日本の滝100選シリーズ,今回のテーマは静岡県伊豆地方にある浄蓮の滝である.石川さゆりの名曲天城越えにもその名が登場するので名前だけでも知っている人は多いだろう.
浄蓮の滝は伊豆半島の内陸部に源流をもち,北上して太平洋にそそいでいる狩野川の上流本谷川にある滝である(日本では北上して太平洋にそそぐ川というのは珍しいのだそうだ.地形的に考えればたしかにそうだ).
名前の由来はかつてこの滝の近くに浄蓮寺という名称の寺があったからと言われている.滝の高さは25メートル,滝幅は7メートル,滝壺の深さは15メー
トルである.規模としては小ぶりだが,水量は豊富であり,その水が滝壺に落ちる様はなかなかの迫力である.この本谷川の水は山深いこともあって水温が低く,
しかもきれいに澄んでいるのが特徴とされており,そのため周辺ではワサビの栽培も行われている.
浄蓮の滝に伝わる話として女郎蜘蛛伝説がある.昔ひとりの老人が浄蓮の滝の近くで休んでいたところ一匹の女郎蜘蛛が現れて老人の足に糸を巻きつけはじめた.老人は自分の足を樹の枝と間違 えたのだろうと思い,さらには糸を切ってしまうのは可哀そうだと,静かに足から糸を外して傍にあった桑の木にかけなおした.その直後周囲が揺れるのを感じたと同時に,桑の木が蜘蛛の糸に引っ張られて滝壺に吸い込まれていった.老人は,「さてはあの女郎蜘蛛が滝の主であったのか」と恐れ,以後この滝には人が近寄らなくなったという. その後,何年かしてよその村のきこりがこの滝のそばで作業をしていたところ,手を滑らせてもっていた斧を滝壺に落としてしまった. |
浄蓮の滝 |
滝の伝承の記載 |
滝に向かって下りる階段 |
本谷川では釣りをする人も |
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