツアーへの参加である.アンスラジオへは個別に行くことも一時は考えたが,道が悪いのでレンタカーで行くのは危険である上,公共交通機関も当てにはならないということで,このヴァレ・ド・メ公園とセットになったツアーに参加することにした.
 まずはホテル前に集合である.参加者は我々のほかに2,3組ほどである.車に乗って最初の目的地,世界自然遺産にも登録されているヴァレ・ド・メ国立公園である.公園の出入り口には,トイレと小さな売店,お休み処と受付があって,ここからガイドの案内により,公園内を見学するのだった.
 入場の前に,我々は売店でミネラルウォーターを購入し,トイレを済ませた.面白いことに,ここではトイレの男女別の表示が双子椰子の実と雄花の図柄によって表されているのである.最初にも紹介したが,この双子椰子の実は,女性のお尻の形にそっくりで,一方の雄花も,まさに「そのまんま」の形状なのである.これをトイレの男女別の表示に用いるのであるから,実に判りやすいではないか.
 ところで,このツアーの参加者の中に,所持していたバッグのロゴで判ったのだが,どうやらあの「レムリア・リゾート」に宿泊しているらしい黒人の4人家族がいた.父親の年齢は30代後半から40代ぐらいであろうか,奥さんと2人の小さな女の子(1人は小学生ぐらい,もう1人はまだおしゃぶりをくわえて歩いている)を連れて参加している.「レムリア・リゾート」といえば,プララン島初の5つ星ホテル,我々も泊まってみたかったのだが料金のあまりの高さに断念した超高級ホテルである.

ラルシペールの朝.朝食会場からの海

バレ・ドメ国立公園入り口にて

ここから登っていきます.この先は禁煙だそうです

公園内のトイレの表示,見ての通りです
 
そこに家族4人で泊まっているということは,この人は本国(どこなんだろう)ではかなり社会的地位が高い人に違いない.もしかすると鈴木宗男の秘書・ムルアカ氏の政敵なのではないか・・・などと思わず勝手な想像を巡らせてしまった(笑).
 それはさておき,ツアーの開始である.まず我々が見せられたのは,出入り口付近に展示されている(といっても,木製の台の上にただ置いてあるだけ),あの双子椰子の実である.いくつかのサイズのものが置かれているが,大きいものだと両手で抱えるのも困難である.重量もかなりあるので,腰を痛めている人は要注意である.「実をとりて 胸にあつれば 新たなり 流離のうれい」と「椰子の実」(詞・島崎藤村,曲・大中寅二)には詠われているが,このサイズと重量では,このような感傷にふけるのはかなり厳しい模様である.しかもかなりエロチックな形状だし.雄花も展示されていたが,乾燥してしまってかなりしょぼくれてしまっている模様である.
 この双子椰子は,我々が普段リゾート地で見かける椰子(ココヤシ)よりもかなり大きく,この種類の植物の中ではかなり原始的な部類に入るらしい.木も大きいが,葉もかなりのサイズである.まるで「芭蕉扇」のようだ.そして樹上に実る実も,実に巨大である.普通の椰子の実でさえ,落ちてきて頭に当たったらかなりのダメージだが,こんな大きな実がもし落ちてきたら,すさまじい破壊力ではないか.しかしセイシェルでは,この双子椰子の実の落下による事故は,これまで1件も起きていないそうである(起きても公表しない・・・ということはないだろうな).
 
