第1回パラオ旅行記(1)
我々の旅行といえば,これまでは夏休みを利用して出かけるパターンがほとんどであった.もっとも,海外旅行はある程度まとまった休みがとれなければ行ける筈もないのであるが,これがアジアやミクロネシアのような近場となるとまた話は変わってくる.実はこのパラオ旅行に先立ち,我々は冬季のまとまった休みを利用して2004年1月に何となくグアムへ行ってしまった.このときは仙台発着ということもあり,かなり気軽に出かけることができたと思う.このグアム旅行によって,我々は「近場だったら土日に連休がくっつけば,何とか出かけることができる」という認識を持つことができたのであった.
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当時入手可能だった唯一の日本語によるパラオのガイドブック |
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さて,今回の旅行に関してであるが,この年の初め,我々は所属する合唱団の演奏会を抱えており,この演奏会が終わったら「打ち上げ」のつもりでどこかへ出かけようと考えていたのであった.休める日数に限りがあることから近場にしようということまでは決まっていたのだが,どこにするかまでは具体的に絞りきれていなかった.大まかに考えて,普段寒冷地に住んでいる者の常として,「厳寒期だから,やはり暖かい南の島がよいだろう」というところまでは考えていたが,最初のうちは(安易ではあるが)「じゃあまたグアムに行くか,でなければサイパンにしようか」ぐらいにしか考えていなかったのである.
しかし,せっかく行くのならば,グアムやサイパンよりも混んでいないところにしよう(どうも私は,メジャーどころよりもちょっと変わったところを旅行先に選びたくなってしまう),しかし近場にそんなところがあるだろうか・・・と思っていたところ,そのような私の考えにぴったりの場所があるではないか.そう,日本から近くて,なおかつグアムやサイパンほど混んでいないところ,そして海で泳ぐことができる魅力的な場所,そこがパラオだったのである.
たまたま書店でパラオのガイドブック(「地球の歩き方リゾート パラオ」現在のところ日本で入手できるパラオのガイドブックはこれしかない)を発見し,たちまち私はパラオに魅せられてしまったのである.調べてみればみるほど,この国は私の興味をかき立てる見どころがたくさんあるではないか.
- パラオは第2次世界大戦終了まで約30年ほどの間,日本の委任統治領だったことがあり,首都コロールには南洋庁が置かれ,多くの日本人が移り住んでいた.そのため今でも日本語を話せる人が多く,日本語起源のパラオ語も多数存在する.また,この国の前の大統領は,クニオ・ナカムラという名前の日系人であった.
- パラオ南部のぺリリュー島は,太平洋戦争末期の昭和19年(1944年)日米両軍の激戦地となったことで知られ,今でも多くの戦跡が残されている.現在でも鎮魂のためにこの島を訪れる人が多い.なおこの戦いに際し日本軍は島に住むパラオの民間人を全て他の島に疎開させたため,民間人の死者を出すことはなかった.
- この国の客層は,どちらかというとダイビングをする人が多く,グアムやサイパンほど俗化されていない.
このように見ていくと,なかなか面白い場所ではないか.特にぺリリュー島は,戦史マニアの部類に入る私には,はずせない場所である.これは是非行くしかない.かくしてこの冬の旅行は,パラオ行きに決まったのである.
なお,一方のKは,旅行そのものは楽しみにしてはいたものの,私がぺリリュー島に行きたいと言ったことに対して「えっ,ぺリリュー島に行くの?あららー,そしたら勉強していかないと何だかわかんないかも」と戸惑っていたようである.Kはぺリリュー島の名前は知ってはいたものの,具体的に何があった場所であるかまでは知らないでいたようだ.(しかし「勉強しなきゃー」と言っていた割には,「帝国陸軍の最後 3 死闘篇」(伊藤正徳著,角川文庫)ぐらいしか読んでいる気配はなかったが 笑)
余談だが,「ゴルゴ13」31巻(第105話)の「落日の死影」の舞台は,独立前,アメリカの信託統治下にあったパラオであった.(コロールとアンガウル島が登場する.我々はアンガウル島には行かなかったが,この島に化学兵器および生物兵器開発のための秘密の毒物工場があるという設定であった)前に読んではいたのだが,できれば行く前に今一度目を通していけばよかったと思っている. |
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今回はいつもの夏休みと違い,そんなに多くの日程がとれるわけではないが,おおむね下記の通りとなった.
月日 |
旅程 |
宿泊 |
2月12日(土) |
成田 − コロール |
パラオ・パシフィック・リゾート |
2月13日(日) |
コロール滞在 |
パラオ・パシフィック・リゾート |
2月14日(月) |
コロール滞在 |
パラオ・パシフィック・リゾート |
2月15日(火) |
コロール滞在 |
パラオ・パシフィック・リゾート |
2月16日(水) |
コロール − 成田 |
同日帰国 |
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