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小笠原旅行記(3)


2020年9月15日(火)


12.父島の朝

 一夜明け9月15日となった.この日は父島周辺の海を観光する予定である.身支度をして朝食のためにレストランへ.テーブルも昨夜と同じ場所である.このホテルの朝食は基本的に和食と洋食が日替わりということでこの日は和食の順番だった(豆腐,納豆,塩サバという極めてオーソドックスなパターン).前夜に頼んでおいたランチのお弁当を受け取り部屋に戻った(海外のツアーだと昼食付が多いが,小笠原では基本的に弁当持参).その後準備,泳ぐことも想定して水着を着こみ,タオルやシュノーケルセット類をバッグに詰め込む.
 準備ができて8時15分頃にロビーへ.この日は集合場所の桟橋までホテルの車で送迎してもらうことになっている.我々の他に同じツアーに参加する3人の方が同乗となった.10分ちょっとで大村の桟橋(通称青灯台)に到着,おがさわら丸が停泊する場所の隣である.

朝食は和食

ピンクドルフィン号
 
 父島で海の観光を催行している会社はたくさんあるが,今回はその中でピンクドルフィンさんという会社を選択,ここにしたのは船の規模が比較的大きかったからだ.小型船の方が小回りや融通が利くというメリットもあるのだが,何より小型船は参加者も気合が入った人が多そうで,我々のような素人が混じると完全に浮いてしまう恐れがあるのではと思ったからだ.その点大きめの船だと参加者も多様なので大丈夫だろうという算段である.
 ホテルの車を降りて海の方に向かうと目の前にピンクに塗装された船が見えた.これがピンクドルフィン号であることは明白である(笑).船の前で待っていた係員に受付をして乗り込む.この日の乗客は20人ちょっとで,若い方から自分よりも年配と思しき人まで様々だった.全員の乗船が終わるといよいよ目の前の青い海に向かって出航.この日のコースは父島を一周しながら,絶景の南島訪問,ドルフィンスイム,シュノーケリングを堪能するコースだ.島生まれでこの道云十年の南スタンリー船長の解説付きである.
 


13.父島周辺のクルーズ

 二見港を出たクルーズ船は湾を出て島の西岸に沿って南下していく.父島の海岸部は基本的に断崖の連続だが,所々に白砂のビーチが見られる.昨夜のナイトツアーで散策した小港海岸や島南西部にあるジョンビーチ,ジニービーチといった海岸などで,ジョンビーチはトレッキングでようやくたどり着ける,ジニービーチは陸路のアプローチは困難でボートを使って上陸するしかないところとなっている.まずは島の南岸に回り込みイルカを探していく.

ピンクドルフィン号
 
 が,まったく姿が見えない.船長も「今日はなかなか見つからないな…」とつぶやいていた.30分ほど周辺を探しても見つからないため,そのまま父島の南西に浮かぶ南島へ向かう.ここは冠水カルスト地形(氷河期のように現在よりも海面が下がっていた時期に形成されたカルスト地形が,その後の温暖化による海面上昇によって冠水した地形)として有名な島で,ウミガメの産卵地ともなっている.保護区に指定されているため,上陸できるのは1年のうちで3月から10月までの期間に限られ,東京都自然ガイドの同行が義務付けられているほか,1日最大100人,1グループ最大2時間までの滞在と厳しい制限が課せられている.   

南国の青い海

ジョンビーチ

ジニービーチ
 


14.南島に上陸

 船は島の南側の入江(通称鮫池)から進入,この入口は非常に狭く,岩が海面に顔を出すなど大きな船が抜けるのは難しそうだ.ただ船長は過去一度も失敗したことがないらしく,この日もスーッとすり抜けていた.入り江に進入した後はそのまま舳先を岸壁に着け,そこから一同上陸である.岩場に設置された仮設階段を上がり島の内部へ.周囲は石灰岩質の地面に丈の短い草が生えており,その中を一条の小道が通っている(この小道から外れないようにと注意あり).
 小道を進んでいくとやがてガイドブックに必ず出てくる扇池が見えてきた.奥のコバルトブルーの池とそれを取り囲むように広がる扇形の白い砂浜が絶景だ.ここで希望者は遊泳を楽しむことに.我々は水に足を付けたり(とても温い 笑),浜を歩いているカニの大群を観察して過ごした.ちなみにここ南島はウミガメの産卵地としても有名で6~7月の産卵ピーク時にはここにもたくさんの母ガメが上陸してくるらしい(砂浜には海に入れず息絶えた子ガメの死骸がありました 合掌).

無事入り江に進入

南島へ上陸
 

カツオドリの姿が

夢のように美しい扇池

泳いでいる方々
 

カニの軍団

扇池での記念写真

子ガメの遺体
 


15.陰陽池にて

 そうこうしているうちに次のグループがやってきたため場所を空けて先に進む.扇池の砂浜をさらに奥に向かって歩いていると,周辺にはたくさんの巻貝の貝殻が散らばっていた.これはヒロベソカタマイマイという今から数百年から千年前に絶滅したカタマイマイの1種だ(カタマイマイは貝殻が固いことからの名前).小笠原はカタツムリ王国と呼ばれるほど多くのカタツムリが生息している場所だが,その中の絶滅種の姿をこうして見られるというのが感慨深いなと思った.

