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 SINCE 2011年9月25日
       

 第11回ひの新選組まつり参戦!!


第1部 隊士コンテスト編

1.転機の訪れ

感動的だった第10回のひのパレから半年以上が過ぎ,そろそろ第11回のことを考え始めていた2008年1月,私の身辺にきな臭いウワサが聞こえてきた.転勤である.しかもかなり遠いところらしい.私自身特にこの職場に不満があるわけではなかったが,勤務して4年そろそろ異動があってもおかしくないな,とは思っていた.ただこの段階ではまだ正式決定に至っていなかった.

第10回ひの新選組まつり出陣式の集合写真.すっかり時代を感じます(笑).
 
 ひの新選組まつりに参加するとして問題はその形態である.隊士として参加するか,新選組ゆかりの人々で参加するかである.ゆかりの人々での参加もちょっと惹かれたが,このお祭りの醍醐味はやっぱり隊士での参加だと考え,隊士として参加することにした(もちろん衣装は持ち込み).この時隊士コンテストには参加に○をした.
 さて参加申込書を送る段になってふと考えた.当然住所を書かなければならない.参加決定通知や案内は4月以降に届くため,もしも現住所を書いて出すと,異動になった場合受け取れなくなる恐れがある.このため申込書には実家の住所を書いておいた(その後2月にはいって正式に転勤が決まった).
 


2.新選組 IN パリ

 ところで,私には昔からやってみたかったことがあった.それは

パリのアンバリッドで大砲にまたがり気勢を挙げる銑次.
 
 
 侍装束でパリのシャンゼリゼ通りを闊歩すること  
 私の好きな大河ドラマに昭和55年放送の「獅子の時代」がある.架空の会津藩士と薩摩藩士を主人公として,幕末から明治にかけての人々の生き様を描いた傑作大河である.この作品の序盤に描かれるのが,  
1867年(慶応三年)夏に開催されたパリ万国博覧会.将軍徳川慶喜の名代徳川昭武の随員として参加した会津藩士平沼銑次(役者は菅原文太)が侍装束でパリの街を闊歩している姿が格好良く,いつか自分もやってみたいと思っていたのだ.
 これまでなかなかパリに行く暇もなく何となく延び延びになっていたのだが,今回遠隔地の転勤となったことから何とか休暇をやりくりして実現できそうな雰囲気となった.そしてこのイベントを今年のひの新選組まつりのコンテストネタに流用しようとなったのである(新選組 IN パリ).
 3月に入り着々と準備を進める.一発ネタであるから当然ネタバレにならないように注意しなければならない.ブログなどでパリに行ってきま〜すなんて書くと,勘のいい人には一発でバレてしまう.そこで当然情報はシャットアウト,パリのパの字も出さず,さらにはパリ滞在中も現地にPCを持ち込んで,何事もなかったかのように自身のブログの記事も更新,人様のブログへのコメントなども平常どおりに行っていた(ちゃんと日本時間の適切な時間帯に).
 かくして帰国後転勤の騒動と写真の作成を並行しながら行い,4月中旬にはネタは完成,あとは本番を待つのみとなった.
 
 
 


3.いざ出陣

 さて,準備が進むとともに,実行委員会からのお知らせもやってくる.それによると今年のコンテストは約40人の参加であること,PR時間はひとり1分であることが書かれていた(それとメガネをかけた人を五番隊にするという企画も 笑).
 ゴールデンウィークが終わると,いよいよ気分はお祭りモードに入っていく.このお祭りの素晴らしさとして,年々知り合いが増えていくことがある.一昨年初参加の時は右も左もわからず,コンテスト会場でもひとり寂しくポツンと座っていたのだが(若い女の子に「お父さんも参加するんですか」と言われたのはこの時 笑),新選組を愛する人たちと知り合いパレード当日はとても楽しい時間を過ごすことができた.昨年はさらに知り合いも増え,上々の天気と相俟って終わった後1〜2週間は夢から覚めないほど充実した経験ができた.今年もこれらの素晴らしい仲間達と再会できることは私にとって大きな楽しみであった.
 諸準備が完了した5月9日夜,明日の天気予報を見ると… なんと雨,降水確率は時間とともに上がっていく模様.ただ11日は曇りベースであり何とかなりそうだ.基本的に晴れ男で楽天的な私は「まあ,一昨年も初日土砂降りだったけど当日は大丈夫だったし,どうにかなるさ」とさっさと眠りについたのである.
 翌5月10日起きて外を見ると,曇ってはいるが雨は降っていない.「な〜んだ,大丈夫じゃん」とちょっと安心して衣装一式とネタを持って家を出たのだった.
 


