俗に関東のそばに関西のうどんという.全国的にも一般に東日本ではそばが,西日本ではうどんが好まれるようだ.私の住む東北もそばどころで,美味しいお蕎麦屋さんも多い.しかしそんな蕎麦王国東北に忽然とまるでそこだけが別世界のように,うどんのメジャーな地域がある.今は湯沢市になってしまった秋田県稲川町稲庭にある稲庭うどんである.
稲庭うどんの歴史は江戸時代に遡り,北前船で西国から伝わったとか,白石温麺の技術が陸路伝わったなど諸説がある.当時はほとんどが秋田藩主佐竹公による御用品として各種贈答用に作られていたという.製法も一子秘伝とされ,それが一般に公開されたのは比較的最近のことらしい.稲庭うどんの特徴は一週間近く熟成して造られる手延べの麺にある.讃岐うどんや後述の水沢うどんに比べると非常に細く,コシとともにのど越しのつややかさがいい(JASの規格ではかろうじてうどんに分類されるらしい). |
稲庭地区には多数のうどん店が並んでいます. |
佐藤養助本店の外観です. |
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湯沢市の中心部から398号線に入って東に向かう.周囲はどんどん山の中の雰囲気になり,こんな所にうどんがあるのかと不安になるが,しばらくすると再び開けてくる.ここが旧稲川町の中心部だ.しばらく行くと,稲庭うどんの看板を掲げたうどん屋さんが立ち並ぶエリアになる.今回入ったのは老舗の佐藤養助本店であった.店内は上品な感じの造りで,大衆食堂といった趣はない.注文したのは,温かい麺と冷たい麺が同時に楽しめるという「味くらべ」である.温かいうどんも悪くはないのだが,個人的にはやはり冷たいざるうどんがいいなあと思った私でした.稲庭うどんは元々乾麺なので,各種贈答品として重宝されます.
(訪問日 2006年9月24日)
佐藤養助商店のホームページ
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これが2種類のうどんを同時に楽しめる「味比べ」です. |
こちらは温かい麺.具材はシンプルです. |
これがざるうどん.つるつるっとしたのど越しが最高です. |
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