乙字ヶ滝は福島県須賀川市にある阿武隈川にかかる滝である.古くは竜崎滝・石川滝とも呼ばれていたが,川の水が乙の字型に流れ落ちる様から乙字ヶ滝と呼ばれるようになったらしい.
落差は6メートルと低いのだが,一方でその滝幅は増水時には100メートルにも達し,壮大な眺めとなる.広い滝幅のイメージからここを小ナイアガラと呼ぶ人もいるようだ(ちょっと大げさな気もするが 笑).
滝は自動車利用の場合,東北自動車道の須賀川インターから降りて国道118号線を南下,阿武隈川を渡る橋にほど近い場所にある.駐車場も完備されていて,そこから徒歩数分で滝が展望できるスポットに到着である.
案内板によると,江戸時代白河藩の時代にはこの川を遡上する鮭,鱒,鮎が滝を飛び跳ねるうちに次々と梁にかかるため,その漁獲収入が地元民を潤したという.しかし例年初漁は藩主に献上する決まりになっていたため,その時期になると藩の役人がこの地に滞在して監視を行っていたそうだ.その際の滞在費は地元漁師の負担とされていたものの,その代り他の賦役は免除されていたとのことである.また滝の近くには元禄2年にこの地を訪れた松尾芭蕉が詠んだとされる,「五月雨の滝降りうづむ水かさ哉」の句碑もある.
(訪問日 2012年9月16日) |
乙字ヶ滝 |
落差はさほどありません |
地元の人たちが寛いでいます |
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