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今回取り上げる滝は秋田県小坂町にある七滝である.
十和田湖の外輪山のひとつである杉沢山を源流とする七滝沢が荒川川と合流する地点にある滝で,七段にわたって,60メートルの落差を持っている.一般に滝100選に選ばれているところは,自動車通行可能道路から遊歩道に入って何十分か歩いてたどり着くような場所が多いのだが,この七滝は十和田湖と大館市を結ぶ,通称樹海ラインのすぐわきにある.なので道路からでも滝の姿を見ることができるのがうれしいところだ.ただし七段の滝はあちこち方向を変えながら落ちているため,一ヶ所から見てその全貌をつかむのは困難である.
滝のそばには七滝神社があるが,これには以下のような伝説が残されている.
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七滝です |
七滝神社 |
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その昔,七滝村に孫左衞門という大地主がいた.当時から七滝には不思議な力があると恐れられ,物を投げ入れることは禁じられていたのだが,孫左衛門は自分の力を誇示するために,七滝に七十余りの薪を投げ入れた.薪が四段目の滝壺に落下すると同時に,天地を揺るがす大鳴動と共に,水の中から苦痛のうめきが聞こえはじめ,薪は二度と浮かび上がってはこなかった.今更ながらに滝の恐ろしさに震え上がった孫左衛門は,とうとう病の床についてしまった.実はこの滝は大蛇の化身,夢枕に現れた傷だらけの姿の大蛇は恨みを語り,孫左衞門を苦しめた.彼は深く反省して七滝に神社を建立し,自らの罪の許しを請うたという.
江戸時代後期の旅行家,菅江真澄は文化4年(1807年)に十和田湖旅行の途中にここを訪れ,詩とスケッチを残している.現在七滝周辺には神社のほか,水車や道の駅などの観光施設も整備されている.
(訪問日 2013年6月11日) |
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案内文と菅江のスケッチ |
七滝と水車 |
紅葉の時期もよさそうです |
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