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宮崎県中部に位置する都農町,ワインで知られる町であるが,ここの内陸部に聳えているのが標高1400メートルの尾鈴山である.ここは今から1500万年前に起こったとされる大噴火の際に発生した火砕流を源とする火成岩による地層であり,その岩盤は非常に硬い.このため山腹には深い谷が刻まれており,そこには周囲から沁み出してきた大量の水が谷に落下する滝が形成されることになる.
こうした滝は尾鈴山周辺に30ほどあると言われており,これらはまとめて尾鈴山瀑布群と呼ばれている.この滝群の中でもっとも有名で,かつ日本の滝100選にも入っているのが,今回のテーマ矢研の滝である.尾鈴山を源流とする名貫川の上流部,矢研渓谷にかかっている.落差は73メートル,大きな滝壺を持つ直瀑だ.
宮崎方面からアプローチした場合は国道10号線を北上し,都農町の一つ手前の河南町で県道307号線に左折する.そのまま道なりに進んでいくとやがて名貫川と並走していく.20分ほど上流に行くと尾鈴山キャンプ場に到着,ここがアプローチの拠点である(キャンプ場だけにトイレも完備している.ただし自販機等はないので飲み物等は事前に準備が必要). |
キャンプ場は設備も充実 |
矢研の滝まで25分 |
こんな遊歩道を歩く |
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駐車場に車を置いて滝に向かって歩き出す.遊歩道はアップダウンも少なく苦労することはない(トレッキングシューズでなくスニーカーでも大丈夫な感じ).約20分ほど歩くと目の前に中規模な滝が現れる.ただこれは目指す矢研の滝ではなく,若葉の滝という別の滝.黒い岩盤から比較的少量の水流が滑り落ちる様は同じ宮崎県内にあるむかばきの滝を彷彿させる(中には知らないでここを矢研の滝と勘違いする人もいるかも).
若葉の滝を左手に見てさらに遊歩道を進む.ここからほどなく視界に大きな滝が見えてきた.いよいよ矢研の滝である.歩道の行き止まりが展望台になっているのだが,ここからだと滝への距離があるうえ,間の木々が邪魔をしてイマイチ迫力に欠ける.ただ各種情報によると,ここから沢を進んでいくことで滝壺まで行けるらしい.せっかくだから行ってみたいと,沢靴に履き替えてじゃぶじゃぶと進んでいく.川底の石はかなり滑るというウワサだったが,モンベルの沢靴のグリップ力はさすがでさほど苦労せずに滝壺に到着した.
さすが,落差80メートルの直瀑は滝壺で観ると迫力満点である.その豪快なさまは秋田の安の滝に通じるものがある(滝壺の大きさは安の滝以上).一部で九州ナンバーワンとの呼び声が高いのもうなずける光景であった.
(訪問日 2016年11月13日) |
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若葉の滝 |
遊歩道の終点にて.ここからだと遠望です |
少し沢を登ったところ
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記念撮影
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滝壺側にて.迫力が違います! |
滝壺の様子 |
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