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 SINCE 2011年9月25日
       

ニューカレドニア旅行記(1)


1.ニューカレドニア旅行計画のいきさつ

 平成13年の夏季休暇をどうするか,実は8月まで何も考えていなかった.というのも7月に試験があり,それどころではなかったからである.当時の勤務先は7月から11月の間に夏期休暇を取ることができる決まりになっており,当初は9月にしようかと考えていた.しかし10月に所属する合唱団の大きなイベントがあることから,それが終わった後にゆっくりと出かけようと考え,結局11月にすることにした.行き先についてはオペラシーズンに入ったウィーンやパリなどヨーロッパ諸国も考えたが,この時期ヨーロッパは寒く,日も短くなる季節である(だからオペラシーズンでもある).普段盛岡という非常に寒い土地に住んでいることからも,この際暖かい所に行こうということになり,ニューカレドニア,フィジー,タヒチなどが候補に挙がった(同じ暖かい所といってもハワイ,グアムといったメジャーな所に行こうという発想は我々にはない).その筋では有名なエロマンガ島のあるバヌアツやソロモン諸島のガダルカナル島なども考慮したが,今回は堅実なところに行こうということになり,いろいろ検討した結果ニューカレドニアに決まった.理由は単純で治安がよく,時差が少ない(タヒチはかなり時差がある)からであった.旅行の形態は個人旅行ではなくパックツアーに申し込むことにした.本来私はパックツアーというものがあまり好きではない.慌しい日程で観光名所を駆け足で回るというのはあまりにも味気ないからである(ルーブル美術館を半日で見ろというのはあんまりである).しかし,こういった滞在型の旅行の場合は往復の航空券とホテルの他,余計なものがついていないので,むしろツアーのほうが安くつくのであった.今回の旅行のテーマは,きれいな海でボーっとすることである.ガイドブックやインターネットで調べ,離島の滞在を付けようということになった.ニューカレドニアの離島としては”天国に一番近い島”で有名なウベア島が知られているが,今回はイル・デ・パン島に行くことにした.理由はすごくきれいなビーチがあり,熱帯魚がウヨウヨいるスノーケリングのスポットがあるらしいということからである.旅行の日程はゆとりを持たせて11月11日から17日の7日間に決めた.
 8月末からツアー探しを始めたが,出発は11月ということで,この不景気に,しかもこんな時期に旅行に行くヒマな奴はいないだろうとたかをくくっていた.しかし,インターネットでツアー申し込みをしようとすると,な,な,ないのだ.検索するツアー全てキャンセル待ちである.そんなバカな!とあちこち探してやっと日本旅行ベストツアーのイル・デ・パン島2泊付の8日間のツアーを確保することができた(後から判ったことだが,ニューカレドニアの日本人観光客は圧倒的に新婚旅行が多く,それゆえ季節も不景気も関係ないのであった).
 9月11日にアメリカの同時多発テロが発生,各地の旅行がキャンセルとなり,「危ないからやめた方がいいんじゃないか」という周囲の心配に対して「アメリカに行くわけじゃあるまいし,ニューカレドニアが狙われるようじゃ世界も終わりだ」などと嘯きながら,11月に入りいよいよ準備を始める.そして11月10日ついに出発の朝がきた.

2.旅行日程


月日  旅程  宿泊
 11月10日(土)  盛岡 − ヌメア  機中泊
 11月11日(日)  ヌメア − イル・デ・パン  ル・メリディアン・イル・デ・パン
 11月12日(月)  イル・デ・パン滞在  ル・メリディアン・イル・デ・パン
 11月13日(火)  イル・デ・パン − ヌメア  ル・メリディアン・アンスバータ
 11月14日(水)  ヌメア滞在  ル・メリディアン・アンスバータ
 11月15日(木)  ヌメア滞在  ル・メリディアン・アンスバータ
 11月16日(金)  ヌメア滞在  ル・メリディアン・アンスバータ
 11月17日(土)  ヌメア − 東京  東京のホテル


3.11月10日(土)

 その朝盛岡は快晴であった.前日仕事の申し送り作業などで帰宅が遅かった私だが,さすがに休暇の始まりということで寝覚めは最高,睡眠不足もなかった.大きな荷物は既に空港に送っていたので持っていくものは手荷物程度であった.13時9分発のやまびこ号で一路東京へ向かう.車内で飲むのはもちろんビールだ(昼間からビールを飲んでいると,休みだという実感がわくので私は好きだ).カミさんのKはといえば相変わらずウーロン茶を飲み,なにやらお菓子を食べている.2時間半ほどで東京に着いたが,途中から眠ってしまったため眠い目をこすりながら駅に降りた.昼飯にしようということになったが,どうせニューカレドニアに行ってフランス料理を食うのだから,ここは質素に行こうと東京駅構内のうどん・そばの店で天ぷらうどんを食べた.
 東京駅から成田エクスプレスで空港に向かう.夜の成田空港は人気もまばらでひっそりしていた.夜はいつもこうなのか,それともアメリカの同時多発テロ事件の影響なのかはわからない.搭乗手続きをすませ,乾電池や機内で読む本(わたしはアフガン情勢の本,Kは”死ぬかと思った”という変な本)を買った.事前に旅行会社からテロの影響で空港の出国手続きが普段の2倍くらいかかっているといわれてため,我々は出発の1時間以上前に出国手続きに入った.が,予想に反して手続きはあっという間に終わってしまった(出国審査,税関,検疫全てを通過するのに,ものの10分もかからなかった.これまでの旅行の最短記録である).結局出発までまるまる1時間暇な時間ができてしまった.仕方がないので免税店でタバコを買い,搭乗口近くのカフェでビールを飲んで時間をつぶした.Kは海外における伝染病についての掲示を熱心に見ていた(Kはニューカレドニアにもマラリアがあると本気で心配していたらしい).カフェではいかにも乗務員風の人たちがたむろしていた.フランス語をしゃべっていたことから,どうやら我々の乗るエールフランス機の乗務員らしい.なかに偉そうなおっさんがいたが,もしかしたら彼が機長なのかもしれない.彼が酒を注文したらどうしようと心配したが幸いそんなことはなく,そのうちその一団はいずこにか消えていった.
 20時55分,ヌメア行きのエールフランス機は成田をたった.飛行機は落ちるものと決めてかかっているKの顔は引きつっている.テロ事件で航空業界は厳しい状態といわれていたが,見渡した所8割以上の客席が埋まっていた.さすがに南太平洋の島はテロには関係ないと見える.機内食を食べて酒を飲み寝る体制に入る.ニューカレドニアは日本と時差が2時間しかないため,到着は翌朝になる.ここで寝ないと後がつらくなると思ったが,気が高ぶっているのかなかなか寝られない.結局,2〜3時間うとうとして朝になってしまった.


 

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