間もなく車は夕べ降り立ったばかりの空港に着いた.ここから国内線のプロペラ機に乗り,バードアイランドへと向かう.ところで,バードアイランドへ飛ぶ便は機体が大変小さいので,荷物の重量に厳しい制限があり,一人10kgまでしか持ち込むことができない.このため我々は,あらかじめバードアイランドへ持ち込む荷物のためのバッグを用意し,日本の自宅でも実際に重量を量ってテストしてきたのである.このバッグに,当地で使うだけの荷物をあらかじめ詰めておき,残りはスーツケースに入れて,マヘ空港の荷物置き場で預かってもらう.
国内線のターミナルでは,他にも乗客が集まっていた.中国系と思しき若夫婦(本土在住かどうかはわからない)もいて,我々とも互いに写真を撮りあったりした.チェックインを済ませ,搭乗券を受け取るが,この搭乗券は,環境への負担軽減として紙のごみを出さないために,使い回しできるプラスチックのプレートになっている.旅行会社側から既に話は聞いてはいたのだが,「プラスチックの板」と聞いて,よく食堂などで「この番号札をもってお待ち下さーい」と渡される縦幅3センチくらいの楕円形のプレートを想像していたのである. |
バード島行きの搭乗券は見ての通り,再利用可能なプラスチック製です.ちなみに搭乗番号は3番と4番でした |
国内線のカウンターです.バード島行きとプララン島行きしかありません.
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しかし実際の搭乗券はそんな貧弱なものではなく,表にはっきりと「Air Seychelles BOARDING CARD」と書かれた立派なものであった.幅30cmくらいはある.利用者数が少ないからこそできる技であろう.
私は空港内でも写真を撮ったりしていた.かつてセイシェルは社会主義体制をとっていたこともあり,このような体制の国では空港内の写真撮影は禁じられているのだが,今回の旅行では特にお咎めらしきものは受けなかった.もう社会主義体制はとっていないのかもしれない.(なお余談だが,私が所属する合唱団の指揮者S先生は,かつてドイツ留学に向かう途中,経由地の金浦空港で,物珍しさのあまり空港内で写真を撮りまくっていたらカメラを没収されてしまったそうだ.まだ韓国が軍事政権下にあった時代の話である)セキュリティチェックをうけ(なぜか搭乗するわけではない職員も探知機をくぐり,そのたびにいちいち警告音が鳴っていた),後は搭乗を待つばかりである. |
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バードアイランド行きの飛行機は本当に小さい.たしかにこれではスーツケースなんて積み込めないだろう.これに乗って約30分,目指すはバードアイランドである.
ところで,我々は2002年にタヒチを旅行した際,オプショナルツアーでティティアロア島という小島(故マーロン・ブランドのプライベート・アイランドである)に日帰りで出かけ,滑走路と宿泊所のほかには何も人工的な建造物のない自然のたたずまいに魅了された.「次回は是非一泊したいね」と思ったものであるが,このバードアイランドも,そのような「滑走路と宿泊所のほかはただ自然のみ」という,まさに同じような体験のできる島なのである.しかしバードアイランドはティティアロア島と違って日帰りはできない.(飛行機は1日1便しかないのである)今回我々はこの島に2泊した.
マヘ空港から約30分のフライトの後,我々はバードアイランドに降り立った.バード・アイランド・ロッジの従業員と家族らしき人々が出迎えてくれた.しかし彼ら以外にも我々を歓迎してくれた(?)存在がある.そう,鳥である.前述したようにこのバードアイランドは,ヒッチコックの映画「鳥」のモデルとなったといわれている場所である.通路に沿って植えられている木々に,おびただしい数の黒い鳥が巣をつくり,あるものはその巣にすわり,あるものは枝に止まり,アーチのように我々を出迎えている.(もっとも,彼らには「出迎え」なんて概念はないと思うが)これはなかなか壮観である.(この鳥は「ブラック・ノーディ」とよばれるアジサシの一種であった) |
これがバード島行きのプロペラ機です.とても小さいので荷物は一人10kgまでです |
バード島行きの機内から見えた島.バード島ではありません |
客室から操縦席が丸見えとセキュリティはかなり甘いです |
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