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ニューカレドニア旅行記(8)


10.2001年11月17日(土)

 ついにニューカレドニアを去る日である.荷物をまとめてチェックアウトのためにフロントへ出向く.出発までの間,我々はホテル周辺で写真を撮ったりして過ごす.思えばここは,我々が初めて出かけたビーチリゾートであり,初めて訪れた南半球の地域である.それまで出かけたヨーロッパやアメリカ本土とはまた違う性格の旅行先であり,寒冷地在住の身にとってはまさに「天国にいちばん近い島」であった.11月に海で泳いで遊ぶなど,およそ岩手では考えられないことである.本当に来て良かった,そう心から思える旅であった.
 まもなくトントゥータ国際空港への送迎バスが到着した.これに乗って空港へ向かうのである.車内はかなり強烈な冷房が入っている.そしてひととおり乗客が乗り込むと発車である.この日のヌメアはやや曇り勝ちであった.我々の滞在中はおおむね天候に恵まれたといってよい.街中では11月ということもあり,クリスマスに向けた準備も始まっているようであった.ここでのクリスマスツリーは,もちろん南洋杉である.
 空港までの途中,なぜか原野一帯が野火で焼けたような焦げた跡があった.ニューカレドニアでは乾季に(どうもこの辺は,11月ごろが最も降水量が少ないらしい)よく自然発火による山林火災が発生するらしく,この焼け跡もそういった野火の跡であるらしい.13日にイル・デ・パンで見たあの野火もそうだったのかもしれない.しかし今は鎮火した後だったからいいものの,もしこの時間帯も燃え続けていたら,このバスはどうするつもりだったのだろう.
 そんなことを考えているうちに,バスはトントゥータ国際空港に着いた.いよいよこの島ともお別れである.この島はまさに我々にとって天国であった.温暖な気候に青い海,もしまた来ることが可能なら,今度はウベアなどの離島にも足を伸ばしてみたい,もし可能なら,この島に住みたい,ヌメアの病院で雇ってくれないかなあ・・・などと考えていた.しかし感傷に浸っていられるのもここまでで,免税店で買い物をしていたらいつの間にかレジに長蛇の列が出来上がっていた.まずい,出発時間まであとわずかである.みんな同じ便に乗るとはいえ,これではまずい.しかしこの長い行列,なかなか我々に順番が回ってこない.ようやく順番が回ってきて,会計を済ませると,我々はその他の乗客と共に,全速力でタラップへと向かったのだった.
 そして無事に飛行機に乗り込み,離陸したはいいが,実はこの便,成田に着くのは夕方である.つまり最終の新幹線には到底間に合わず,その日のうちに盛岡に帰ることは不可能である.したがって我々は,必然的に東京で一泊しなければならないのだ.地方在住者には不便なのだ.まあ,東京で一泊したら,秋葉原にでも行って石丸電気で買い物でもしよう.
 帰国後,都内のホテルでチェックインを済ませて,Kの希望によりロイヤルホストへと出かけた.Kはカレーが食べたかったようである.そしていつもの習慣で注文の際に「灰皿もらえますか?」と訊ねると,「申し訳ございません,当店は全席禁煙となっております」と言われてしまった.店の前にあった「全席禁煙」の表示を,私は見落としてしまっていたらしい.健康増進法が施行される前の話で,盛岡にはまだこのような全席禁煙の飲食店はなかったのである.
 ともあれ,無事に帰国できたことを祝福しあいながら,私とKは東京での夜を過ごし,翌日の新幹線で帰路に着いたのである.盛岡では,岩手山が白く雪をかぶり,やっぱりここは北国であるなあと,我々はまた目の前の現実に引き戻されるのであった.



ホテルでくつろぐ我々,とうとう帰国の朝である(泣).



前夜繰り出したカジノ.結局得はしなかったが損もしなかった.



ホテル前にて.ここが我々にとっての初めてのリゾートホテルであった.


完 (明日からまた日常の世界)


 

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