京都や奈良といった古都の南に広がる紀伊半島は,非常に険しい山々が連なる一方で,降水量も非常に多い地域である.このためここには豊富な水量を持つ急流が多く,結果として多数の滝が生まれることになる.これら紀伊半島の滝の中で最も有名なのが,今回のテーマ那智滝である.俗に日本三大瀑布といわれた場合,その筆頭に挙げられるほど存在が知られている.山深い那智山中の水を集めた那智川にかかる滝で,幅13メートル,落差133メートルの直瀑である.落差133メートルは一段の滝としては日本最大だという.
一方で那智滝のある一帯は熊野信仰の聖地でもあり,「伊勢へ七度、熊野へ三度」の言葉があるように,古くから人々の信仰を集めてきた.熊野三山(熊野本宮大社,熊野速玉大社,熊野那智大社)は平安時代から鎌倉時代にかけて多くの皇族や貴族の参拝を受けて道の整備も進んでおり,これらは2004年にユネスコの世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」として登録されている.
那智滝という名称は本来こ那智山周辺にある48の滝(那智四十八滝)の総称であって,現在一般に那智滝といわれるのはそのうちの一の滝のことである.この滝は元々熊野三山のひとつ熊野那智大社のご神体だったといわれており,かつては社殿も滝にあったとされている.現在は飛瀧神社の境内となっており,またそばには青岸渡寺もあるなど,宗教的な雰囲気を強く感じさせる場所となっている.
自分が初めてこの滝を訪問したのは学生時代(おそらく1980年代後半)だが,その後3度ほど参拝する機会を得ている.
(訪問日 2000年9月22日,2007年11月3日,2015年12月30日) |
世界遺産の碑 |
古の装束で散策もできます |
飛瀧神社 |
記念写真 |
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