林芙美子の「浮雲」に,月のうち三十五日は雨が降ると書かれた屋久島,実際にこの島は非常に雨が多く,その年間降水量は海岸沿いの低地でも4000mmと東京の2倍以上,山岳地帯では10000mmに達することもあるという.大量の雨は島に豊かな森を育み,このため島の総面積に占める森林の比率は90%と非常に高い.とりわけ標高500メートル以上の高地帯にある樹齢1000年を超える杉の巨木は屋久杉の名で知られ,その中でも樹齢2000年を超えるものには縄文杉,紀元杉などの名前が付けられよく知られている.
そんな降水量が多く,森と山が深い屋久島はまた滝の宝庫でもある.島に降る大量の雨は急峻な渓谷を作り出し,そこには大小合わせて200を超える滝があるという.
それら数多い屋久島の滝を代表するのが大川の滝(おおこのたき),島の南西部,栗生地区の海にもほど近いにある大川にかかる滝である.この地域の地質は堆積岩の熱変性によってできた,ホルンヘルスと呼ばれる非常に硬い岩石で成り立っている.大川の滝はこのホルンヘルスの上を滑り落ちるように落下しており,その落差は88メートルを誇る.これはもちろん屋久島最大規模である.主要道路からもほど近いため,歩いて簡単に滝壺まで行くことができるが,前述のように落差が大きいために水しぶきが凄く,近づくと確実に濡れることになる.ただ,滝一般にいえることだが,川の水量によって滝の趣は大きく変わるため,晴天が続くとかなり水量が減る一方で,豪雨の後などは一気に水量が増え,滝壺に近づくことすら困難になってくる. |
すでに水しぶきが… |
大川の滝 |
すごい飛沫です |
大川の下流です |
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