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ラオス旅行記(4)


2017年2月5日


20.早朝の托鉢

 さて,2月5日となった.この日も周囲の鶏の鳴き声で目が覚めた.周囲はまだ陽が出ていない.通常ならばまた眠りにつくところだが今朝はそうではない.この日はまずルアンパバーン名物の早朝托鉢を見学することになっているからだ.
 身支度をしてロビーに向かうとすでにガイドさんが待っていた.車に乗り込んでさっそく街に向かう.
 托鉢というのは仏教における出家僧の修行のひとつで,信者の家々を回って,あるいは街を歩きながら信者から食べ物など生活品を貰う行為である.これは信者側から見れば修行僧に生活必需品を喜捨することで功徳になるという面を持つ.ラオスでは主に早朝に僧侶が街を歩きながら托鉢を行う習慣があり,ここルアンパバーンのそれは国内最大規模のものらしい(上座部仏教の出家僧は最低限の衣類などしか所持が許されず,また殺生を行う可能性のある農耕作業も禁止されているため,托鉢によって生命維持に必要な食料を得なければならないという背景がある).
 最初にやってきたのは昨日も歩いたサッカリン通り,この界隈は寺院が多いため托鉢のメッカ(?)とされている.道路の端には大勢の地元の人に交じって観光客の姿も見られた.そこにオレンジ色の袈裟を纏った僧侶が隊列を組んで歩いてくる.2014年に訪問したミャンマーの僧侶の袈裟はえんじ色がメインだったが,この辺は国によって異なるようだ(オレンジ色の方が華やかに感じる).

まだ真っ暗なホテル

托鉢が始まっています

我々も待機します
 
 僧たちは腰の右側に籠を下げており,人々は僧たちの通りすがら,その籠に人々がご飯や菓子類を差し入れていくのである.特にこのメイン通りは観光客も多いので喜捨の量が多く,籠が一杯になってしまう僧もいて,そうした場合は逆に僧が一般人に菓子類などを返してよこすこともある.そうした托鉢の様子を見学した後,今度は実際に体験してみることにした.
 サッカリン通りは人が多いので,そこから少し離れた細い道に移動,ガイドさんによればここは観光客が少ないのでゆっくり体験できるスポットとのことだった.道の端には我々のために敷物が敷かれ,小さい椅子も用意されていた.用意されたご飯のは行ったお櫃(のようなもの)を持って待つ.しばらくすると僧の一団がやってきた.我々もさっそく僧の腰に下げられた籠にご飯を入れていく.僧の隊列は結構スピードが速く,全員に渡そうとするとかなりの運動神経が必要だと感じた.ちなみに托鉢のマナーとして,
①僧には手を触れない
②僧よりも高い位置にはつかない

などがあるそうだ.全てのご飯を喜捨し終えたところで托鉢体験は終了である.
 

僧の一団が到着

次々と喜捨をします

僧の歩みは速い
 


21.ルアンパパーンの朝市

 托鉢体験が終わるころにはあたりはすっかり明るくなっていた.この後は朝市を見学することになっている.会場となるのは寺院周辺の路地である.昨夜見学したナイトマーケットは織物などの土産物品が中心で,主たるターゲットが観光客だったが,この朝市は扱っているのが日常の食料品など,もっぱら地元民向けの市場となっている.まだ朝6時だというのに大勢の買い物客でごった返していた.
 売り物を観察すると,米の量り売りや各種野菜,卵に肉,さらには魚の姿もある.ただし内陸国のラオスらしく魚はナマズなどの淡水魚が中心だった.
 そんな朝市をしばらく散策してからホテルに戻った.

朝市が始まっています
 

露店が並ぶ

卵を売っている

魚は主に淡水魚
 

米の量り売り

お肉屋さん

こ,これは・・・
 
     


22.朝食時間

 ホテルに戻った後は朝食の時間となる.朝からかなり活動したように感じるが,実はこの段階でまだ午前7時なのだった.昨日と同じレストランでアメリカンスタイルの朝食である.各種パンが充実しているのだが,この日はいわゆる食パンのトーストに挑戦.一般に海外だと食パンは自分で好みの厚さにスライスしなければならないパターンがあって,その場合切るのがヘタだとグチャグチャになって悲しい思いをするのだが、このホテルは最初からスライスしてあったのが嬉しい.その後トースターで焼く流れになるのだが,所定の場所にセットすると自動的に釜(?)の中に流れていって勝手に焼かれて出てくるという形式だった(なので待ち時間がなく次々と焼ける).

ホテルのフロント

ホテル自家製の石鹸
 
 朝食後はチェックアウトをしながらホテル内を散策,今回は休暇の関係もあってルアンパバーン滞在は2泊のみである.このホテル,レジデンス・プーバオは当地ではかなり高級なホテルである.フロントには自家製石鹸も置いてあった.今回は2日目にプールに入るなど少しはリゾート気分も味わったが,もう一泊くらいのんびりしても良かったなと思ったのだった.  

