日本の滝100選には同名の滝がいくつかある.たとえば七滝という名称の滝が秋田県小坂町と愛知県新城市にあり(新城市の方は阿寺の七滝と呼ばれる),白糸の滝というのが,山形県戸沢村と静岡県富士宮市にそれぞれある.そして今回のテーマである布引の滝という名も兵庫県神戸市と三重県熊野市の2か所に存在していて,今回はそのうち兵庫県の方である.
兵庫県の布引の滝は神戸市の北に広がる六甲山を源流として南下し神戸港にそそぐ生田川にかかる滝である.今でこそ新幹線の新神戸駅から徒歩圏内で気軽に行くことのできる滝になっているが(新幹線駅からもっとも近い100選の滝であろう),元々は人里離れた山中の滝である(新神戸の駅自体が山の中にある).ただ,京都からさほど離れていなかったこともあって,古くからその存在は知られており,伊勢物語にもここが舞台となる話が出てくるし,鎌倉時代初期の歌人藤原定家にもここを詠んだ歌がある(「布引の滝のしらいとなつくれは 絶えすそ人の山ちたつぬる」).
そんな布引の滝であるが,実はそういう名の単独の滝があるわけではない.雄滝,雌滝,夫婦滝,鼓ヶ滝という4つの滝の総称が「布引の滝」なのである.JR新神戸駅から外に出たところにある案内板に従って歩いていく.最初は住宅地の中を進んでいくが,すぐに周囲は山の中の趣となる.道は上り坂となっていくのだが,10分も歩かないうちに最初の雌滝に到着,ここは高さ20メートルほどの細い流れの滝である.この滝の落ちる様子が布を垂らしているように見えることから布引の滝の名称になったといわれているらしい.
雌滝からさらに遊歩道を登っていくと,途中に鼓ヶ滝がある.高さ8メートルほどの小ぶりな滝であるが,遊歩道からはその全貌はわからず滝壺が見えるだけである.
そこから再び遊歩道を登っていくと10分ほどで最終ポイントの雄滝が見えるスポットに到着である.この雄滝は高さ43メートル,先ほどの雌滝に比べて |
駅前の案内板 |
藤原定家の碑 |
最初に見られる雌滝 |
鼓が滝は見えにくい |
木々の間から高層ビルが見える |
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