滝は直接落ち込むにせよ,数段に渡って落ちるにせよ,ある程度の高さがあり,一般的に落差はその滝幅よりもずっと大きい.我々が普通にイメージする滝は日本3名瀑といわれる華厳の滝や那智滝のような姿である.ただ,世の中には落差はさほどではないものの,広い滝幅を持っているような滝も存在する.北米大陸のナイアガラの滝が代表例であるが,日本の滝100選にもその種の滝が存在する.今回のテーマ吹割の滝はまさにそのタイプであり,地元では東洋のナイアガラと呼ばれている(ちょっと大げさな気がするが).
栃木県と群馬県の県境に位置する黒岩山を源流とする片品川は群馬県沼田市の利根町で深い渓谷を形成している.その谷底の岩盤が川の流れを遮るかのようにV字にくぼんだ部分に川の水が落ち込んでできるのが吹割の滝である.落差は7メートル,滝幅は30メートルと小ぶりであるが,大量の水が跳ね上がる光景はなかなか壮観だ.下流には鱒飛の滝もある(こちらは一般的な形状の滝).また川には長年の水流で削られて形成された甌穴も見られる.
この吹割の滝の滝壺は昔から竜宮に通じていると言われ,村では祝儀などの振る舞い事には,竜宮からお膳やお椀を貸してもらう習慣があったという伝承もあるようだ.
この滝は側まで近寄って見学できるが,もともと高さがないこともあり全体像はよくわからないため,谷の断崖部に造られた遊歩道上に設けられた観瀑台から全体を見渡すことができる(もっとも木々が邪魔をして見にくいのだが).
(訪問日 2014年9月15日) |
案内図 |
深い渓谷です |
第1観瀑台から |
第3観瀑台から |
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