4.日野は雨

 最寄り駅から電車に乗り,都合3回乗り換えて日野市に向かう.東京都に入ったころから曇りがだんだん雨に変わっていった.高幡不動駅に着いたときには完璧な雨,天気予報の勝利である.駅から会場に行くと,出店やら何やらで賑わっていた(雨ではあったが結構人出はあった).その辺の木陰でダンダラを羽織って(長衣と袴はあらかじめ着込んでいた)準備完了となるはずが……,「し,しまった.羽織紐を忘れてきた.」会場内で羽織紐など売っているはずもなく,やむなく腰紐代わりに使っている包帯の一部をそれらしく結んで代用することにした.ここでこのお祭りの常連さんである野島姓さんに出会った.例年自前のダンダラに襷がけでコンテストに参加する彼女だが,今年はコンセプトを変えて土方洋装での参加だった.
 続いてコンテストの受付をしようと本部に行ってみたが,まだ係員が来ていないとのこと.雨で移動もままならないため,遠出は諦めて昼食は市役所内の食堂で済ますことにした(市役所内の食堂はお祭り特別オープンらしく,メニューがラーメンとカレーしかなかった).その後再び受付へ,今度は無事に受付が完了した(この雨でコンテスト会場は2年前と同じく,日野市民会館小ホールに変更となった).私の番号は31番,最後から2番目である.受付の人の「頑張ってください!」との声に送られて,今度は市民会館内に入る.とはいってもまだコンテストが始まるわけではない.実は今年は新選組まつりのイベントの一つとして,劇団エルプロダクツ(以下エルプロ)の公演が行われることになっていた.エルプロは主として新選組モノなど時代物を取り上げて活動している女性ばかりの劇団である.例年パレードでは六番隊の隊士を構成していて,2年前のコンテストで私が幸運にも井上源三郎役をいただいたものの,田舎からやってきた転校生状態でひとり寂しくしていた時に暖かく支えてくださった方々である.抜刀−勝鬨−納刀も完璧で,そのパフォーマンスにすっかり感銘を受けた私は以来エルプロの公演を見させていただいている.今年の演目は残 zanshin 心,池田屋事件から鳥羽伏見にいたる新選組隊士の内面を描いた作品であった(残 zanshin 心 参照).
 その後市民会館ロビーに集合してコンテストの説明を受ける.見渡すとたくさんの参加者が集まっていた.ダンダラの人,土方の洋装の人などいでたちは様々である.去年のミスター土方コシゾウさんは昨年は土方の洋装であったが,今年は自前の新選組装束である.さらには地元から同じく新選組装束の若い男性を連れてきていた.また例年薙刀を使った一人芝居を演じている常連の女の子(昨年は松原忠司役)は今年は薙刀は持っていなかった.「あれ,どうしたの」と聞くと,今年はコンセプトを変えてきたとのことだった(制限時間1分のためか?).その他に去年5番隊で一緒だった男性(昨年の5番隊のまぼろしのネタで皇帝観柳斎に絡む役だった方)もいて,土方洋装のいでたちだがその中身は襟はキッチンペーパー,ボタンは銀色のシール,ブーツは長靴につや消しというものだった(友人のそうさん曰く「家庭でできる土方歳三」).また同じく5番隊で参加していた高校生の女の子の姿もあった.またコンテストには参加しないものの応援団としてフミヲさん,風雅さん,そうさん,同郷のまーうささん(私同様イベントには晴れる確率が高い晴れ女)などの面々も顔をそろえていた.そして14時,「コンテスト参加者入って下さい」との声に一同炎のような気合とともに会場に入っていくのであった.
 


