この日はこれまでの日々から比べると,やや雲が多いような気がするが,それでも大きな天候の崩れはなかった.(それでもどちらかというと,2月のほうが気候が良いような気がする)我々はこれから,体験ダイビングに参加すべく準備をしていた.まず朝食を済ませ,所定の場所に集合してツアーに向かう.それから船で初心者向けのダイビングスポットのひとつである,ガルメアウス島へと向かった.
さて,この体験ダイビングは,ダイビングのライセンスを持たない者が,インストラクター同伴で潜るというシロモノなのであるが,素人相手であるから,当然十分な説明を聞いておかなければならない.まずは島の休憩所での,インストラクターによるブリーフィング(説明)である.まず我々は,酸素ボンベが必要な深度まで潜るわけであるから,水中では陸上とどう勝手が違うのか,また潜るためにはどんな機材が必要で,どう使うのか,きちんと理解しておかねばならない.我々はここで基本的な知識と動作を教えていただいた.なお,このとき説明に当たっていたインストラクター氏は,その話しぶりが何となくうちの合唱団のコンサートマスター氏に似ているような気がした.
説明を終え,機材を装着して,まずは海の浅いところで機材の使い方の練習である.ダイビングの方法として,ダイビングスポットまで船で行き,船から海中に飛び込む(よくテレビなどで見かける,背中から海に飛び込んでゆくスタイル)方法と,波打ち際からそのまま海に入る方法とがあるが,今回我々がとった方法は後者であった.こっちのほうが簡単そうである(もっとも,ダイビングスポットがどの海域にあるかで決まることなので,我々が決められることではないのだが).ところで,ダイビング用の酸素マスクは,丁度シュノーケルのように口にくわえるタイプであり,よって必然的に,ダイビング中は口呼吸になる.この口呼吸が,どうもKにとっては曲者だったらしい.実はKは,ダイビング用のマスクは鼻と口を覆うようになっていると思っていたようである.
機材の使い方を練習した後,いよいよ実際に潜っていくこととなった.水中で意思の疎通を図るためには,手の動作によるサインのほかに,水中でも使用できるホワイトボードでの筆談がある.まさか水中で口頭による会話をするわけにもいかないので,水中ではまさに沈黙の世界である.(それでも比較的明るい海中なので,別に悲壮感があるわけではないのだが)海中に潜ってしばらくした後,急にKの様子がおかしくなった.いきなりボコボコ言って苦しみだしたのである.実は我々は休憩所での説明の際に,水中でマスクのゴーグルの内側が曇った際の対処法として,マスククリアの方法を習ったのであるが,どうもそれをやろうとして失敗してしまったらしい.幸いインストラクター氏の対応により事なきを得たようであるが,Kは「あのまま死ぬかと思った」と語っていた.そんなこともありながら,我々は何とか酸素ボンベを背負っての海中散歩を楽しむことができた.普段はテレビか,せいぜいシュノーケリングで海面すれすれのところからしか見ることのできない海の中の様子を,まさに至近距離から見ることができたのである. |
ロックアイランドの観光拠点,ガルメアウス島から潜ります |
これから海に潜ります |
珊瑚とその間を泳ぐ魚です |
初体験のダイビングに挑戦する我々です |
よく見ると,珊瑚の間にクマノミが泳いでいます |
インストラクターにサポートされるKです |
砂の中に魚が潜んでいます(黄色い枠内) |
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