 さて,この公園にあるのは,何も双子椰子だけではなく,ここには他にも貴重な動植物が多数生息している.中でも印象深いのが,木の幹から直接短い枝を出して巨大な実をつける「ジャックフルーツ」である.あとで調べて判ったが,この木の実はクワ科で和名パラミツ(波羅密),一名ナガミパンノキとも呼ばれ,東南アジア諸国でトロピカルフルーツとしてよく食べられているということだ.何でも世界最大の果物として知られているということで,実際実っている実は確かにスイカよりもでかそうである.別にこの島原産ではないということだが(インド産といわれているらしい),なかなか面白い光景である.
 動物に関しては,実はセイシェルには特に目立った特徴のある哺乳類がいるわけではない.島嶼ではよくあることだが,この島には大型の哺乳類はいないのである.哺乳類で目立ったものといえば,コウモリと食虫目の一種「テンレック」(これも固有種ではなく,どうもマダガスカルからの移入種らしいが)ぐらいである.我々はコウモリもテンレックも見ることはなかったが,爬虫類だけはなんとか見ることができた.ここで見ることができたのは,大きなヤモリである.
 なお,この公園には,ここが世界唯一の生息地である「ブラック・パロット」(クロインコ)という鳥がいるということであったが,我々がその姿を見ることは残念ながらできなかった(ただ,保護活動は行われていて,我々は彼ら用の巣箱を見ることができた).

これが双子椰子の実です.なんだかとってもエロチックです


こちらは雄花です.なんだかなーという感じです


これがジャックフルーツ,世界最大の果実なんだそうです
 
 なお余談だが,この公園で我々は,課外授業らしき小学生の一群と出会った.彼らのうちの一人が,アニメ「犬夜叉」のキャラクターらしきものがプリントされたTシャツを着ていたのだが,キャラクターの右脇に「○が愛した品々」(○は漢字だが,いまいち判読できなかった)という謎の日本語が書かれていたのが印象的であった.  


珠玉のビーチ,アンスラジオ

 ヴァレ・ド・メ国立公園をひととおり見学した後は,車でアンスラジオへ移動である.車の中で,さっきの4人家族とはまた別の参加者の女性から,森○ハイ○ュウのようなソフトキャンディをご馳走になった.ここから島の北側に位置するアンスラジオまで,車はまた快調にとばしてゆく.
 ほどなく車はアンスラジオに到着した.白砂のビーチに打ち寄せる青い波,既に多くのバカンス客で賑わっている.トップレスの女性も数人歩いている.ここは南太平洋のリゾートと違い,古くからの先住民がいるわけではないので(セイシェルは1756年にフランスが領有を宣言するまでは無人島であった.島自体の存在はそれ以前から知られてはいたが,海賊たちの根拠地としての機能はあったものの,別に古くから誰かが住みついて何らかの独自の文明を築いていたわけではないようだ.ところで,明の鄭和はインド洋航海の際に,このセイシェル近海も通ったのだろうか),タブーを気にすることなくトップレスでビーチを闊歩できるのである.(なお,南太平洋の島々では,クック諸島などのようにトップレスやビーチ以外での水着姿を禁じているところが多く,見つかると現地の法の下で処罰されるそうだ.先住民の掟は厳しいのである)さすがにKはトップレスにはならなかったが,我々も早速このビーチを楽しむことにした.
 前日とは違い,熱帯の太陽がギラギラと照りつけている.さすがに今日は全身に日焼け止めを塗りこんできた.海にも入るので,当然塗りなおしもまめに行う.ビーチの木陰に陣取って,そのあと準備体操をして海に入った.ラグーンに囲まれた海と違い,波がやや高く,潮の流れも速めである.あまり沖合いまで行かないように気をつけながら,泳ぎを楽しんだのである.海側に向かって右側に,ガイドブックやパンフレットのグラビアでもよく見られる岩場があり,周辺の海域でシュノーケリングをしている子供がいた.おお,もしかしてあの辺でシュノーケリングができるのか!?

珠玉のビーチ,アンスラジオ.奥の岩場はよくガイドブックに載っている景色です

波は高めですがビーチの美しさは言葉では言い表せません

フランス系リゾート地では良く見られるトップレスの女性です

アンスラジオにて.これまでの観光で日焼けしまくってます
 
しかしこういうときに限って,我々はシュノーケルセットをホテルに置いてきてしまったのである.実はこれは単純に置き忘れたとかいう問題ではなく,これまでの経験から,どうもセイシェルの海は,我々が過去に出かけた南太平洋ビーチの海とは勝手が異なるようなので,もしかしたらアンスラジオもシュノーケリングには向かないのではないか・・・という結論に達し,持っていかなかったという次第である.
 岩場に近づくと,確かに水面からも魚が泳いでいる姿が見える.うーん,読みを誤った.やはりシュノーケルセットを持って来るべきであった(ちなみに貸し出しをしていそうなところは見当たらなかった).
 