カタマイマイの貝殻
 
 カタマイマイの砂浜を通った先には,また別な大きな池が広がっていた.ここは陰陽池と呼ばれる淡水と海水が混じったいわゆる汽水湖である.とは言っても宍道湖やサロマ湖のように海とつながっているタイプではなく,雨水と台風などの際に流入する海水が混ざってできたものらしい.池底には水草が生えているなど風情は扇池とはかなり異なる.観察していたら小さなウミガメの姿もあった.これは孵化後,道を間違えて(あるいは風に飛ばされて)陰陽池にたどり着いてしまった個体とのこと.陰陽池は海とは連絡していないのでこの個体は一生ここで過ごすしかないのだそうだ.  

雪山のよう

陰陽池

鳥がいます
 


16.絶景スポット

 陰陽池を観察した後はこの島の展望ポイントを目指す.途中からキツイ上り坂になるということで,高齢の方数名が分岐点に残り,我々を含めた若者(?)がアタックする.たしかに途中きつい登りはあるものの,時間的に短いためそれほど苦には感じなかった.展望スポットからの眺めは絶景で,扇池や鮫池はもちろん,反対側には父島南岸の名スポット,ハートロックもよく見えた(海から見ると赤い岩肌がハート型に見えるところ,明日陸路チャレンジする予定).
 360度の展望を堪能した後は来た道を下山,居残り組と合流して鮫池方面に戻る.途中の斜面ではオナガミズナギドリの雛の姿を目撃した.鮫池から再び船に乗り込んで出航,鮫池入口の難所もなんなく抜けて,また外洋に出た.

青い海

扇池の遠景
 

入江(鮫池)です

オナガミズナギドリの雛

眠っています
 
 


17.昼食タイム

 ここから再びイルカを探す時間帯だが・・・

 やっぱり見つからない.もしかして今日は定休日なのでは、などとウワサしていた(笑).
 いないものは仕方がないということで,この後はお昼タイム!付近の湾に入り錨を下ろして休憩である.各自持参したお弁当を食べながら寛ぐ.ガイドさんが「あそこの岩,ネコの後ろ姿に見えるんですよ」と指さす方を見ると,たしかにそれっぽい形状をしていた(その左隣の岩はゴリラの横顔に見える).
 その後ガイドさんは海に潜って船底のガラス磨きを開始,この船はグラスボートになっていて水中が覗けるのだが,こうして定期的に掃除をしないと汚れて見えにくくなってしまうのだ.参加者の一人が「ここでシュノーケリングができますか?」と聞いていたが,船長は「ここはほとんど魚がいないからもう少し先に行ってからの方がいい」とのことで,そろそろ出航となる.錨を挙げろ!という場面であるが,何かに絡まったらしくスムーズにいかない・・ それでも何とか作業が完了して湾外に出た.

他のクルーズ船

ハートロックです
 

ハートロックの記念撮影

ゴリラ岩(左)と猫岩(右)

よく見るとトーチカが…
 


18.ドルフィンスイム

 午後もまずはイルカを探す.どうせ今日は定休日だろうと半ばあきらめていたら,ついに船長が群れを発見した模様,しかも10頭以上という大群! 「泳ぐ人は準備してくださ~い」というガイドさんの声で皆一斉に準備を始める(シュノーケルセットの装着等).船長がイルカの進む方向に合わせて船を操作,ちょうどよいポイントに着いたタイミングで「入って!、右!」などと指示を出す.参加者は5人ずつ順番に海に入ってドルフィンスイムである.我々も順番に泳いだが,上手な人達はまさにイルカと泳いでいるのだが,私のような素人はイルカの周囲でバタバタするだけという表現が正解ではと思った(笑).
 当たり前だがイルカたちは自分の意志で場所を変えるので,船も適宜場所を移動しながらスイムを行っていく.さんざん泳いで船長が「みんな、思い残すことはない?」といって全員うなずいたタイミングでドルフィンスイムは終了となった.

他の船の人たちも

イルカに向かいます
 

水面上から

水中にて

こちらも水中
 


19.兄島海中公園

 その後船は父島の東岸を北上し,北側の兄島との狭い水道にある兄島海中公園に到着,ここは美しい珊瑚とたくさんの魚がいる小笠原有数のシュノーケルスポットである.元々魚が多い場所なのだが,さらに船長がウミヘビの餌やりの仕掛けでたくさんの魚をおびき寄せてくれるため,水面下は素晴らしいことになっている.さきほどのドルフィンスイムと違い,ここでは船は動かないため安心してシュノーケリングに集中できるのが魅力だ.南国の海独特の珊瑚とカラフルなお魚の組み合わせを堪能した時間だった.    

大きな魚が

南国のカラフルな魚

ウミヘビの餌やり
   


20.郷土料理

 シュノーケリングタイムが終わるとツアーもお終いである.船はそのまま父島の北岸を西に向かい,そのまま回り込んで二見港に入港した.下船後はホテルに電話をして迎えに来てもらう.10分ほどで車が到着,そのままホテルに戻った.
 部屋に入ったのは夕方4時,昼間にツアーでくたびれたためゆっくり過ごすことにする.

帰ってきました
 
そして6時になりレストランへ.この日のメニューは郷土料理,島野菜の天ぷらやウミガメの刺身や煮込み,島寿司などが並んだ.この日のお供はもちろん日本酒である(量が多くてご飯まで手が回らなかった �汗).
 明日はいよいよハートロックへのトレッキングである. 
 

郷土料理

島野菜天ぷら

ウミガメの煮込み

島寿司
 



 

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