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小笠原旅行記(2)


2020年9月14日(月)


4.南海の朝

 外海を航海しているとは思えないほど穏やかな夜があけ9月14日となった.目が覚めて船室の窓から外を見ると見事な青空が広がっている.嬉しくなってデッキに出ると,前日とは明らかに色の違う青い海が一面に広がっていた.「これが南の海だよ〜」と感慨に浸る.船の周囲にはカツオドリが舞っていて,時々海面に姿を現すトビウオをめがけて急降下する姿が見えた(それにしても上手に捕まえるものだ 笑).
 しばらく朝の海を眺めていたが,おなかがすいてきたので朝食を摂ることに.昨日は昼夜とレストラン利用だったのでこの日は展望ラウンジの軽食をいただくことにする.ただ展望ラウンジはコロナ対策で座席が大幅に間引かれているために満席状態だったので,テイクアウトして部屋でいただいた(この辺は個室の特権).
 

カツオドリ

魚を捕まえる

この日の朝食です
   


5.父島に上陸

 この時間帯になると進行方向左側に聟島列島が見え始めます.携帯電話の電波も徐々に立ち始め人里に近づいてきたことがわかります.10時ごろに船内放送でそろそろ下船の支度をするよう案内があったため準備をします(下船は特等,特1等から始まる).快適な船旅もお終いかと寂しい思いと同時にこれから始まる父島観光の期待でワクワクしてきます.10時30分過ぎに下船口である4デッキにおりてしばし待機,船は岬のようなところを回り込んで湾内に入り,その先に集落が見えてきました.これが父島一番の集落である大村のようです.いよいよ来たと感慨に浸る我々,そうこうしているうちに船は無時に接岸し下船が始まりました.
 船から降りるとこれぞ南国という灼熱の太陽が照り付けてきます.荷物を転がしながらターミナルの建物に向かうとホテルや民宿,現地旅行社の方々がそれぞれの看板を掲げて迎えに出ていました(この辺はリゾート地の空港到着ロビーの雰囲気,我々はこの日から3泊するホテル・ホライズンさんのところに行って手続きをします.曰く,大きな荷物はホテルまで届ける.チェックインは14時から,14時に一度ここに迎えに来る.それ以降は連絡をすれば随時迎えに来る.ということだった.この日の日中は特にツアーの予定は入れていなかったので,周辺を散策して過ごすことにした.
   

聟島列島が見えます

父島のターミナル

おがさわら丸
   


6.ハートロックカフェ

 フェリーターミナルを出て目の前のメイン道路を西に向かいます.右手には様々な飲食店が並び,左手には島最大(?)の店である生協がありました(表に水着や半裸姿での入店お断りの貼り紙があったのだが,そういう客がいたのだろうか).
 そのまままっすぐ進んでいくと左手に大神山公園が開けます.まずは公園内にある小笠原ビジターセンターに入りました.ここでは小笠原の歴史や自然がパネルで展示されています.島の固有種や問題になっている外来種などの他,今回観光する南島やハートロックなどに関する案内もあり興味深く見学しました.
 センターは12時30分に昼休みに入るということで全員退出,ちょうどいいのでランチにすることにしました.この日はターミナル近くにあるハートロックカフェへ.アメリカ料理レストランの響きがするネーミングですが(笑),ハートロックとは父島南部にある海から見るとハート型をした岩場のことです(別名千尋岩).あっさりフィッシュバーガーとサラダ,そしてビールをいただきました(笑).

南国の風景

ペリー上陸の碑
 

小笠原ビジターセンター

島最大の店生協

こんな張り紙が・・
 

ハートロックカフェ

フィッシュバーガー

ビールも
 


7.悲願の小笠原空港

 昼食後は再び市街地の散策,聖ジョージ教会の外観を見学(中は鍵がかかって入れなかった)したり,お土産物屋を覗いたりした.途中小笠原村役場前を通ったら,「小笠原空港 早期開港!!」の横断幕が… 小笠原諸島には空港がなく本土との往来はおがさわら丸のみという状況のため,空港は住民の悲願だが,山がちな地形に加えて世界遺産に指定されたことから新規の開発も難しい状態になっている.

小笠原村役場
 
一応大戦中には島中部の洲崎地区に海軍の飛行場があったのだが,滑走路が500mと短くあまり使われなかったらしい(この洲崎地区は世界遺産地域から外れているため開発可能であり,旧海軍飛行場部分を延長して海の一部を埋め立てるなりすれば空港開設も可能と思われる).  