自然豊かなレストラン

食パンのコーナー

自動トースト器
 


23.メコン川クルーズに出発

 時間となりガイドさんが迎えに来たので,そのままリゾートホテルを後にする.向かうのは昨日訪問した国立博物館(旧王宮)裏手にある船着き場,ここからこの日のメインであるメコン川クルーズに繰り出すことになっているのだ.ホテルが建つ丘を下りメコン川沿いに走ること数分で到着した.クルーズというと大型船にょる観光(ライン川クルーズやドナウ川クルーズ,はたまた前年に行ったガリラヤ湖クルーズなど)を想像したのだが,我々を待っていたのはクルーズ船というよりは屋形船といった方がしっくりくる小型の船だった(ただ小型とはいっても20人くらいは乗れそうなサイズ).しかもこの日は貸し切りらしい!誰にも邪魔されず,屋形船でのんびりの方が風情もあるのでむしろ大歓迎の我々だった.
 定期便ではないので定刻があるのかは不明だが,準備ができたらしく出航である.ここからメコン川の上流に向かっていく(なので最上川や日本ラインと違って船にはエンジンが付いている).
 メコン川はチベット高原に源流を持ち,南シナ海に至る全長4000kmを誇る東南アジア最大の大河である(世界でも12番目).河口付近なら,それこそ向こう岸が見えないレベルの大きさであろうが,中流域でしかも乾季のこの時期はさほど大河という雰囲気は感じない.川の水は茶色がかっている(これは周辺の土壌であるラテライトが流れ込んでいるため).川の流れはゆったりで快適な船旅だ.周辺にはトタン屋根の民家や,ちょっと立派な別荘風の建物が見える.川べりでは釣りをしている現地の人や,牛が放牧されている様子など長閑な光景が広がっていた.こうした中を1時間半ほどゆったりと進んで,まずは小さな村にて下船する.

階段を川岸まで降りる

こちらがクルーズ船

乗り込みます

嬉しそうなK
 

川辺に民家が並ぶ

こちらは豪邸のよう

僧侶がカヌーに乗っている
 

牛が放牧されている

釣りをする人

橋げたでしょうか?
 


24.ラオス焼酎製造の村

 船着き場から木製の階段を上っていくと,バーンサーンハイという小さな村に出る.ここはラオス焼酎(ラオラーオ)の醸造で知られた村である.醸造と言っても非常に原始的で,ドラム缶を下から焙って蒸留するシステムだ.販売所には小鬢に入ったラオラーオがたくさん売っている(我々も購入した).
 その後しばらくは村の散策をする.酒造りがメインの村ではあるが,その他に地元の織物など定番のお土産も扱っている・・・ のだが,なぜか店員の姿がほとんどない.商売をする気がないのかと不安になるが,ガイドさんの話によると,主たる販売はルアンパバーンのナイトマーケットだそうで,店員は今そっちに出払っているとのことだった.まあたしかに村で細々と商売するよりもルアンパバーンに出た方が売れるのが現実だろうなぁと感心した.
 また村の中央広場には昨日行ったワット・マイなどの寺院の小型版のような祠や白い象のモニュメントなどもあって,お祭りの縁日みたいで楽しい光景である(ラオスでは白い象は神聖視されているらしい).

船を降りて上陸

ドラム缶を利用した素朴な蒸留設備
 

蒸留の仕方

ラオス焼酎販売所

オリジナルブランド?
 

織物を売る店

人気がありません

白い象
 

小さいながらも寺院です


中には小さな仏像


ここをまっすぐ行くとルアンパバーンに着きます
 


25.メコン料理のレストラン

 バーンサーンハイ村の観光を終えて再び屋形船に乗り込み,さらに上流に向かって進んでいく.周辺の景色には大きな変化ないが,途中で水牛の群れが水浴しているのが見えた.ふと先方から巨大な船がやってくる.なんだろうと思い目を凝らすと,どうやら欧米系の団体観光客を乗せたクルーズ船のようである.レストランやラウンジらしい設備も備えた本格的な船だった.
 村から40分ほど遡ったメコン川とナムウー川の合流地点が次なる上陸ポイント,ここの川沿いに立つマニヴァン・レストランで昼食である.ちょうどお昼時ということで多くの観光客(ほとんどが外国人)の姿があった.我々が案内されたのはテラス席,メコン川が綺麗に臨める席だった.
 しばらく待っていたら料理が到着,この日のメニューはメコン料理という触れ込みで,瓜のスープ,川海苔の揚げ物(カイ・ペーン),チキンと野菜の煮物,筍のフライ(?)だった.海苔の揚げ物が胡麻がきいていて,ビールのおつまみにちょうどよかった.筍も日本で食べなれているのでそれほど苦にはならなかった.ご飯は昨夜と同様の籠に入った赤米だった.ラオスビールもいただいたのは言うまでもない.

