神話の里高千穂町は宮崎県最北部に位置する街であり,古事記や日本書紀に記されている天の岩戸開きや天孫降臨などの伝説の地としても知られている.
一方でこの地はその中心部を五ヶ瀬川が貫いており,川沿いには高千穂峡と呼ばれる深い峡谷が形成されている.この峡谷は太古の昔に阿蘇山の火山活動で流れ出した溶岩によって浸食されて形成され,その後谷を流れる五ヶ瀬川によってさらに深く削られて現在の景観が出来上がった.この高千穂渓谷は約7キロにわたって続き,その断崖は柱状節理と呼ばれる独特の形状を持ち,高さは最大100にも達する.真名井の滝はそんな高千穂峡のもっとも狭くなっている部分の断崖から五ヶ瀬川に落下している滝である.
一般に滝は川の途中の段差に形成されるものが多いのだが,この真名井の滝の水源は断崖の上にある”おのころ池”と呼ばれる小さな池で,この池の水が五ヶ瀬川に落下して形成されているものである(伝説によれば,天孫降臨の際に,この地に水がなかったため,天村雲命(あめのむらくものみこと)が水種を移した「天真名井」の水が滝となって流れ落ちているとされる).
町の中心から近く,遊歩道も整備されているために訪問は容易である.滝は遊歩道の途中にある滝見台から見ることができるが,貸しボートに乗って滝そばまで近づくことも可能である(ただし大雨の後など川の水量が増加すると貸出中止になるので注意).
(訪問日 2015年7月5日,2015年8月21日)) |
高千穂峡の石碑 |
柱状節理の断崖 |
真名井の滝の案内板 |
滝見台から見た真名井の滝 |
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