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セイシェル旅行記(6)


2004年7月 4日(日)


ラルシペールの休日

 一夜明けて我々は眼を覚ます.今日は一日ホテルの敷地内でのんびりと過ごすことにした.前日までと異なり,この日はうす曇である.それでも雨が降りそうだというわけではない.我々は着替えを済ませ,朝食会場へと向かうことにした.夕食と違って朝食と昼食はレストランの1階でとることになる.(夕食は2階)パンやハム,果物のほかに,頼めばオムレツを焼いてもらえるので,Kは早速焼いてもらっていた.海を眺めながらの朝食は,実にさわやかで気持ちがよい.
 朝食後,我々はホテルのプールサイドで過ごすことにした.前掲の水中造形センター刊のガイドブックが刊行された頃は,ここのホテルにはプールはまだなかったらしいが,あれから増設されたらしく,小さいながらもそれなりに泳ぐことはできる.(ちなみに,「地球の歩き方」にはこのホテルの情報は掲載されていない)しかしここのホテルは,プールサイドもかなり静かで,少なくともはしゃぎながら泳ぐような大衆性はない.もちろんプールで泳ぐことは泳ぐのだが,どちらかというと「甲羅干し」をした体をクールダウンするためのもので,普段はビーチチェアでくつろぎながら,本でも読みつつ静かに過ごすのがこのような格式あるリゾートの流儀なのである.実際他の宿泊客も,泳ぎはするが,ほとんどビーチチェアで読書しながらくつろいでいる.そこで我々も彼らに習い,本を読みながらのんびりとくつろぐことにした.私は司馬遼太郎の「燃えよ剣」,Kはモーツァルト関係の本を持ち込み,ビーチチェアに陣取ってくつろぎタイム開始である.
 うす曇とはいえ,やはりここは赤道直下である.寝そべっていて暑くなってくると,プールに入ってクールダウンである.泳いで体を冷やし,寝そべって本を読んではまた泳ぎ・・・を繰り返すうちに,なんだか様子がおかしくなってきた.妙に全身がヒリヒリするのである.そのうち

ホテル・ラルシペールはこのように広大な敷地内に沢山のコテージが建っています(移動するのも結構大変).

眠そうな表情ですが,別に銭湯に行くわけではなく,プールに泳ぎに行くところです

司馬遼太郎の燃えよ剣.
この年は大河ドラマ「新
選組!」の年でした.
セイシェルと新選組の
組み合わせが最高です!
 
に全身が真っ赤になってきた.そう,実は我々はこの日がうす曇なので,すっかり油断して日焼け止めを塗らずに外へ出てしまったのである.いくら曇り空といっても,雲が紫外線を全てカットしてくれるはずはない.ましてここは赤道直下,肌に何も塗らずに外に出れば焼けるのは当然である.迂闊であった.晴天であれば,これなら日焼けするであろうことは容易に予測がつくので,それなりに対策はするのであるが,日が出ていないと油断してしまうのである.曇りの日でも日焼け止めはきちんと塗るべきであるということを,身をもって知ることとなった.  


タコを食う

 「うわー,ヒリヒリするー」とこぼしながら部屋へ戻り,昼食のためにレストランへと向かう.場所は朝食会場と同じである.ここで我々はミートソーススパゲティとタコのサラダをオーダーした.海外でタコを食べる機会はそうそうない(イタリア人を除く欧米人は,タコを「悪魔の魚」と忌み嫌って食べない,とかつては言われていたが,今はどうなのだろう.ちなみにインド洋諸国では食べられているようで,特にモーリシャスのロドリゲス島では干物にしたりカレーに入れたりしてよく食べられているそうだ).メニューにタコのサラダをたまたま見つけたので,食べてみることにした.出てきた料理は,タコの薄切りと野菜を透明なドレッシングで和えたもので,さっぱりして大変旨かった.懐かしい食材に出会い,嬉しくなった次第である.一方のスパゲティも,味は悪くない.ところでここのホテルは,案内書にイタリア語も併記されていたので,どうもイタリア人の客が結構いるようである.もしかすると,食事メニューも彼らの好みに合わせているのかもしれない.  


