箱根は旧東海道の沿線であり,一大観光地として年中大勢の観光客で賑わっている.そんな箱根の峠を越えた静岡県側にあるのが,今回のテーマ山中城である.
山中城は戦国時代小田原北条氏の支城のひとつであり,西方の敵に対する備えの城郭であった.築城は永禄年間(およそ1560年代)で北条氏康によるとされている.箱根山系の地形を利用して本丸や二ノ丸ほか数多くの曲輪が造成されたほか,各曲輪の間には堀や土塁が造られていた.特に畝堀・障子堀といった特殊な造形の堀は北条時代末期の様式を示す貴重な遺構といわれている.
天正18年(1590年)に豊臣秀吉による小田原遠征が開始,その前哨戦でこの城は約4万の軍勢による攻撃を受けわずか一日の戦闘で落城してしまった.しかし,その後再利用されることなく廃城となったことから,逆に昔の遺構がそのまま残る結果になった.
現在は三島市によって公園として整備され,年に1回5月の第3日曜日に山中城祭りも行われている(私が訪問した2008年5月18日がちょうどお祭り日だった).会場ではのど自慢大会などのイベントの他,北条氏のよしみからか,小田原の甲冑隊も駆けつけていた. |
東海道沿いにある山中城 |
三ノ丸堀 |
水源として使われた箱井戸 |
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