5.コンテスト1次審査

 いよいよコンテストの開始である.今年は番号上は32番まであったものの,キャンセルもあったらしく実際の参加者は30人弱であった(第9回と同じくらい).1次審査は各人が決められた時間内にPRを行う.内容に関しては舞台を汚すことや公序良俗に反すること以外には制限はない.持ち時間は昨年同様1分だったが,昨年と違い事前に周知徹底を図っていたこともあり,タイムキーパーを配置して残り時間を知らせるスタイルだった.番号の若い順に6人ずつステージに上がってPRを行うため,31番の私は必然的に最後の組となった(これも第9回と同じ).
 さあ審査の開始,人々のパフォーマンスが始まった.みんな新選組に,このコンテストにかける熱い思いをぶつけていく.演武をする人,叫ぶ人,近藤勇ばりに拳を口の中に入れる人,楽器を弾く人,やっぱりみんな熱い,凄い.特に今年は本格的演技派の人が多かったように感じられた.

コンテスト会場にて(左からよねちんさん,皇帝,コシゾウさん 提供まーうささん)


不逞浪士50人をバッサバッサと斬り捨てる.
 
 その中でも目を引いたのは2番の男性で,「50人斬りをします」と叫び,刀を振っていく.時間いっぱい振り続けるのかと思いきや,「不逞浪士10人を斬り捨てましたが40人に逃げられました」というオチ.
 私は近くにいたフミヲさんと,「我々と同じ匂いがするね」と話していた(フミヲさんが”マトリックス50人斬りの人”と命名).また6番の男性は演武をするのかと思いきや,いきなり袋からライトセーバーを取り出してブンブン振り回していた(マスターレプリカ社製のダースベイダー用の赤いライトセーバー).思わず絶句の私,ライトセーバーネタは昨年のコンテストネタの候補に挙げたものの,ボツにした経緯があるからだ.この時はライトセーバーを隠して壇上に上がる方法が思いつかなかった(そうしないとネタバレになる)のだが,そうか布製の刀袋とは…,脱帽の皇帝でした(笑).その他15番の昨年5番隊だった男性は自身の土方洋装の構成(キッチンペーパーの襟)をPRしていた.またコシゾウさんは蒲田行進曲演技(?)をやろうとして羽織紐が絡まるネタを(ネタかと思ったが,後で聞いたらネタじゃなかったらしい),一昨年の土方役だったONEさんは沖田総司役を狙って月代にして登場していた.
 

私が一番脱帽した方.ライトセーバーネタは素敵です.


家庭でできる土方歳三にチャレンジした方です.


コシゾウさんは図らずも紐の演技を披露(提供 まーうささん).

 
 さあこれら並みいる強豪のPRが終わっていよいよ最終組,ビザンチン皇帝の登場である(笑).この組は4人,29番は昨年5番隊で一緒に行進した高校生の可憐な女の子,美術を勉強しているという彼女は,自身が描いた絵を披露していた.続く30番には新選組装束でいかにも剣士という雰囲気の男性が登場,見事な居合いを披露していた.そして31番ビザンチン皇帝の登場,挨拶の後,世界に羽ばたけ新選組とアピール,さあそしていよいよネタの披露だ.2枚の巻物を一気に開く
 
 「新選組イン巴里!」


これが「新選組 IN パリ」の巻物です(提供 そうさん).
 
 
 会場からドッという喚声が,「や,やった.ウケた」 こうして大きなの拍手とともに私のPRは終了した.私の次,ラストの32番には秋田からやってきた藤堂平助をこよなく愛するよねちんさんが登場,平助にかける熱い思いを語っていた.
 こうして1次審査は終了ししばし休憩となる.審査が行われている間,舞台では地元の子供達のパフォーマンスが行われるため,コンテスト参加者はホールの外に出て待機となる.私は顔見知りの人たちと話しをしながら時間をすごした.
 