プライベートビーチ

 昼食後,我々はホテルのプライベートビーチに行ってみることにした.今度は午前中の教訓を生かし,全身にしっかり日焼け止めを塗っての活動である.もし可能ならシュノーケリングをしてみようということで,シュノーケルセットも持ち込んだ.
 ところで,メジャーなビーチリゾートでは,現地のホテルやツアーでシュノーケルセットを借りることが十分可能であるが,ここセイシェルでは,事前の案内書によると,「借りられても破損していることがあるので,自分用のを持っていくことを勧めます」ということであった.そのため我々も,自分用のシュノーケルセットを日本で購入して持ってきたのである.しかし,海を見てみると,結構泳ぐのが難しそうな波の具合である.セイシェルは必ずしも周りを珊瑚礁で囲まれているというわけではなく,直接海岸線が外海に面しているところも多数ある.そのためタヒチなどと違って,潮の流れが場所によって速いために,一見泳げそうでも遊泳禁止という場所が結構あるのである.地元の人が構わずに泳いでいることもあるが,旅行者は決してまねをしてはならない.ここの海も,遊泳禁止ではないが,我々がシュノーケリングをするのは難しそうである.よく見ると泳いでいる人もあまりいない模様である.結局このシュノーケルセットは,この旅行ではとうとう使うことはなかった.
 やはりプールの方が泳ぎやすいということで,我々はプールに戻ることにした.結局この日は特に何をするでもなく,ぼんやりとホテルで過ごしたわけである.途中,プールサイドのテーブルでティータイムを過ごしている人がおり,中にはケーキを食べている人もいたが,夕食が入らなくなる恐れがあるので,我々が利用することはなかった.
 


夜のプールサイド

 我々は部屋に戻ってシャワーを浴び,着替えて夕食の会場へと向かった.レストランへと向かう途中,石段の傍らで大きなカタツムリ(恐らくアフリカマイマイであろう)を見つけることができた.姿はなかなか面白いが,広東住血線虫のような寄生虫の中間宿主であろうことは容易に想像できるので,不用意に手で触れたりはせず,写真に収めるのみとする.
 レストランでは相変わらず洒落たムードが漂っている.新婚らしきカップルも何組かいたが,一部にはTシャツを着ている男性もいた.さすがに短パンではなかったが,それでも「うーん,いいのかなあ」と思ってしまう.あの服装でもOKなのか,マナーを守れない人間はどこの国にもいることの傍証なのか.
 食事の後,Kが「カクテルを飲みたい」と言ったので,すぐそばにあるプールサイドのバーに行くことにした.プールサイドはライトアップされていて,なかなか幻想的な雰囲気を醸し出している.我々はプールサイドに面したテーブルに座り,カクテルを注文することにした.Kはこの南国のムードあふれる雰囲気を楽しんでいるようであった.しかし一杯注文して飲んだだけで,レシートが手元に来てしまった.普段我々がバーでカクテルを飲むときは,2杯以上頼むこともよくあるのだが,このようなバーでは何杯も飲んだりはしないものらしい.(なお余談だが,かつてセイシェルには禁酒タイムなるものがあり,その時間帯にはホテル外での飲酒は禁じられていた.しかし観光客には適用されなかった上,現在は

レストラン近くで見つけたカタツムリ.食べるとエスカルゴなんでしょうか?

幻想的な夜のプールサイドです.こんな時はやっぱりカクテルですね

日中の日焼けの跡が痛々しいK.結構辛そうでした
 
廃止されている)しかもKが頼んだのは,どうもノンアルコールカクテルだったらしい.「まあいいや,飲み足りなかったらミニバーのビールを飲もう」と言ってはいたが.
 しかし部屋に戻って着替えると,ミニバーのビールを飲みなおすということもなく,我々はさっさと眠りについたのだった.さあ,明日はヴァレ・ド・メ国立公園である.
 



 

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