 しばらく海で遊んでから,我々は浜辺の浜茶屋的レストラン「ボンボン・プリューム」で昼食をとった.2人でタコカレーと蟹を注文し,ビールとビターレモンも飲んだ.ここのタコカレーは案内書でも推奨されていただけあってなかなか旨い.ぶつ切りのソーセージのようなタコがゴロゴロ入っていて,1人分でもかなりのボリュームである.(我々は1人分を2人で分けて食べた)カレーも蟹も旨いのだが,困ったことが1つだけあった.蝿である.外のテーブルで食べているせいもあり,ものすごい数の蝿が群がってくるのである.食べるよりも蝿を追っ払っている時間のほうが長いのではないか.いっそ○ース製薬のバ○ナを吊るそうかと思ったくらいである.周りを見ると他の客も蝿に悩まされているようであった.ちょっと目を離すと,折角の料理に奴らが卵を産みつけてしまうかもしれない.そう思って我々は,蝿どもに隙を与えないようにわき目も振らず食べ続けた.(なお,この店のトイレの男女別の表示も,例によって双子椰子であった.しかも絵ではなく現物の展示である)

ここがアンスラジオそばのレストラン(浜茶屋?)ボンボン・プリュームです

ボンボン・プリュームのトイレです.そのものズバリなのでコメントはありません
 
 食事(と蝿との闘い)を終え,もう少し浜で遊ぶことにした.我々が陣取ったあたりの倒木の陰で,トカゲがうろついていた.日本にも生息しているトカゲやカナヘビによく似ており,サイズもあまり変わらない.仕草が面白いので,思わず写真に収めた次第である.そのうちに帰りの時間が迫ってきたので,着替えて駐車場へ行き,今朝乗った車に拾われてホテルに戻った.  

セイシェルでメジャーなソフトドリンク”ビターレモン”です



EKUと並ぶセイシェルのメジャービール”セイブルー”です



セイシェル名物(?)タコカレー,付け合せのライスとあわせてカレーライスとしてもおいしく食べられます
 


バードアイランドの英国人夫婦と再会!

 ホテルに戻ってシャワーを浴びて,またいつものように夕食会場へ向かった.ここのレストランでの最後の食事である.今まで夕食ではワインを注文していたが,この日はハーフボトルのシャンパンを頼むことにした.最後の日なので食事の写真も撮ることにしたが,照明が暗いのでどうしても手振れが出てしまう.それでも料理は旨かったのでよしとしよう.
 食事の後,前日に引き続いて1階のバーでカクテルを飲みながら,Kと世間話をしていた.すると我々に声をかけてくる夫婦がいる.なんと彼らは,バードアイランドで写真を撮ってもらったあの夫婦ではないか!

ラルシペールはヨーロッパ人主体の高級感漂うリゾートホテルでした(我々にはチト苦しいかな? 笑)
 
我々が東洋系なのでこのようなホテルで目立った上,Kがバードアイランドで着ていたのと同じドレスを着ていたせいもあるかもしれない.セイシェルは観光客が行く場所は大体決まっているので,同じ人に異なる場所で出会う確立は結構高いのである.彼らは英国(イングランドと言っていたので,多分ロンドンとかマンチェスターとかケンブリッジとか,おおよそその辺に住んでいるのだろう)から来たそうである.我々も「日本の北の方から来た」と答えたが,きっと彼らも我々のことを「おおかた札幌とか東京とかその辺から来たのだろう」と思ったかもしれない.多分彼らは久慈なんて知らないだろうなあ(泣).しかし今回,同じホテルに泊まっていた人と偶然再会することによって,何か一体感のようなものを感じ,一層深い親しみを覚えたのであった.声をかけてもらって,大変ありがたく思ったものである.
 思わぬ再会を喜びながら,我々はプララン島最後の夜を過ごしたのであった.
 



 

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