白神山地や八幡平などを持つ秋田県は滝の多い県であり,滝100選にも4つが入っている(七滝,茶釜の滝,法体の滝,安の滝).どれも魅力的な滝であるが,その中でもとりわけ人気が高いのが今回のテーマ安の滝であろう.
マタギの里で有名な北秋田市阿仁地区の最奥部,中ノ又渓谷にあり,二段にわたって落ちる滝で,上段60メートル,下段30メートルの合計90メートルの落差を持つ.
上段と下段の間には広い滝壺を持つ空間があり,ここから上段の滝を見上げる光景は壮観の一言で,規模は異なるが南米ベネズエラのギアナ高地にあるエンジェル・フォールを彷彿させる.
この滝へのアプローチはなかなか大変で,阿仁地区唯一の鉄道である,秋田内陸縦貫鉄道と並走する国道105号線から県道308号線に入りそのまま東進,マタギ資料館や熊牧場,打当温泉を過ぎると道は急に狭くなる.しばらく行くと道は二股に分岐,この左側が安滝林道であり,ここから約6キロ未舗装の悪路が続く(すれ違いが困難な箇所多数).途中に安の滝駐車場まで○キロの標識があるので安心できるが,なければ不安に陥ること必定である.
駐車場は自動車15台くらいは止められるスペースがあり,トイレも完備されている(こんな山奥にあるとは思えないほど整備されている).私が訪問したのは平日だったが,晴天の紅葉時期ということもあり,かなりの車がいた.ここから中ノ又沢にそって遊歩道を歩くこと約40分で滝の正面に到着となる(上段の滝壺まではさらに15分ほど).南向きの滝であることと,水量が多く水しぶきが凄いことから,虹がかかることもある(私の訪問時もかかっていた).
ちなみに安の滝には以下のような悲恋伝説が残っている.
昔ヤスという美しい娘が当地の金山で働く男と恋に落ちた.しかし山での男女の仲は御法度であり,周りに知られてしまったため仲を引き裂かれてしまう.悲しんだヤスがこの滝に身を投げたことから安(ヤス)の滝と呼ばれるようになったという.
(訪問日 2014年10月23日) |
安滝林道 |
駐車場です |
中ノ又沢を遡る |
滝が見えてきた |
それなりにハードな場所であることがわかります |
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