ホテル前を出発したハイヤーはまず北の方へ向かう.目的地はモンマルトルである.
パリ北部18区にある小高い丘であるモンマルトルはゴッホやルノアール,ピカソといった多くの芸術家が拠点としていた地域である.現在でも絵描きの修行をしている人たちを見ることもできる.その一方周辺はパリを代表する歓楽街が広がっており,数多くの飲食店が立ち並んでいる地域でもある(有名なムーランルージュもここにある).ハイヤーはどこをどう通ったかわからないような細い路地を走ってサクレクール寺院についた.本来ここは下界からえっちらおっちら坂や階段を登ってたどり着くのだが,今回は寺院まで直接乗りつけることができた.昼間には大勢の観光客でごった返す寺院だが,まだ朝早いためか人影はまばらである.早速写真撮影を開始した.合間には日本人カップルやロシア系らしい観光客に話しかけられ記念写真に納まったりした.
撮影後再び車に乗り込み丘を下る.途中ムーランルージュに寄って今度は西のシャルル・ド・ゴール広場を目指した.ここはシャンゼリゼ通りの西の端にあたり有名な凱旋門が建つところである.この凱旋門は1805年のアウステルリッツの三帝会戦(フランス帝国皇帝ナポレオン,神聖ローマ皇帝フランツ2世,ロシア皇帝アレクサンドル1世の3人の皇帝が会した戦いといわれる)で勝利したナポレオンの命で建設された記念碑である.ただ彼の生存中に完成にはいたらず,彼自身は死後ここを通って埋葬されている.パリを代表する観光スポットであり,パリに行ったことがある人なら一度は訪れていると思われる.したがってここでの撮影は絶対に外せないのであった.
とはいえ,この凱旋門のあるシャルル・ド・ゴール広場はまた車の難所としても知られている.ここは実に12本もの道路が交差する巨大ロータリーになっているのだ.フランス人のロータリー好きは有名(信号待ちが嫌いなのか,フランスの交差点はロータリーが多い)だが,確かに4差路,5差路程度なら信号付交差点でどうにかなるものの,さすがに12差路ともなれば信号で捌くのは不可能 |
モンマルトルのサクレク
ール寺院にて |
早朝のモンマルトルの丘からパリ市街をバックに |
夜は派手なネオンが目立つムーランルージュも朝はひっそり |
有名な凱旋門です.ロー
タリーは車でいっぱい |
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である.必然的にロータリーになるわけだ.しかしこの巨大ロータリー,進入したのは良いが周囲の運転は強引で荒っぽいし(一般にヨーロッパではラテン系諸国の運転は荒っぽい)、自分が退出すべき道路を逃してまごまごしているうちにどんどんロータリーの内側に追いやられ永遠に出られないという悲劇に襲われてしまうのだ.
今日の運転手は慣れているためそのような事はなかったが,それでも駐車場所を確保するのは大変である(パリの警察は駐車違反にも厳しい).ロータリーを巧みに泳ぎながらスペースを見つけ,なんとか駐車に成功した.さっそく凱旋門に駆け寄って写真を撮り,急いで車に戻った(周囲には大勢の観光客がいたが,急いでいたためほとんど目に入らなかった). |
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図説: こうして気の弱い人は凱旋門のロータリーに嵌っていく |
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次々と新手の車がロータリーに進入してくるため,気が弱い人は後続車によってどんどんロータリーの内側に押し込まれていき,永遠に凱旋門の周りを回り続けるのだった… |
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