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イスラエル旅行記(3)


2016年9月14日(水)


7.陸路の国境越え

 ヨルダンのこの日の天気は晴れ,バスは空港を出発して一路西に進む.周辺には荒涼とした砂漠とところどころに生えているオリーブの木といういかにも中東的な景色が広がっていた.道はどんどん下り坂になっている.途中ゼロポイントと書かれた標識を通過,実はここ地中海を基点とした海抜ゼロメートル地点である.道はその後もどんどん下っていくからこれ以降はすべて海抜ゼロメートル地帯ということになる.以前南米のペルーやボリビアの高地帯を訪問して酸素の薄い世界を経験したことがあるが,今回は逆に酸素分圧が高い(ハズな)世界,そういえば気のせいか酸素が濃くなった気がする(笑).
 しばらく下って付近は開けた盆地部に出た.まっすぐに伸びた道のはるか先に湖と町が見える.湖の方はどうやらあれが死海らしい,否応なく気分が盛り上がる瞬間だ(町の方は旧約聖書でおなじみのエリコ).そうこうしているうちにヨルダンとイスラエルの国境地帯に差し掛かった.
 ヨルダンとイスラエルの国境ポイントはいくつかあるのだが,今回通過するのはアレンビー橋(キング・フセイン橋)である.ただここは正確にはヨルダンとパレスチナ自治区との国境である.ヨルダンはパレスチナを国として承認しているため,公式にはここをイスラエルとの国境とは見なしていない(とはいえ一般の観光客が通過するには問題はない).自分は過去にヨーロッパで何度も陸路の国境越えを経験しているのだが,ウチのKは初体験ということでちょっと緊張していたらしい.
 やがてバスはヨルダン側の検問所に到着,ここで出国審査となる.手続きの仕方はひとりひとりがブースに並んで審査を受ける形ではなく,係員が全員分のパスポートを預かって事務所に行き,そこで手続きをした後パスポートを返却して完了というちょっと斬新(?)な方法だった.
 駐車場に入りバスが停まる.待っていたら係員が乗りこんできた.指示されたとおりにパスポートの顔写真が写ったページを開いた状態で手渡す.添乗員さんによると,この時ヨルダンの出国税を取られる可能性があるので,各自現金15USドルを用意しておくようにとのことだったが結局取られることはなかった(このへんは多分にワイロ的な意味合いもあったりするのでその時々によるとしか言いようがない).

荒れ地が広がる

どんどん下っていきます

海水浴用品を売っています

ヨルダン側検問所の免税店

国境地帯(ゲートの向こうがヨルダン川に架かる橋
 
 審査にはちょっと時間がかかるとのことで,この間にトイレを済ませようと一同バスを降りて建物の中へ.ここには簡単な免税店などもあった.
 で,トイレを済ませてバスに戻ったのだが,ふと見ると最前列の座席に全員分のパスポートが無造作に山積みになっている! どうやら審査が早く終わったため係員が置いていったらしい.セキュリティは大丈夫か(;゚Д゚)! ちょっと不安になったが幸い全員分ちゃんとあった(こんな感じだと,過去にはどさくさに紛れて無くなったというケースがあるんじゃないかと思ったが,添乗員さんによると幸いそういう例は聞いたことがないらしい 汗).
 全員そろったところでバスは出発,いよいよ国境に差し掛かる.両国の国境となっているのがヨルダン川だ.ニュースなどにも頻繁に登場する有名な川であるが,実はこじんまりとした川で国境の橋はあっさりと通過してしまった.しばらく走りやがてイスラエル側の検問所に到着する.
 


8.パレスチナ自治区に入る

 イスラエル側の審査はヨルダン側に比べると格段に厳しく,全員まとめてなんてことはない.荷物を含め各自が個別にチェックを受けなければならない.しかも国境に到着する車両1台ずつ審査され,係員の指示があるまで下車することすら許されないという徹底ぶりだ(さすがに徒歩や自転車で国境を越えてくる人はいない模様).
 しばらくバスで待機していたら,係員がやってきて降りるように指示,各自スーツケースを手に建物の中に入る.外は暑かったが中は一転して冷房がガンガン効いており寒いくらいだ.手続きはまずパスポートのチェック,ここはみんなあっさり通過だったが,ウチのKのみ名前を言わされていた(風貌が怪しかったのか 笑).続いては荷物検査,そして入国審査本番となる.審査ではいろいろ聞かれる可能性があると言われていたが,たいしたことは聞かれなかった.2016年現在イスラエルへの入国にあたって,パスポートにスタンプは押されないが,かわりに小さな青いカードが手渡される.これにはなんと!自分の顔写真が… どうやら先ほどのパスポートチェックの際に読み取ってコピーしているらしかった.

イスラエル側の検問所を出たところ(イスラエル側は写真撮影が厳しく制限されているので内部の写真はありません)

イスラエル入国時にスタンプの代わりに渡されるカード
 
 審査を抜けるとそこはもうイスラエル(パレスチナ自治区)である.ここからはさっきまでとは別なバスが待っていた.ここで今回の旅行に同行してくれる現地ガイドさんが登場,1組は男性,我々の2組は女性のガイドさんだった(イスラエルに30年以上住んでいるらしい).   


9.クムランの昼食

 イスラエルの入国管理事務所から建物の外に出ると強い日差しが照り付けて来た.やっぱり暑い.添乗員さんによると,これでも今回の入国審査は普段よりずっと楽でスムーズだったとのこと.実はこの日はイスラムのお祭りで,この国境を超えるパレスチナ人がいつも以上に多いらしく,我々外国人は(本来は)VIP用のゲートに回された結果のようだ.まあビザンチン皇帝が参加しているんだから当然VIPだなとほくそ笑む私だった(笑).
 その後バスに乗り込んで出発となる.まず向かうのはクムランの街,ここは1947年にヘブライ語聖書の最古の写本とされる死海写本が発見された場所である.考古学的に非常に重要な場所であるが,今回の訪問は学術的な理由ではなく,昼食のためである(笑).今回の旅行で機内食以外はじめての食事である.

