秋田県と山形県の日本海岸の県境に霊峰鳥海山がある.標高2236メートルと東北地方では2番目の高さを誇り,雪をかぶった姿が富士山に似ていることから出羽富士とも呼ばれている.そんな鳥海山を源流に持つ子吉川にかかるのが,今回のテーマ法体の滝である.鳥海山を源流としていながら,山頂に面して落ちている珍しい滝でもある.名前の由来は,滝の形が修行僧が僧衣をまとっている姿(法体)に似ているからといわれ,弘法大師(空海)がこの地を訪ねた時,不動明王が現れたため,空海が滝に礼拝したともいわれる.
法体の滝は上流から一の滝,二の滝,三の滝と三段にわたって落ちている滝で,流長は100メートル,落差は57.4メートル(一の滝13メートル,二の滝2.4メートル,三の滝42メートル)ある.一方で滝幅は上流部では3メートルほどであるが,三の滝の最下部では30メートルにもなり,末広がりの滝となっている.また一の滝の上流部と二の滝河床には大小たくさんの甌穴(河床が急流の小石などによって削り取られてできた丸い穴)が形成されており,学術的にも貴重なものとなっている.
現地はトイレや土産物屋も完備されており,駐車場からすぐにその姿を眺めることができる.しかし一の滝,二の滝を含めた全景を見るためには,つり橋を渡って石段を登ったところの展望所に行く必要がある.またここは滝田洋二郎監督の映画「釣り吉三平」のロケ地にもなったらしい.
(訪問日 2014年10月22日) |
子吉川 |
土産物屋と法体の滝 |
駐車場からの眺め |
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