 子供達の演技が終わり,いよいよ結果発表である.司会の女の人が「さあ,私の手元には12名の合格者の名前が届いております」と例によって気分を煽り立てる.「では発表いたします.2番の○○さん,6番の▲▲さん……,そして30番の△■さん,以上の12名のみなさんでーす.」
 私の番号31番にたどり着く前に発表は終了,ビザンチン皇帝落選の瞬間であった.しかし十数年来やってみたかったことをやり,それをネタにしてコンテストに参加,その上での結果である.自分にとってはまさに人事を尽くしたものの天命がなかったというわけで,全く悔いはなかった.
 


6.コンテスト2次審査

 というわけで私自身は不合格だったものの,盟友のコシゾウさんとその門下生の斎藤さん,去年5番隊で一緒だった男性が合格したことはとてもうれしかった.
 さて引き続き2次審査に突入である.例年だと2次審査は女優さんとの掛け合いの芝居を演じるのだが,今年は独白であった.場面は元治元年六月池田屋事件の直前,古高俊太郎を拷問にかけ長州系浪士の御所焼き討ち計画を察知した新選組は京都守護職・所司代に届け出,応援を待っているのだがなかなかこない.ついに堪忍袋の緒が切れた近藤勇が吐くセリフである.ただ今年は合格者たちの希望の隊士も考慮し,同内容の土方バージョン,副長助謹バージョンも用意されていた.
 例によって番号の若い順に演技開始,名前と希望隊士名を告げて演技をする.今年は正統的な役者派が多かったせいもあるが,例年なら見られるセリフの棒読みの人がおらず,全体的にレベルの高い2次審査であった.また今年は希望の隊士として沖田総司を挙げる人が多かった.審査はスムーズに進行し終了,その後は舞台上で天然理心流の演武が行われた.
 そして結果の発表である.毎年書いているが,これは慶応元年七月(伊東甲子太郎とその仲間が入隊し,山南敬助が切腹した後)の編成表によるものである.
 
一番隊 沖田総司  沖田総司を希望していた色白の若い男性.
黒猫の演技が良かった.
二番隊 永倉新八  私と同組だった正統派の剣士,
侍の風格がビシビシ伝わってくる人.
三番隊 斎藤 一  コシゾウさん門下の凛々しい男性.私の周辺では人気ナンバー1
四番隊 松原忠司  第9回ミスター(?)土方のONEさん(去年はフランス軍人ブリュネ).
五番隊 武田観柳斎  去年松原忠司だった女の子
六番隊 井上源三郎  去年のミスター土方コシゾウさん.
七番隊 谷三十郎 知性派の雰囲気を漂わせた女性.
八番隊 藤堂平助  去年もいたような気がする女性
(私の記憶が確かなら去年の谷三十郎?).
九番隊 鈴木三樹三郎  ダースベーダー用ライトセーバーの人.
十番隊 原田左之助  去年5番隊で一緒だった男性.通称キッチンペーパーさん.
 

 局長 近藤勇にはバシッと和装を決めた貫禄の男性,そしてひの新選組まつりの主役ミスター土方にはマトリックス50人斬りの人が選ばれたのだった.
 

合格者の集合写真.おめでとうございます.
 

 コンテスト終了後は実行委員会から注意事項の説明があり解散となった.例年だとこの後抜刀,納刀の練習が行われるのだが,18時からエルプロさんの舞台が行われるため中止となったらしかった.
 私は会場から一旦ホテルに入り,昨年このお祭りで知り合った人々とともに,府中市内の中華料理屋で前夜祭を行ったのだった(途中から扮装大会になったというウワサもあったが).ただホテルにもどる時には雨は前より強くなっている.明日はなんとか降らないでほしい.私の晴れ男パワーとまーうささんの晴れ女パワーに期待しつつ眠りについたのだった.
 



パレード編へ続く

 

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