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第1回パラオ旅行記(3)


2005年2月13日(日)


PPRの休日

 一夜明けて我々のパラオでの活動開始である.もっとも,活動といっても,この日はホテルで日がな一日のんびりと過ごすだけである.まずは身支度を整え,朝食である.ビュッフェスタイルであるが,さすが旧日本領だけあって,納豆や漬物まで揃っている.しかもそれらの食品を,地元の人も結構抵抗なく食べている.きっとこれらは彼らにもおなじみの食材なのであろう.(一方のKは露骨に嫌がっていたが)ここの和食は,「おいしい」というよりも,「食べなれた味」というほうが近いかもしれない.他の国で食べる和食よりも,普段の和食の味に近いような気がする.(なお,パラオの人々は,何かのイベントの時などによく海苔巻きや稲荷寿司を作って食べるらしく,お正月には汁粉を作って食べる習慣もあるそうだ.旨そうである)
 朝食を終え,まず我々はホテルの裏のプライベートビーチに向かった.リーフの内側なので,波は穏やかである.シュノーケルセットを借り,準備体操の後早速海に入ってみることにした.するといるわいるわ,色とりどりの海水魚がいたるところで泳いでいる.もしかするとタヒチより魚の種類が豊富なのではないか.無脊椎動物の分野では,シャコガイが転がっている.そしてKは,なんとあの珊瑚の天敵「オニヒトデ」を見たと言っていた.そう,子供の頃「人間の敵 ショッキング情報」という本で見た,珊瑚を食い荒らすオニヒトデ,全身をとげで覆われ,腕が7〜8本くらいある(もしかしてそれ以上か?),

ここがPPRのプライベートビーチです


椰子の木が一本だけ生えた漫画に出てきそうな島です


ビーチの近くでも魚が!
 
見るからに「悪役」の風格が漂う大型のヒトデである.そんなのがこの海域にいて大丈夫なのだろうか.(まあ,彼らだって必死にこの厳しい自然の中で生きているのだとは思うのだが)思わずホラガイ(ホラガイはオニヒトデを食べる.オニヒトデをひっくり返し,長い口吻を伸ばして体に突き刺し,中身をジュルジュル吸い取って食べるそうだ)を放したくなってしまうではないか(笑).しかしそれにしても,さすがはダイビングスポットとしても紹介されているPPR裏のビーチである.
 ひととおり海で泳いだ後は,ビーチリゾートの休日のお約束,ビーチチェアで一休みである.ビーチの彼方をよく見ると,水平線の向こうに,椰子の木が1本だけ生えた,まさに漫画に出てくるような小島が見えるのである.こういう島が実在するのかと,感動のあまり写真に収めてしまった.ところで,実際にこの島に上陸してみたという人はいるのだろうか.漫画などでは,船が難破してこういう形の無人島に漂着する,というのがお約束のパターンだったりするが.
 

カラフルな魚です

珊瑚に隠れています

シャコガイが口を開けています
 


PPRの昼下がり

 ビーチで午前中の時間をつぶし,ちょうど昼食の時間となった.この日の昼食は,ホテルのレストランのビュッフェである.私は食事の友として,やはり休日の気分を味わうためにビールをオーダーした.一方のKは,アルコールが入ると脱水症状が起こりそうでいやだということで,ジンジャーエールを頼んでいた(本当は炭酸入りミネラルウォーターの「ペリエ」が欲しかったらしいのだが,あいにく在庫がないとのことであった).Kは結構泳ぐので,このような日中の日差しが強いビーチリゾートでは,昼間はアルコールはなるべく摂らないようにしているらしい.私はKのようにガンガン泳ぐわけではないので,やはりビールを飲んでバカンス気分を満喫したかった.
 食事の後は,またホテルの敷地内でのんびりと過ごすことにした.実はこのホテルには,敷地内の一角によく動物園で見られるような大きなケージがあり,そこではパラオに生息する鳥類や哺乳類が飼育されているのである(そんなに何匹もいたわけではないが).

