旅行好きの我が家,21世紀に入ってからの夏季休暇は基本的に海外だった.しかし新型コロナウイルス感染症が世界的な流行を見せた2020年はさすがに無理だと観念し,この年は逆に魅力的な場所でありながら,海外海外にばかり目が行っていた時期には後回しにされていた,小笠原諸島の父島旅行を決行した.
明けて2021年ワクチンが出回り始め,ようやく先の光が見えてきたものの,日本国内とりわけ首都圏は緊急事態宣言とまん延防止等重点措置が繰り返し発出される状態が続き,感染収束にはまだまだ時間がかかりそうな様子である.
そんなわけでこの年の夏季休暇も基本国内になることは確実である.で,その行先であるが,感染対策を考えるとあまり人がいないところ(=自然が豊かなところ)が望ましい.そしてこれまでいつか行きたいと思いつつ行けていなかったところが候補となる. |
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そうした中で急浮上したのが北海道北部,日本海に浮かぶ礼文島である.花の浮島の異名があるように,春から秋にかけて様々な花が咲き島を覆う.特に例年5月下旬から6月上旬に咲くレブンアツモリソウはここでしか見られない島の固有種である.自分はかつて1984年に一度この島を訪れているのだが,レブンアツモリソウの時期ではなかった.6月上旬といえば世間の夏休みの時期とはずれている.一般の観光客は少ないに違いない.ということで今年の夏季休暇は6月に礼文島に行こうと決意,年休の取得や航空券・ホテル等の予約も行い準備を進めていた. |
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が,しか〜し
5月に入り北海道での感染が拡大し,5月16日には緊急事態宣言が発令されることになった.これを受けて礼文島にある自治体である礼文町では,不要不急の観光等での来島は自粛すること,宣言期間中のレブンアツモリソウ群生地の開放は行わないことがアナウンスされた.万事休すである.あくまでも自粛要請であり行って行けないことはないのだが,肝心のレブンアツモリソウが見られないのでは話にならない.かくして2021年夏季休暇での礼文島訪問は幻に終わったのである. |
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