大村地区のメイン道路

聖ジョージ教会

小笠原空港は地元の悲願
 


8.ホテル・ホライズン

 そうこうしているうちに14時になったためターミナルに移動,待っていたらホテルの車がやってきた.車内は感染対策で窓が開けられ,運転席にビニールシートが張られている.この時同乗者が7人ほどいた.車はターミナルを出発して大村市街地から南へ,海沿いを走る快適なドライブである.途中の境浦湾には大戦中に大破した輸送船濱江丸の残骸が見えた.大村から10分ほどでホテルに到着,扇浦海岸を目の前に臨む好立地なホテルだ.手指消毒と検温を経てチェックインの手続きを.

ホテル・ホライズン
 
キーを受け取り部屋に入る.部屋は床がタイル張りの南国ビーチリゾートでよくあるパターン,浴室は浴槽と洗い場が別々になっているタイプなのが嬉しい.  

ホテルのフロント

魚の飾りが

客室の様子
 


9.イタリアン・コースディナー

  一休みした後,私だけちょっと目の前の扇浦海岸を散策,ほとんど貸し切り状態で気持ちのいい風を浴びた.その後再び部屋でまったりしているうちに夕食の時間に(このホテルの夕食は基本的に18時).レストランに行くと部屋ごとに座席が指定されており,各テーブル間には飛沫予防のプラ板も設置されるなど感染対策が施されていた.

扇浦海岸
 
 この日の夕食はイタリアンのコース料理,前菜として島魚のカルパッチョ,ダブルコンソメスープ,パスタがボンゴレビアンコと続き,魚料理が島魚のポワレ,肉料理がリブロースステーキ,デザートにパンナコッタという流れである.シェフ自慢のコースらしく美味しかった.この日のお酒はスパークリングワインのハーフボトルを選択,なぜフルにしないかというと,この後ナイトツアーに参加するためである.  

レストラン

島魚のカルパッチョ

ダブルコンソメスープ

ボンゴレビアンコ
 

島魚のポワレ

リブロースステーキ

パンナコッタ

スパークリングワインを
 


10.光るキノコ

 19時20分頃に食事を終えいったん部屋に戻り準備をする.19時40分に今回ナイトツアーを頼んでいたオガツアーの人がやってきた.小笠原さんという島に20年くらい住んでいる方らしい(小笠原諸島の小笠原さんという非常に楽しい感じ).ナイトツアーは夜ならではの小笠原の自然を観察するツアーだ.まずはグリーンペペと呼ばれる光るキノコを探しに行く(正式名ヤコウタケ).
 このキノコは年中みられるわけではなく,平均気温が18℃以上あって雨が降った数日後に生えてくるのだそう.キノコがよく生えているスポットに行くと,他のツアーの方々が見つけた個体があったので観察した.まずは懐中電灯を照らして明るい状態で観察,白くて小さなキノコである(エノキダケの先端みたいなイメージ).その後懐中電灯を消すと,見事に緑色に光っているのがわかる.ちなみにグリーンペペが光る原理はよくわかっていないらしい(夜光塗料のように光をため込むわけではなく,蛍のように自ら発するパターンとのこと). 

   

明るい状態

やや暗い状態

真っ暗闇で光る
   


11.コウモリとヤドカリ

 続いては小笠原の固有種,オガサワラオオコウモリを探しに行く.内地だと洞窟などに潜んでいることの多いコウモリだが,この品種は屋外に生息しているのが特徴である.ただ夜行性なので昼に見つけるのは至難であり,ナイトツアーで見るのが定番となっている.アフリカのサファリでもそうだが,どこで目撃されたかの情報はガイド同士で共有されるらしく,いるらしい所に行ったらすでに何台かの車が停まっていた.グループごとに順番に観察,街灯も何もない場所なのでコウモリには見ることのできない赤い光を照らしての観察である.ちょうどタコノキの実を齧っている様子を観察できた.
 オオコウモリの後は南部の小港海岸に移動,道路の終点で車を降りて徒歩で向かう.街灯など人口の明かりが全くないためガイドさんの懐中電灯が頼りだ.歩き始めたらさっそく遊歩道にオカヤドカリやカニの姿があった.その後数分で海岸に到着,この日は月齢20以上なのでこの時間月はなく,周囲は漆黒の闇である.そのおかげで素晴らしい星空を拝むことができた.まさに星が降ってきそうな感じだ.2018年にアタカマ高地に行った際に見た星空もきれいだったが周囲に何も無い度はこちらの方が上なので余計きれいに感動的だった(アタカマでは近くにロッジがありそこに明かりがある).
 しばし星空を観察した後は夜光虫を探す(虫と名が付いているが実はプランクトン).足で波打ち際の砂を擦るとぴかっ、ぴかっと光る姿が確認できました.
 そんな感じでナイトツアーは終了,駐車場から車でホテルへ.部屋に入った後はシャワーを浴びて,ビールで乾杯,その後は明日に備えてさっさと眠りについたのだった.
   

オガサワラオオコウモリ

オカヤドカリ

カニ
   



 

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