クムランのレストラン

レストランは基本ブッフェスタイルです
 
 レストランは死海を一望できる高台に立っていた.ここではサラダバーは取り放題でメインは3種類くらいからの選択だった(自分はチキンを選択,以後イスラエルのレストランは基本サラダ自由のブッフェスタイルが多い).ビールなどのアルコールにも惹かれたが,これから死海に入って浮かぶので我慢である(笑).食事後はお土産物コーナーを散策,お土産用に死海名産のハンドクリーム等を購入した.   

ここはメイン料理のカウンター

私のランチです

クムランの山肌
 


10.死海の浮遊体験

 昼食&休憩後15時にレストランを出発,目の前に広がる死海に向かう.駐車場でバスを降りて浜辺へ.ここでは水着とカメラ等必要なものだけをもって降りる(貴重品は添乗員さんに預け,それ以外の大事じゃない荷物はバスに残す).バスタオルを借りてシャワー室へ.本当は更衣室もあったのだが,面倒なのでシャワー室の隅でささっと着替えをした.準備が完了していよいよ浜に向かう!
 

死海が広がります

いよいよ死海の浜辺へ

大勢の観光客です
 
 死海は海抜マイナス420メートルと地表面としては世界で一番低い場所である.また塩分濃度が30%と極端に高いことでも知られ,どんな金槌の人間でも浮いてしまうことでも有名だ.自分が子供の頃に読んでいた,世界の謎・不思議系の本には必ず載っていたスポットで,いつの日か行ってみたい!と思っていた場所である.そんな死海についにやって来た! と感慨に浸りながら水に入る.
 水温はぬるく全く問題ないが,足元の泥が滑ることこの上ない.いくら塩分濃度が高くて誰でも浮く死海でも,浮く≠溺れない 過去にはここで溺れた観光客もいるらしい.慎重に行かなくては,ということで足元を確かめながら進んでいった.少し行ってそろそろ浮かんでみようと思い,水に体を横たえる.そのまま足を湖面に出すと,

 本当に浮いた!

 感動の瞬間である \(^o^)/.
 

金槌の私でも浮いています(笑).読んでいるのはもちろん「死海写本」!
 
 感覚としてはライフジャケットを身に着けた状態で浮くイメージに近いのだが,現実には何も身に着けていないのに浮いてしまう感じ.やっぱり面白いと思った.試みに死海の水がどんなものか舐めてみる.舌にのせた瞬間,しょっぱいというよりも痛い (;゚Д゚),ビリっという強い刺激がやってきた.さすが塩分濃度30%である.
 だいたい30分程度遊んだ後(ガイドさんに連続して10分以上浸からないようにいわれていた),浜辺にあったシャワーを使って泥と塩を洗い流し,着替えに向かう.

ウチのKも楽しそう
 
この日はもうホテルに入るだけなので,ささっと着替えをしてバスに乗り込んだ.  

死海のパノラマ写真
 


11.イスラエルに入る

 全員そろったところでバスは出発,ヨルダンとの国境付近(ヨルダン川西岸沿い)を走る国道90号線をひたすら北上する(この日の宿泊地はガリラヤ湖畔のティベリア).ヨルダン川西岸のこの辺はひたすら荒地が広がっていた.この荒地こそ,2000年前に洗礼者ヨハネが活動していた場所である.たしかにこんな荒地に住んでいて「悔い改めよ!」と叫んでいる人がいたらインパクト強烈だなと思った.
 しばらく走ると検問所のようなところに到着,ここがイスラエルとパレスチナのヨルダン川西岸地区との境界になる.自動小銃を持った兵士が乗り込んで怪しいものがないかチェックを行った(特にパレスチナ自治区→イスラエルの際が厳しいらしい).ここを通過すると完全なイスラエルである.バスは快調に北上する… はずだったのだが,なぜか大渋滞! ガイドさんもなぜかわからないと言っていた.
 のろのろながらもバスは進んでいき,国道90号と92号の分岐点に到着,ガリラヤ湖の西岸を走るのが90号で,東岸に向かうのが92号である.バスは90号に曲がった.ここからはさっきまでの渋滞がウソのようにすいすい進む.バスの右手にガリラヤ湖が見える.交差点から20分ほどでこの日の宿泊地,リモニム・ミネラルに到着した.
 このホテルは客室数200を超える大型ホテルで,我々のような大人数ツアーが利用するホテルのようだった.チェックインは添乗員さんとガイドさんが代行してくれるため,一同ロビーで待つだけ.その後ルームキーを渡され部屋に向かう(この時荷物をポーターに任せると,大人数のためいつ部屋に届くかわからないから各自持っていくように言われた).
 で,自分の部屋の前につき,カードキーで開けようとしたのだが… うんともすんとも言わない ( ̄▽ ̄).方向を変えたりゆっくりやったりしても全く反応なし.部屋に入れないじゃん! ということでフロントに戻り添乗員さんに相談,結果新しいカードがやってきて無事に開いたのだった.
 その後は夕食,今回のツアーの夕食はすべてホテルのレストランだった.イスラエルの一般的パターンなのか,野菜が充実したビュッフェスタイルである.我々は更にワインをボトルで購入したのは言うまでもない(笑).食事後は部屋に戻ってシャワーを浴び,明日以降の活動に備えてさっさと眠りについたのだった. 
 

これから2泊するホテル リモニム・ミネラル

ブッフェスタイルのレストラン


もちろんワインをいただきます

 



 

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