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 尾瀬旅行記(1)

 2021年6月9日(水)


1.コロナ禍の夏季休暇

 旅行好きの我が家,21世紀に入ってからの夏季休暇は基本的に海外だった.しかし新型コロナウイルス感染症が世界的な流行を見せた2020年はさすがに無理だと観念し,この年は逆に魅力的な場所でありながら,海外海外にばかり目が行っていた時期には後回しにされていた,小笠原諸島の父島旅行を決行した.
 明けて2021年ワクチンが出回り始め,ようやく先の光が見えてきたものの,日本国内とりわけ首都圏は緊急事態宣言とまん延防止等重点措置が繰り返し発出される状態が続き,感染収束にはまだまだ時間がかかりそうな様子である.
 そんなわけでこの年の夏季休暇も基本国内になることは確実である.で,その行先であるが,感染対策を考えるとあまり人がいないところ(=自然が豊かなところ)が望ましい.そしてこれまでいつか行きたいと思いつつ行けていなかったところが候補となる. 
 
 そうした中で急浮上したのが北海道北部,日本海に浮かぶ礼文島である.花の浮島の異名があるように,春から秋にかけて様々な花が咲き島を覆う.特に例年5月下旬から6月上旬に咲くレブンアツモリソウはここでしか見られない島の固有種である.自分はかつて1984年に一度この島を訪れているのだが,レブンアツモリソウの時期ではなかった.6月上旬といえば世間の夏休みの時期とはずれている.一般の観光客は少ないに違いない.ということで今年の夏季休暇は6月に礼文島に行こうと決意,年休の取得や航空券・ホテル等の予約も行い準備を進めていた.
 
 が,しか〜し
 5月に入り北海道での感染が拡大し,5月16日には緊急事態宣言が発令されることになった.これを受けて礼文島にある自治体である礼文町では,不要不急の観光等での来島は自粛すること,宣言期間中のレブンアツモリソウ群生地の開放は行わないことがアナウンスされた.万事休すである.あくまでも自粛要請であり行って行けないことはないのだが,肝心のレブンアツモリソウが見られないのでは話にならない.かくして2021年夏季休暇での礼文島訪問は幻に終わったのである.
 


2.礼文島から尾瀬へ

 というわけで夏季休暇は完全に仕切り直しとなった.ただ職場には自分が休むことに連動して休暇がとれる人もいる.そんな職員の休暇予定を壊すのは心苦しいので,規模を縮小する形で休暇はとることにした.そして行先として自宅からもそれほど遠くない(少なくとも北海道よりは断然近い)尾瀬に決定した.理由は尾瀬といえばすぐに連想される水芭蕉の季節であることと,実は自分,この歳になるまで尾瀬は未訪だったからである.旅行好きの自分がここに至るまで未訪だったのは不思議だったが,尾瀬はアクセスがいいとは言えないため,短期間での訪問(週末のみとか)が難しいからではないかと思われた.
 尾瀬は福島・群馬・新潟3県にまたがる高層湿原である.西側の尾瀬ヶ原と東側の尾瀬沼に大別され両方合わせた大きさは東西6km,南北3kmになる.標高の高い場所にある平地といえば信州の上高地を連想するが,自動車で入れる上高地に対して尾瀬の内部には自動車道はなく徒歩以外に移動手段がないという決定的な違いがある.今回は尾瀬ヶ原・尾瀬沼両方を観光する計画を考えたが,そうなると日帰りは不可能であり,どこかで宿泊する必要が出てくる.幸い尾瀬には山小屋と呼ばれる簡易宿泊所が複数あるため,これらを利用しながら回ることにした.尾瀬ヶ原・尾瀬沼の縦走は健脚なら1泊2日でも十分可能な行程だが,途中で100選滝のひとつである三条の滝に寄りたかったことと,日頃の運動不足で体がなまっている我々の体力とを勘案し現地2泊3日とした.さらに初日なるべく早い時間から行動できるよう,尾瀬の群馬県側入口である戸倉温泉に前泊することにした.
 
 


3.日程表

   月日      旅程  宿泊
 6月 9日(水)  自宅 − 戸倉温泉  戸倉温泉マルイ旅館
 6月10日(木)  戸倉温泉 − 赤田代  温泉小屋
 6月11日(金)  赤田代 − 尾瀬沼東岸  尾瀬沼ヒュッテ
 6月12日(土)  尾瀬沼東岸−中禅寺湖  中禅寺金谷ホテル

第1日目 群馬県の鳩待峠から尾瀬ヶ原に入り北東に向かい日本の滝100選の一つである三条の滝を見学しその後最寄りの山小屋である温泉小屋に宿泊
第2日目 尾瀬ヶ原から東に向かい,白砂峠を越えて尾瀬沼に出て沼を北岸から半周して桧枝岐村営の山小屋である尾瀬沼ヒュッテに宿泊
第3日目 尾瀬沼東岸を南下し三平峠を越えて下山,その日は中禅寺湖で宿泊する.
 


4.出発!

 6月9日はお昼で仕事を切り上げそのまま車で出発,小田原厚木道路から圏央道,関越道と走っていく.途中休憩をはさみながら沼田ICで下りて国道120号を東進,途中コンビニで買い物をしてさらに進むと尾瀬の群馬側の自治体である片品村に入る.まもなく国道120号から401号に左折し北上,15分弱でこの日の宿泊先マルイ旅館に到着である.平日のど真ん中の水曜日ということもあるのか,この日の宿泊客は我々だけだった.
 チェックイン時に夕食を先にするかお風呂を先にするか悩んだが,風呂はゆっくりと入りたいということで食事が先となった.会場に行ってみるとすでに食事が並んでいる.刺身,うどん鍋,とんかつが主菜で,ご飯はお替り自由だった(とはいえ我々の胃袋では1杯で十分であるが).
 夕食後は風呂の時間,戸倉温泉の泉質はアルカリ性単純硫黄泉,無色透明でアルカリ性のためややぬるぬるするのが特徴だ(いわゆる美肌の湯).ほかに宿泊客がいないので貸し切りのお湯を堪能できた.
 その後は部屋に戻って明日の準備をしてさっさと寝ることにした.
 

客室から外を見る

夕食

うどん鍋
 



 

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