大型船が!

欧米系のグループのようです

水牛が水浴しています
 

マニヴァン・レストラン

テラス席です

メコン川が見えます
 

瓜のスープ

川海苔の唐揚げ

筍の炒め物
 

チキンと野菜の煮物

赤米

ラオスビール
 


26.パークウー洞窟

 昼食後は再び船に戻り午後の観光に出発,レストランの対岸にあるバークウー洞窟を目指す.ここはメコン川に面した絶壁に掘られた洞窟で,内部に無数の仏像が鎮座していることで知られている.16世紀の国王セーターティラート王が発見した洞窟といわれ,上下2段構造になっている.まずは下部のタム・ティン・ルムに入った.
 中に入ってみると,まず無数の仏像の姿に圧倒される.一体一体は巨大なものはなく,十分手で抱えられるサイズの物ばかりだが,とにかく数が多い(資料によると4000体はあるらしい).日本でいえば五百羅漢みたいな感じだ.よく見ると一体一体それぞれ表情が異なっているのも興味深かった.
 下の洞窟を一通り見学した後は階段を上って上の洞窟タム・ティン・トゥンへ向かう.階段と坂道を5分くらい登らなくてはならないためちょっとキツイ.こちらは入り口に大きな扉が設置されていて,中の真っ暗な洞窟内に仏像や壁画などが点在する形になっている.懐中電灯がないとよくわからない感じだ(我々の場合はガイドさんが照らしてくれた).壁画の中にはコナン・ドイルの踊る人形を彷彿させるものもあって感慨深かった.仏像の密度は下の洞窟には及ばないが,内部の空間はこちらの方が広いように思えた.上下合わせて1時間程度見学して外に出た.

この絶壁の下に洞窟がある

観光船が停まっている

奥からの一枚
 

たくさんの仏像

ちょっと変わった表情

上の洞窟の入り口
 

上の洞窟の内部

仏像が並ぶ

踊る人形のよう
 

27.紙漉きと織物の村

 洞窟を出たのが14時30分過ぎだった.再び船に乗り込んでルアンパバーンに戻る.帰路は特に寄る場所もないのと川を下る形になるためにスピードが速い.周囲を見渡すとカヌーに興じる人々や,水浴をする僧侶の姿が見えた.1時間ちょっとで船着き場に到着である.この後は夕方の飛行機でラオスの首都ビエンチャンへ飛ぶ予定となっているが,.まだ若干時間に余裕があるとのことで,市街地から少し山の中に入った所にあるバーンサーンコーンとバーンシェンレックの村に向かった.ここは織物と紙漉きの生産が盛んな村で,ナイトマーケットで売られているそっち系の品の半分くらいはここで造られているらしい.工房も併設されているため中の見学も可能となっている(ただ我々が訪問した時間帯は出払っているのかあまり人はいなかったが).

カヌーをする人々

僧侶の水浴
 

紙漉き工房

ここで漉く

機織り工房
 

紙の原料

水を張っています

機織りの様子
 


28.ビエンチャンへ

 村の見学を終えて今度はルアンパバーンの空港に向かうことになる.ふと時計を見たら出発まであまり時間がないように感じたが,実は村と空港はかなり近いらしい.
 ルアンパバーン空港は国際空港ではあるが非常に小さいため手続きもあっという間である(特に今回は国内便だし).すぐにセキュリティチェックを抜けて出発ロビーに入ることができた.出発前に渡された日程表によると,このルアンパバーン空港で日本語スルーガイドは終了と書いてあったので,ここでガイドさんとはお別れなのかと思っていたら,実は最終日のビエンチャンまで一緒に行くことがわかり一安心した.
 やがで我々を乗せたラオス航空機は滑走を離陸し一路南へ向かう.飛行時間は約50分,本当にあっという間に着陸となった.
 ビエンチャンのワットタイ空港はルアンパバーンよりは大きいとはいえ,やっぱりこじんまりとした空港である.ロストバゲージに逢うこともなくスムーズにターミナルを後にする.外に出るとさすがに日は完全に暮れている.ホテルに行く前にまず夕食のレストランへ.この日は I-BEAM という名のバーを併設したレストランだった.入り口にエッフェル塔を思わせる電飾があったのでフランス料理なのかと思ったら,出てきたのはカジュアルなイタリアンだった(パンプキンスープ,ミートソースパスタ,デザートにアイスクリーム).

ビエンチャンの空港

レストラン I-BEAM

かぼちゃスープ
 
 食後はホテルへ移動,ラオ・プラザ・ホテルというビエンチャン随一のホテルらしい.チェックインしてそのまま部屋へ.既に遅い時間になっていたこともあり,さっさと寝てしまうことにした.  

パスタ

アイスクリーム

お供は�ワイン
 

締めはエスプレッソ

プラザホテル

ホテルのフロント
 



 

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