ビーチチェアに寝そべって本を読むのは南の島の休日のお約束です(読んでいるのはビザンチン帝国の本)

外から見ても魚がウヨウヨいるのがわかります
 
ここにいたのは,パラオの国鳥に指定されているコロッとした体形のアオバト,主に果物を食べるパラオオオコウモリ,そして固有種ではないが,広くこのあたりに生息している白い羽のオウム,キバタンであった.さすがに我々は,野生下の彼らに出会うことはなかったが,これらの動物を,ケージの中ではあっても興味深く眺めることができた(なお,島嶼の常として,パラオには野生の大型哺乳類はいない.南端のアンガウル島にはカニクイザルが生息しているらしいが,彼らはもともとこの島に生息していたわけではなく,人間の手で(多分ドイツ人あたりだろう)持ち込まれたものである.現地では農産物を荒らしたりして,地元の人が結構困っているようだ).  

PPRのビーチは1日ゴロゴロしていても飽きません

ホテルの客室はコテージタイプが沢山集まった造りです

PPRの構内はとても広く,歩いているだけで運動になります
 


そして夜

 海やプールで過ごしているうちに,夕暮れとなっていた.部屋に戻ってシャワーを浴び,夕食である.この日の夕食は,ホテル内のレストランでとることにした.ある程度着飾っていくことが必要な高級レストランであるが,やたら肩肘の張るメニューばかりでなく,パラオ料理も味わえる店である. 
 我々がとったのは,魚のスープやシャコガイの炒め物,それに牛肉のたたきなどといったメニューであった.魚のスープは,ちょうど「豆腐を入れていない魚のちり鍋」といった感じの,さっぱりした食感の料理であった.そして牛肉のたたきも,やはり「普段から食べなれた味」といった感じで,おいしく食べることができた.そしてこれらの料理に欠かせない,薬味とでもいうべき食材が,パラオレモンと呼ばれる柑橘類の一種である.ちょうど「ポン酢」のように用いるのであるが,特にたたき料理や刺身などに使うと,さっぱりとして大変おいしく食べられるのである.まあ,柚子や酢橘のような感覚で用いられるといえばわかりやすいであろう.ちなみにこれは,焼酎を水割りで飲むときに絞りいれて飲んでも旨い.居酒屋でもオーダーすることが可能である.我々がここでオーダーした料理は,どれも日本人好みの味付けで旨かったのだが,ただ一つ,Kの頼んだシャコガイの炒め物だけがやや「はずれ」だったようである.(シャコガイと一緒に調理してある,中華風のソーセージが何だか生臭かったらしい)
 食事を終えて部屋に戻る途中,我々はホテルの敷地内にあるテニスコートの脇を通っていったのだが,よく見ると,なんと大きな蛙がそこかしこにいるではないか.(ちなみにこの蛙は,プールサイドの芝生の部分でも見ることができた)パラオにはかつてアメリカ人によって持ち込まれたとされる,猛毒のオオヒキガエルという大型の蛙がいるということであるが,彼らがその蛙であるかどうかはわからない(恐らく違うであろう.何しろオオヒキガエルは目の脇にある毒腺から毒液を噴射し,それによって農作業や草刈作業をしている人が失明する事故も起こっているのである.もしそんな危険な生物が,ホテルの敷地内に何匹も野放しになっていたら,生物兵器テロと呼ばれても仕方ないのではないか).なんかその蛙たちの姿が面白くて,ついテニスコート側まで行って観察してしまいたくなったのであった.
 ところで,夕食に先立って,私はオプショナルツアーの申し込みを行った.1つはロック・アイランドへ行くツアー,もう一つはあのぺリリュー島へ行くツアーである.ロック・アイランドのツアーはまだいいのだが,問題はぺリリュー島へ行くツアーである.このツアーは3人からの催行なのだが,どうも今の時点では2人(つまり私とK)しか申込者がいないらしい.まあ,まだ1日あるから,その間に人数も増えるであろう.
 このようにして,PPRで過ごした1日は過ぎていったのである.明日はロック・アイランドのツアーである.
 



 

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